令和2年(2020)本試験
問109
地役権過去問
この問題の全体像
地役権の時効取得要件を中心に、地役権の内容、承役地所有者の義務の承継、地役権の付従性に関する対抗問題を問う問題。選択肢1の「又は」が誤りで、「かつ」が正しい要件表現であることを見抜くことが求められる。
地役権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 1地役権は、継続的に行使されるもの、又は外形上認識することができるものに限り、時効取得することができる。
- 2地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、承役地を要役地の便益に供する権利を有する。
- 3設定行為又は設定後の契約により、承役地の所有者が自己の費用で地役権の行使のために工作物を設け、又はその修繕をする義務を負担したときは、承役地の所有者の特定承継人もその義務を負担する。
- 4要役地の所有権とともに地役権を取得した者が、所有権の取得を承役地の所有者に対抗し得るときは、地役権の取得についても承役地の所有者に対抗することができる。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
地役権の時効取得要件を中心に、地役権の内容、承役地所有者の義務の承継、地役権の付従性に関する対抗問題を問う問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
地役権の時効取得要件を中心に、地役権の内容、承役地所有者の義務の承継、地役権の付従性に関する対抗問題を問う問題。選択肢1の「又は」が…
03
知識背景
地役権は他人の土地(承役地)を自己の土地(要役地)の便益に供する権利。設定行為、時効取得で発生し、付従性・不可分性を有する。時効取得…
04
覚え方
地役権の時効取得は「継続・外形のダブル要件」。「又は」はダメ、「かつ」で両方そろえて。語呂:「継続して見える(外形)だけが時効で取れ…
05
試験のコツ
時効取得の要件(継続性・外形認識性)の正誤判定
・付従性・不可分性の内容理解
・承役地所有者の義務の承継
06
実務での見え方
不動産取引において、隣地を通る通路が長年使用されている場合、その使用権が時効取得されているか確認が必要。登記がなくても時効取得の可能…
07
よくある間違い
{"mistake":"「又は」と「かつ」の違いを見落とし、選択肢1を正しいと判断してしまう。","why_wrong":"地役権の…
02深度分析
要約
地役権の時効取得要件を中心に、地役権の内容、承役地所有者の義務の承継、地役権の付従性に関する対抗問題を問う問題。選択肢1の「又は」が誤りで、「かつ」が正しい要件表現であることを見抜くことが求められる。
法的根拠
民法280条民法282条民法283条民法285条1項民法177条
論理の流れ
地役権の時効取得には判例により「継続性」と「外形認識性」の両要件が必要とされる。選択肢1の「又は」は両要件のいずれか一方で足りるとする誤った表現。他方、選択肢2は民法280条の規定通り正しい。選択肢3は民法285条1項の規定通り正しい。選択肢4は判例法理により、地役権の付従性から所有権とともに取得した地役権の対抗問題について正しい。したがって誤りは選択肢1。
重要な区別
「継続的に行使されるもの」かつ「外形上認識することができるもの」の両要件が必要か、「又は」で片方でよいかの区別。判例は両要件の併存を要求する。
各選択肢のポイント
- 「又は」とすべきところを「かつ」とすべき。地役権の時効取得には継続性と外形認識性の両方が必要。
- 民法280条の規定通り。地役権者は設定行為の目的に従い承役地を要役地の便益に供する権利を有する。
- 民法285条1項の規定通り。承役地所有者の義務は特定承継人にも引き継がれる。
- 判例法理により、地役権は付従性を有し、要役地所有権とともに取得した地役権は所有権登記で対抗可能。
03知識背景
テーマ概要
地役権は他人の土地(承役地)を自己の土地(要役地)の便益に供する権利。設定行為、時効取得で発生し、付従性・不可分性を有する。時効取得には継続性と外形認識性の両要件が必要とされる。
