令和2年(2020)本試験

203

契約の解除(判決文の読取り問題)過去問

この問題の全体像

本問は債務不履行による契約解除の要件に関する問題である。判決文は、契約の目的達成に必須的でない付随的義務の不履行では解除できないとする。改正民法で明文化された契約解除の制限に関する理解が求められる。

令和2年203
次の1から4までの契約に関する記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。 (判決文) 法律が債務の不履行による契約の解除を認める趣意は、契約の要素をなす債務の履行がないために、該契約をなした目的を達することができない場合を救済するためであり、当事者が契約をなした主たる目的の達成に必須的でない附随的義務の履行を怠ったに過ぎないような場合には、特段の事情の存しない限り、相手方は当該契約を解除することができないものと解するのが相当である。
  • 1土地の売買契約において、売主が負担した当該土地の税金相当額を買主が償還する付随的義務が定められ、買主が売買代金を支払っただけで税金相当額を償還しなかった場合、特段の事情がない限り、売主は当該売買契約の解除をすることができない。
  • 2債務者が債務を履行しない場合であっても、債務不履行について債務者の責めに帰すべき事由がないときは付随的義務の不履行となり、特段の事情がない限り、債権者は契約の解除をすることができない。
  • 3債務不履行に対して債権者が相当の期間を定めて履行を催告してその期間内に履行がなされない場合であっても、催告期間が経過した時における債務不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、債権者は契約の解除をすることができない。
  • 4債務者が債務を履行しない場合であって、債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、債権者は、相当の期間を定めてその履行を催告することなく、直ちに契約の解除をすることができる。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
本問は債務不履行による契約解除の要件に関する問題である。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
本問は債務不履行による契約解除の要件に関する問題である。判決文は、契約の目的達成に必須的でない付随的義務の不履行では解除できないとす…
03
知識背景
契約解除制度は、債務不履行時の債権者救済手段である。改正民法(2020年4月施行)では、解除権の発生要件として「相当期間を経過しても…
04
覚え方
「主な義務は解除OK、付随は解除NG」「帰責事由なし=債務不履行なし」「軽微な不履行=解除不可」の3原則をセットで覚える。
05
試験のコツ
判例文を素材にした正誤判定問題 ・解除要件の組み合わせ問題 ・催告の要否を問う問題
06
実務での見え方
不動産売買で、買主が代金は支払ったが固定資産税の精算金を支払わない場合、売主は代金返還を求めて契約解除できるか。本判例によれば、税金…
07
よくある間違い
{"mistake":"「帰責事由がない」=「付随的義務の不履行」と誤解する","why_wrong":"両者は独立した概念。主たる…
02深度分析
要約
本問は債務不履行による契約解除の要件に関する問題である。判決文は、契約の目的達成に必須的でない付随的義務の不履行では解除できないとする。改正民法で明文化された契約解除の制限に関する理解が求められる。
法的根拠
民法541条民法542条民法543条民法415条
論理の流れ
判決文は「契約の主たる目的達成に必須的でない付随的義務の不履行」では解除できないとする。選択肢2は「責めに帰すべき事由がない」ことと「付随的義務」を混同している。帰責事由の有無と義務の性質(主たる義務か付随的義務か)は別個の問題であり、この混同が誤りである。
重要な区別
「主たる給付義務」と「付随的義務」の区別、および「帰責事由の有無」と「義務の性質」は独立した別概念である点が最重要。
各選択肢のポイント
  • 税金相当額の償還は付随的義務であり、判決文の趣旨通り特段の事情がない限り解除できない。
  • 帰責事由がないことと付随的義務であることは別概念。主たる義務でも帰責事由がなければ債務不履行にならない。
