令和元年(2019)本試験
問6
遺産分割過去問
この問題の全体像
遺産分割に関する4つの論点(分割禁止、分割協議の解除、預貯金債権の帰属、分割の遡及効)から正しい記述を選ぶ問題。判例法理である「遺産分割協議の合意解除」の理解が求められる。民法908条、909条の知識に加え、預貯金債権に関する法改正前の判例も問われている。
遺産分割に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 1被相続人は、遺言によって遺産分割を禁止することはできず、共同相続人は、遺産分割協議によって遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
- 2共同相続人は、既に成立している遺産分割協議につき、その全部又は一部を全員の合意により解除した上、改めて遺産分割協議を成立させることができる。
- 3遺産に属する預貯金債権は、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割され、共同相続人は、その持分に応じて、単独で預貯金債権に関する権利を行使することができる。
- 4遺産の分割は、共同相続人の遺産分割協議が成立した時から効力を生ずるが、第三者の権利を害することはできない。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
遺産分割に関する4つの論点(分割禁止、分割協議の解除、預貯金債権の帰属、分割の遡及効)から正しい記述を選ぶ問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
遺産分割に関する4つの論点(分割禁止、分割協議の解除、預貯金債権の帰属、分割の遡及効)から正しい記述を選ぶ問題。判例法理である「遺産…
03
知識背景
遺産分割とは、共同相続人が相続財産を実際に分割する手続き。分割方法には指定分割、協議分割、調停・審判分割がある。分割の効力、分割禁止…
04
覚え方
「遺産分割は遡及効(909条)」「分割禁止は5年まで(908条)」「預貯金は当然分割なし(改正前判例)」「合意解除は全員一致」をセッ…
05
試験のコツ
分割の効力発生時期(遡及効)を問う問題
・分割禁止の可否・期間を問う問題
・預貯金債権の帰属を問う問題
06
実務での見え方
不動産取引において、相続登記未了の物件を売買する場合、遺産分割協議の有無・内容が重要となる。分割協議が成立していない場合、全相続人の…
07
よくある間違い
{"mistake":"遺産分割の効力が「協議成立時」から生じると誤解する。","why_wrong":"民法909条の「相続開始時…
02深度分析
要約
遺産分割に関する4つの論点(分割禁止、分割協議の解除、預貯金債権の帰属、分割の遡及効)から正しい記述を選ぶ問題。判例法理である「遺産分割協議の合意解除」の理解が求められる。民法908条、909条の知識に加え、預貯金債権に関する法改正前の判例も問われている。
法的根拠
民法908条(遺産分割の禁止)民法909条(遺産分割の効力)民法899条(共有持分)民法559条(準消費貸借)
論理の流れ
選択肢1は民法908条により遺言で5年を超えない範囲で分割禁止可能なので誤り。選択肢3は預貯金債権は相続開始時に当然分割されず、遺産分割が必要(当時の判例)。選択肢4は民法909条で分割は相続開始時に遡及するので誤り。選択肢2は判例により全員合意での解除が認められるため正解。
重要な区別
最も重要な区別は「遺産分割の効力発生時期」。民法909条は相続開始時に遡及すると規定しており、分割協議成立時ではない。この遡及効の理解が選択肢4の判断に不可欠。
各選択肢のポイント
- 民法908条により、被相続人は遺言で5年を超えない範囲で遺産分割を禁止できる。
- 判例により、全共同相続人の合意があれば既存の分割協議を解除し、新たな協議を成立させることができる。
- 当時の判例では、預貯金債権は相続開始時に当然には分割されず、遺産分割が必要とされた。
- 民法909条により、遺産分割は相続開始時に遡って効力を生じる(遡及効)。協議成立時ではない。
03知識背景
テーマ概要
遺産分割とは、共同相続人が相続財産を実際に分割する手続き。分割方法には指定分割、協議分割、調停・審判分割がある。分割の効力、分割禁止、解除など多様な論点が存在し、相続分野の中核をなす重要テーマである。
