平成27年(2015)本試験

8

同時履行の抗弁権(個数問題)過去問

この問題の全体像

同時履行の抗弁権(民法533条)の適用範囲について問う問題。敷金返還と明渡、解除後の原状回復義務、売買代金と登記協力の3つのケースにおける同時履行の成否を正確に判断する必要がある。

平成27年8
同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。 ア マンションの賃貸借契約終了に伴う賃貸人の敷金返還債務と、賃借人の明渡債務は、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立つ。 イ マンションの売買契約がマンション引渡し後に債務不履行を理由に解除された場合、契約は遡及的に消滅するため、売主の代金返還債務と、買主の目的物返還債務は、同時履行の関係に立たない。 ウ マンションの売買契約に基づく買主の売買代金支払債務と、売主の所有権移転登記に協力する債務は、特別の事情のない限り、同時履行の関係に立つ。
  • 1一つ
  • 2二つ
  • 3三つ
  • 4なし

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
同時履行の抗弁権(民法533条)の適用範囲について問う問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
同時履行の抗弁権(民法533条)の適用範囲について問う問題。敷金返還と明渡、解除後の原状回復義務、売買代金と登記協力の3つのケースに…
03
知識背景
双務契約において、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒絶することができる権利。公平な取引を担保するための重要…
04
覚え方
「敷金は出る時返せ、解除は戻す時一緒に、売買は金と権利同時に」
05
試験のコツ
敷金返還と明渡の関係 ・解除後の原状回復義務の関係 ・請負契約の報酬と目的物引渡の関係
06
実務での見え方
マンション売買で、買主が「登記が完了しないと代金を振り込まない」と主張する場面や、賃借人が「敷金を返してくれないから鍵を返さない」と…
07
よくある間違い
{"mistake":"解除により契約が遡及的に消滅するため、原状回復義務は同時履行の関係に立たないと考える。","why_wron…
02深度分析
要約
同時履行の抗弁権(民法533条)の適用範囲について問う問題。敷金返還と明渡、解除後の原状回復義務、売買代金と登記協力の3つのケースにおける同時履行の成否を正確に判断する必要がある。
法的根拠
民法533条(同時履行の抗弁権)民法545条1項本文(解除の効力)民法1条2項(信義則)最高裁昭和49年9月2日判決(敷金返還と明渡)最高裁昭和50年2月20日判決(解除と原状回復)
論理の流れ
アは判例により、敷金返還債務と明渡債務は同時履行の関係にあるとされるので正しい。イは解除により契約が遡及的に消滅しても、各当事者の原状回復義務は信義則上同時履行の関係に立つため、記述は誤り。ウは売買の典型的な双務契約の関係であり、特別の事情がなければ同時履行の関係に立つので正しい。したがって正しい記述は2つである。
重要な区別
契約が「解除されて消滅した後」の原状回復義務も、当事者間の公平を図るため同時履行の関係にあると解釈される点が最大のポイント。
各選択肢のポイント
  • 敷金返還債務は明渡し後に残額が確定して発生するため、明渡債務と同時履行の関係には立たない。
  • 売買契約解除後の原状回復義務は公平上同時履行の関係に立つため、「同時履行の関係に立たない」とする記述は誤り。
  • 売買代金支払債務と所有権移転登記協力債務は、特別の事情がない限り同時履行の関係に立つ。
03知識背景
テーマ概要
双務契約において、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒絶することができる権利。公平な取引を担保するための重要な制度である。
歴史的背景
ローマ法由来の概念で、日本の旧民法を経て現行民法に引き継がれた。取引安全と当事者間の公平を重視する民法の原則を具体化したものである。
関連法令
民法533条民法536条(危険負担)民法555条(売買)借地借家法
体系的位置づけ
民法(債権総論)における「債務不履行」または「契約の効力」の重要な論点の一つであり、宅建試験の民法分野で頻出する。
前提知識
双務契約の意味、債務不履行による解除の効果(原状回復)、抗弁権の基本的概念、信義則の原則について理解しておく必要がある。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「敷金は出る時返せ、解除は戻す時一緒に、売買は金と権利同時に」
ビジュアル描写
天秤のイメージ。右に「代金・登記」、左に「目的物・敷金」が乗り、バランスが取れている状態。一方が下がらない限り、もう一方も下がらない。
重要公式
533条=「相手方が履行するまで、自分も履行しない」
関連連想
「ドアの前に立って、鍵(登記)を渡さないと中に入れない(代金を払わない)」イメージで連想する。
比較表
同時履行の抗弁権(双務契約一般) vs 留置権(物の占有が必要) vs 同時履行の抗弁権(解除後の原状回復)
05試験テクニック
出題頻度
2〜3年に1回の頻度で出題される重要論点。
重要度
A:最重要。民法の基本原則であり、実務でも頻出。
出題パターン
  • 敷金返還と明渡の関係
  • 解除後の原状回復義務の関係
  • 請負契約の報酬と目的物引渡の関係
解法・消去法
「解除されたから関係ない」という記述は大概×。「特約がない限り」は○になりやすい傾向がある。
時間戦略
判例の結論を覚えていれば即答可能。迷ったら「公平性」の観点から判断すると良い。
06実務応用
実務シナリオ
マンション売買で、買主が「登記が完了しないと代金を振り込まない」と主張する場面や、賃借人が「敷金を返してくれないから鍵を返さない」と言う場面。
実務への影響
不当な履行の強要を防ぎ、トラブルを未然に防ぐ法的根拠となる。
ケーススタディ
売主が代金を受け取った後、登記を移転しないまま行方不明になった場合、買主は同時履行の抗弁権を主張できなかったことになるリスク。
業界関連性
不動産取引における契約書作成や交渉の際、必ず考慮される条項。
ニュース連動
敷金トラブルや住宅ローン滞納による競売時の明渡問題などで関連性が高い。
07よくある間違い
解除により契約が遡及的に消滅するため、原状回復義務は同時履行の関係に立たないと考える。
なぜ間違えるか:契約は消滅しても、返還義務は対価的関係に基づくため信義則上同時履行とされるから。
敷金返還債務は後履行になると考える。
なぜ間違えるか:判例は明渡と同時履行を認めているため。
危険負担(536条)と混同する。
なぜ間違えるか:債権者主義等の危険負担は「履行不能」の場合の話であり、同時履行とは異なる。
解説は、まだ続きます
背景知識・覚え方・引っかけ対策・実務での見え方まで。無料体験で、この1問をとことん深掘りできます。
無料体験で続きを読む →
さあ、はじめよう
この問を、アプリで記録する
無料で体験を始める →