歴史的背景
地役権制度はローマ法に起源を持ち、日本では明治民法で導入。2017年改正で不動産登記法との関係が整理された。時効取得の要件は判例により確立された法理である。
関連法令
民法280条(地役権の意義)民法282条(地役権の取得時効)民法283条(地役権の付従性)民法285条(工作物の設置義務)民法177条(第三者対抗要件)
体系的位置づけ
民法科目の物権法分野における用益物権の重要論点。宅建試験では地役権の性質、時効取得、付従性・不可分性が頻出。
前提知識
要役地・承役地の区別、地役権の付従性・不可分性、時効取得の一般原則、登記の対抗力、継続的権利と非継続的権利の区別が必要。
04記憶テクニック
語呂合わせ
地役権の時効取得は「継続・外形のダブル要件」。「又は」はダメ、「かつ」で両方そろえて。語呂:「継続して見える(外形)だけが時効で取れる」
ビジュアル描写
要役地(自分の土地)と承役地(他人の土地)を結ぶ通路をイメージ。通路が常に使われ(継続性)、目に見える形(外形認識性)で存在することが時効取得の条件。
重要公式
地役権時効取得=継続性+外形認識性(両方必要)
関連連想
「見えない権利は時効で取れない」と覚える。通路や水路など目に見える形で継続使用されたものだけが時効取得可能。
比較表
地役権の時効取得 vs 所有権の時効取得:地役権は継続性+外形認識性の両方が必要。所有権は占有継続のみ。地役権は登記不要で時効取得可能だが対抗には登記が必要。
05試験テクニック
出題頻度
地役権は2-3年に1回出題。時効取得の要件は頻出論点の一つ。
重要度
A:最重要。地役権の基本概念と時効取得要件は確実に押さえるべき基本知識。
出題パターン
- 時効取得の要件(継続性・外形認識性)の正誤判定
- 付従性・不可分性の内容理解
- 承役地所有者の義務の承継
解法・消去法
選択肢2・3は条文の規定通りなので正解と判断し消去。選択肢4は判例法理として正しい。残る選択肢1の「又は」に着目し誤りを発見する。
時間戦略
「又は」と「かつ」の違いに即座に気づけるかが鍵。1分以内で判断可能。条文知識があれば選択肢2・3は即座に正解と判断できる。
06実務応用
実務シナリオ
不動産取引において、隣地を通る通路が長年使用されている場合、その使用権が時効取得されているか確認が必要。登記がなくても時効取得の可能性があるため、物件調査で現地の状況確認が重要。
実務への影響
地役権の時効取得が認められると、登記なくして権利が成立するため、不動産売買における権利関係の調査に影響。実務では現地調査が不可欠。
ケーススタディ
Aの土地を通路として50年間使用してきたBが、地役権の時効取得を主張。通路は継続的に使用され、外形上も認識可能であったため、時効取得が認められた事例。
業界関連性
不動産業界では、境界紛争、通路問題、用水路の使用権などで地役権が重要。登記簿に現れない権利の調査が実務上極めて重要。
ニュース連動
近年、都市部での通路紛争、境界トラブルが増加。地役権の時効取得が注目される事例がニュースでも取り上げられている。
07よくある間違い
「又は」と「かつ」の違いを見落とし、選択肢1を正しいと判断してしまう。
なぜ間違えるか:地役権の時効取得要件を「どちらか一方でよい」と誤解している。条文の正確な理解不足。
正しい理解:「又は」と「かつ」の表現には要注意。地役権時効取得は「ダブル要件」として覚える。
選択肢4の付従性の法理を理解せず、誤りと判断してしまう。
なぜ間違えるか:地役権の付従性と登記の対抗力の関係を正確に理解していない。
正しい理解:付従性とは「従たる権利は主たる権利に従う」という原則。所有権とセットで考える。
選択肢3の特定承継人への義務承継を、登記がないため無効と誤解する。
なぜ間違えるか:物権的負担の承継と登記の関係を混同している。
正しい理解:承役地の負担は物権的性質を持ち、特定承継人に当然承継される。条文の規定を確認。
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