歴史的背景
民法908条は2018年改正で分割禁止期間が5年から10年に延長された。預貯金債権については2019年改正で可分債権として当然分割されることになったが、本問は改正前の判例に基づく。
関連法令
民法908条(遺産分割の禁止)民法909条(遺産分割の効力)民法905条(遺産分割の協議)民法907条(遺産分割の方法)
体系的位置づけ
民法科目の「相続」分野における中核的論点。宅建試験では毎年のように相続分野から出題され、遺産分割は頻出テーマの一つである。
前提知識
相続の基本概念(相続開始、相続人、相続分)、遺言の効力、共有持分の概念、契約の解除に関する一般原則を理解していることが前提。判例法理の存在にも留意が必要。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「遺産分割は遡及効(909条)」「分割禁止は5年まで(908条)」「預貯金は当然分割なし(改正前判例)」「合意解除は全員一致」をセットで暗記。
ビジュアル描写
相続開始時点を起点に、遺言による分割禁止→協議による分割→遡及効で開始時に戻る、というタイムラインでイメージ化する。
重要公式
遺産分割の効力=相続開始時に遡及(民法909条)+第三者の権利を害さない
関連連想
「遡及効」は「過去に戻る力」と連想。分割協議は未来の合意だが、効力は過去(相続開始時)に及ぶ。
比較表
分割禁止:遺言で可能、5年以内(現行10年)|分割効力:相続開始時に遡及|預貯金:改正前は当然分割なし、改正後は当然分割|協議解除:全員合意で可能
05試験テクニック
出題頻度
遺産分割関連は毎年何らかの形で出題される頻出テーマ。特に分割の効力、分割禁止、協議の解除は重要。
重要度
A:最重要。相続分野は宅建試験の得点源とすべき分野であり、遺産分割はその中核をなす。
出題パターン
- 分割の効力発生時期(遡及効)を問う問題
- 分割禁止の可否・期間を問う問題
- 預貯金債権の帰属を問う問題
解法・消去法
「絶対にできない」「当然に分割される」等の断定的表現には要注意。民法には例外が多く、判例法理も存在するため、絶対的な記述は誤りの可能性が高い。
時間戦略
条文の直接の知識を問う問題が多いため、民法908条、909条を即座に想起できれば1分以内で解答可能。迷ったら条文番号を確認。
06実務応用
実務シナリオ
不動産取引において、相続登記未了の物件を売買する場合、遺産分割協議の有無・内容が重要となる。分割協議が成立していない場合、全相続人の同意が必要。
実務への影響
遺産分割協議の解除は実務上稀だが、全員合意によるやり直しは可能。不動産取引では分割協議書の確認が必須であり、その有効性判断に本法理が活きる。
ケーススタディ
父が死亡し、3人の子が遺産分割協議で不動産を長男に帰属させた後、次男が不満を抱き、協議のやり直しを希望する場合。全員合意があれば解除・再協議が可能。
業界関連性
不動産業界では相続物件の取引が多く、遺産分割協議書の確認は実務の日常業務。その法的有効性の理解は必須スキルである。
ニュース連動
相続登記の義務化(2024年施行)により、遺産分割の重要性が増加。相続関連の法的トラブルも社会的関心事となっている。
07よくある間違い
遺産分割の効力が「協議成立時」から生じると誤解する。
なぜ間違えるか:民法909条の「相続開始時に遡及する」という規定を正確に理解していない。
正しい理解:「遡及効」というキーワードを確実に覚える。協議成立時ではなく、相続開始時に戻って効力が発生する。
預貯金債権は相続開始時に当然に分割されると考える。
なぜ間違えるか:法改正前の判例法理を知らない、または改正後の知識を混同している。
正しい理解:試験問題の年度を確認し、改正前後の知識を使い分ける。預貯金債権は改正で大きく変わった論点。
遺言による遺産分割禁止はできないと誤解する。
なぜ間違えるか:民法908条の存在を忘れている、または期間制限と禁止の可否を混同している。
正しい理解:「分割禁止はできる、でも期間制限あり」と覚える。被相続人の意思を尊重しつつ、相続人の利益も保護するバランス規定。
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