  • 民法541条2項に明文化された「軽微な不履行」の法理であり、催告後でも軽微なら解除できない。
  • 民法541条ただし書きの履行拒絶の意思表示がある場合の催告不要の解除を正しく記述している。
03知識背景
テーマ概要
契約解除制度は、債務不履行時の債権者救済手段である。改正民法(2020年4月施行)では、解除権の発生要件として「相当期間を経過しても履行がないこと」に加え、「不履行が軽微でないこと」が明文化された。また、付随的義務違反での解除制限も判例法理として確立している。
歴史的背景
最判昭和36年11月21日が付随的義務違反での解除制限を判示。2017年改正民法で541条2項に「軽微な不履行」条項が新設され、判例法理が成文化された。履行拒絶の意思表示による催告不要の即時解除も従前の判例法理が明文化された。
関連法令
民法541条(履行遅滞による解除)民法542条(定期行為の解除)民法543条(解除権の行使)民法415条(債務不履行)
体系的位置づけ
民法第3編第2章第4節「契約の解除」に位置づく。宅建試験では債権編の中でも出題頻度が高く、特に改正民法の新規定事項として重要である。
前提知識
債務不履行の三類型(履行遅滞、履行不能、不完全履行)、帰責事由の意義、契約解除の効果、催告の意義と要件、付随的義務と主たる給付義務の区別を理解している必要がある。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「主な義務は解除OK、付随は解除NG」「帰責事由なし=債務不履行なし」「軽微な不履行=解除不可」の3原則をセットで覚える。
ビジュアル描写
契約を「木」に例える。幹=主たる給付義務(切断=枯死=解除)、枝葉=付随的義務(切断しても木は生きる=解除不可)。
重要公式
解除可能=主たる義務の不履行+帰責事由あり+軽微でない不履行+催告または催告不要事由
関連連想
「税金未払いで家を取り上げられる?」→付随的義務だから解除不可、と連想する。
比較表
主たる給付義務:契約の本質、不履行で解除可/付随的義務:契約の付属、不履行でも解除不可(特段の事情除く)/帰責事由:債務者の責任、不履行の前提要件
05試験テクニック
出題頻度
契約解除は毎年近い頻度で出題。改正民法関連として特に重要度が上昇している。
重要度
A:最重要。改正民法で新設・改正された条項は出題可能性が極めて高い。
出題パターン
  • 判例文を素材にした正誤判定問題
  • 解除要件の組み合わせ問題
  • 催告の要否を問う問題
解法・消去法
「付随的義務」の記述がある選択肢は解除不可が原則。「履行拒絶」の明示があれば催告不要。帰責事由と義務の性質を混同する選択肢を排除。
時間戦略
判例文は丁寧に読む。選択肢は「主たる義務か付随的義務か」「帰責事由の有無」「軽微か否か」の3点を確認。2分以内で解答。
06実務応用
実務シナリオ
不動産売買で、買主が代金は支払ったが固定資産税の精算金を支払わない場合、売主は代金返還を求めて契約解除できるか。本判例によれば、税金精算は付随的義務のため、特段の事情がない限り解除は認められない。
実務への影響
契約書作成時に、どの義務が「主たる義務」に該当するか明確化する必要性がある。解除条項の設計にも影響する。
ケーススタディ
マンション購入で、売主が付帯設備の説明書を交付しなかった事案。設備の使用に支障がなければ付随的義務違反にとどまり、買主は契約解除できない。ただし、損害賠償請求は可能。
業界関連性
宅建業者は、取引実務において解除の可否を適切に判断し、紛争の未然防止・適切な解決を図る必要がある。
ニュース連動
住宅瑕疵担保責任やキャンセル料問題など、消費者契約法との関連でも解除の可否が議論されている。
07よくある間違い
「帰責事由がない」=「付随的義務の不履行」と誤解する
なぜ間違えるか:両者は独立した概念。主たる義務でも帰責事由がなければ債務不履行自体成立しない。
付随的義務違反なら一切解除できないと誤解する
なぜ間違えるか:判例は「特段の事情がない限り」と留保している。付随的義務でも信頼関係を破壊する重大な違反なら解除可能。
催告すれば必ず解除できると誤解する
なぜ間違えるか:改正民法541条2項により、不履行が軽微な場合は催告しても解除できない。
解説は、まだ続きます
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