連帯債務
連帯債務とは、同一の債務について数人の債務者が各自独立に全部の給付をなすべき債務を負担する関係をいいます(民法432条)。債権者は各連帯債務者に対し、全部または一部の履行を請求でき、一人の債務者が履行すれば全債務が消滅します。内部的には負担部分が定められ、履行した債務者は他の債務者に求償権を行使できます。
民法432条(連帯債務の効力)民法433条(相対効の原則)民法434条(絶対効の事由)
重要度: 重要
要点
連帯債務とは、同一の債務について数人の債務者が各自独立に全部の給付をなすべき債務を負担する関係をいいます(民法432条)。債権者は各連帯債務者に対し、全部または一部の履行を請求でき、一人の債務者が履行すれば全債務が消滅します。内部的には負担部分が定められ、履行した債務者は他の債務者に求償権を行使できます。
体系における位置づけ
民法(権利関係)は宅建試験の主要科目の一つで、権利の変動、契約、不法行為、物権、債権など幅広い分野を含みます。中でも債権法は契約関係や責任関係を規定し、不動産取引の法的基盤を形成します。連帯債務は債権総論の重要項目で、複数の債務者が関わる取引の責任関係を理解する上で不可欠な制度です。
ルールの詳細
・連帯債務者の一人に対する履行請求は、他の連帯債務者に対しても効力を生じます(民法432条)。これを絶対効といい、時効の更新などにも影響します。
・連帯債務者の一人について生じた事由は、原則として他の連帯債務者に対して効力を生じません(民法433条)。これを相対効の原則といいます。
・更改、相殺、混同については、他の連帯債務者に対しても効力を生じます(民法434条〜436条)。これらは絶対効とされる重要な例外です。
・連帯の免除があった債務者の負担部分については、他の債務者は免責される限度でのみ履行責任を負います(民法436条1項)。
・連帯債務者の一に時効が完成したときは、その負担部分について、他の債務者もその責任を免れます(民法436条2項)。
・連帯債務者間の内部的な負担部分は、特約がなければ均等と推定されます。履行した債務者は超過分について他の債務者に求償できます。
・連帯債務の成立には、当事者間の明示または黙示の連帯の意思表示が必要です。単なる共同債務とは異なります。
例外
・連帯債務者の一人について生じた事由でも、更改・相殺・混同は絶対効を持ち、他の債務者にも効力が及びます(民法434条〜436条)。
・債権者が連帯債務者の一人に対して債務を免除した場合、その債務者の負担部分についてのみ他の債務者の責任が免除されます(民法436条1項)。
・連帯債務者の一人について時効が完成した場合、その負担部分について他の債務者も免責されます(民法436条2項)。
・判例により、破産宣告は絶対効を有するとされていますが、これは条文上の明文規定がなく、判例法理として確立しています。
比較・対照
連帯債務と連帯保証の最大の違いは、連帯債務では全員が主たる債務者であるのに対し、連帯保証には主たる債務者と保証人の区別がある点です。試験では両者の効果や求償関係の違いが頻出です。
記憶テクニック
・「連帯債務は相対効が原則、絶対効は三兄弟(更改・相殺・混同)」と覚える。この3つだけが絶対効を持つ。
・「免除と時効は半分こ」:免除と時効完成は、その債務者の負担部分についてのみ他の債務者に効力が及ぶ。
・「連帯債務は全員主役、連帯保証は主役と脇役」:連帯債務は全員が主たる債務者、連帯保証は主債務者と保証人の区別がある。
事例で確認
「連帯債務」はこう問われる
A、B、Cの3名が連帯してDに対し300万円の債務を負った。内部の負担割合は均等である。DがAに対して履行を請求した後、Aが100万円を支払った。その後、AがDに対して別の債権200万円を有していることが判明した。 AはDに対する債権200万円と残債務200万円を相殺できるか。また、この相殺はB、Cにどのような影響を与えるか。
結論:相殺は可能であり、その効力はB、Cにも及び、全債務が消滅します。
連帯債務者の一人について生じた相殺は、他の連帯債務者に対しても効力を生じます(民法434条)。したがって、Aが相殺を援用すれば、Dに対する債務は全額消滅し、B、Cも債務を免れます。ただし、Aは自己の負担部分100万円を超えて支払ったことになり、B、C各100万円について求償権を行使できます。
押さえる:相殺は絶対効を有する事由の一つであり、連帯債務者の一人が相殺を援用すれば他の債務者も利益を受ける点が重要です。
A、Bが連帯してCに対し500万円の債務を負った。内部負担割合はAが3、Bが7である。CがAに対して債務を免除した。その後、CがBに対して全額の支払を請求した。 BはCに対していくらの支払義務を負うか。
結論:Bは350万円の支払義務のみを負います。
連帯の免除があった債務者の負担部分については、他の債務者はその限度で責任を免れます(民法436条1項)。Aの負担部分は500万円の3/10である150万円です。したがって、Bは残りの350万円についてのみ責任を負います。
押さえる:連帯の免除は相対効であり、免除された債務者の負担部分についてのみ他の債務者の責任が減縮されます。
試験での狙われ方
出題傾向と対策
| 出題頻度 | 2〜3 年に 1 回 |
|---|---|
| 出題実績 | 過去 37 年で 9 回・9 年分・最新 2025 年 |
| 重要度 | B:重要。連帯保証との比較で頻出するため、両者の違いを確実に理解しておく必要があります。 |
| 解き方のコツ | 絶対効を有する3つの事由(更改・相殺・混同)と、免除・時効の特別扱い(民法436条)を確実に暗記してください。「相対効が原則」という基本原則を押さえた上で、例外を整理すると得点しやすいです。 |
よく問われるパターン
- 連帯債務者の一人について生じた事由が他の債務者に効力を及ぼすか否かを問う問題(相対効・絶対効の区別)
- 連帯債務と連帯保証の違いを問う比較問題(成立要件、効力、求償関係等)
- 連帯の免除や時効完成の効果を問う問題(民法436条の理解)
- 求償権の行使に関する問題(内部負担部分の計算を含む)
関連過去問
この論点が問われた本試験
本試験 37 年分から、「連帯債務」に関連する過去問をピックアップしました。
理解度チェック
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Q1【2025年 問9】連帯債務者の一人について生じた次の事由のうち、民法の規定によれば、他の連帯債務者に対して効力が生じないものとして正しいものはどれか。なお、この問において、連帯債務者の一人について生じた事由が他の連帯債務者に対して効力が生じる旨の別段の意思表示はないものとする。
解答: 正解:1
債権者がした連帯債務者の一人に対する履行の請求
【解説】解説 連帯債務者の1人に対して生じた事由は、別段の定めがない限り、 更改 ・ 相殺 ・ 混同 を除いて他の債務者に対して効力を生じません(相対効の原則)。上記3...
Q2【2021年 問202】債務者A、B、Cの3名が、内部的な負担部分の割合は等しいものとして合意した上で、債権者Dに対して300万円の連帯債務を負った場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
解答: 正解:2
BがDに対して300万円の債権を有している場合、Bが相殺を援用しない間に300万円の支払の請求を受けたCは、BのDに対する債権で相殺する旨の意思表示をすることができる。
【解説】解説 したがって誤っている記述は[2]です。
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よくある質問
連帯債務について
宅建の「連帯債務」とは何ですか?
連帯債務とは、同一の債務について数人の債務者が各自独立に全部の給付をなすべき債務を負担する関係をいいます(民法432条)。債権者は各連帯債務者に対し、全部または一部の履行を請求でき、一人の債務者が履行すれば全債務が消滅します。内部的には負担部分が定められ、履行した債務者は他の債務者に求償権を行使できます。
「連帯債務」は宅建でよく出ますか?
本試験では過去 37 年間で 9 回、9 年分で出題されています。出題傾向は「2〜3 年に 1 回」です。
連帯債務者の一人に対する履行請求は、他の連帯債務者に対しても効力を生じる。
○正解。民法432条により、連帯債務者の一人に対する履行請求は、他の連帯債務者に対しても効力を生じます(絶対効)。
連帯債務者の一人について時効が完成した場合、他の連帯債務者は全額について責任を免れる。
×誤り。民法436条2項により、時効完成した債務者の負担部分についてのみ、他の債務者も責任を免れます。全額ではなく負担部分に限られます。
連帯債務者の一人について生じた事由は、原則として他の連帯債務者に対して効力を生じない。
○正解。民法433条により、相対効が原則です。ただし、更改・相殺・混同は例外として絶対効を持ちます。
「連帯債務」の覚え方は?
「連帯債務は相対効が原則、絶対効は三兄弟(更改・相殺・混同)」と覚える。この3つだけが絶対効を持つ。
・「免除と時効は半分こ」:免除と時効完成は、その債務者の負担部分についてのみ他の債務者に効力が及ぶ。
・「連帯債務は全員主役、連帯保証は主役と脇役」:連帯債務は全員が主たる債務者、連帯保証は主債務者と保証人の区別がある。
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