令和2年(2020)本試験

209

売買契約・贈与契約過去問

この問題の全体像

売買契約と負担付贈与契約の異同を問う問題。特に手付解除の制限、書面によらない贈与の解除、担保責任、解除権の発生要件について理解を深める必要がある。負担付贈与は売買に類似した性質を持つことが核心。

令和2年209
Aがその所有する甲建物について、Bとの間で、①Aを売主、Bを買主とする売買契約を締結した場合と、②Aを贈与者、Bを受贈者とする負担付贈与契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、担保責任に関する特約はないものとする。
  • 1①の契約において、Bが手付を交付し、履行期の到来後に代金支払の準備をしてAに履行の催告をした場合、Aは、手付の倍額を現実に提供して契約の解除をすることができる。
  • 2②の契約が書面によらずになされた場合、Aは、甲建物の引渡し及び所有権移転登記の両方が終わるまでは、書面によらないことを理由に契約の解除をすることができる。
  • 3②の契約については、Aは、その負担の限度において、売主と同じく担保責任を負う。
  • 4①の契約については、Bの債務不履行を理由としてAに解除権が発生する場合があるが、②の契約については、Bの負担の不履行を理由としてAに解除権が発生することはない。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
売買契約と負担付贈与契約の異同を問う問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
売買契約と負担付贈与契約の異同を問う問題。特に手付解除の制限、書面によらない贈与の解除、担保責任、解除権の発生要件について理解を深め…
03
知識背景
負担付贈与とは、受贈者が贈与者に対して一定の給付(負担)をする義務を負う贈与契約。贈与の一種だが、負担の存在により売買に類似した性質…
04
覚え方
負担付贈与は「売買の親戚」:担保責任は売主と同じ(負担の限度で)。でも「書面解除」は使えない。覚え方:「負担ある贈与は、売買に近い責…
05
試験のコツ
売買と負担付贈与の担保責任の比較 ・書面解除規定の適用可否 ・手付解除と履行の着手の関係
06
実務での見え方
親が子に不動産を贈与する際、子が親の生活費を負担する約束をするケース。この場合、不動産に欠陥があれば、負担の限度で親は担保責任を負う…
07
よくある間違い
{"mistake":"負担付贈与にも書面解除(民法550条)が適用できると誤解する。","why_wrong":"負担付贈与を通常…
02深度分析
要約
売買契約と負担付贈与契約の異同を問う問題。特に手付解除の制限、書面によらない贈与の解除、担保責任、解除権の発生要件について理解を深める必要がある。負担付贈与は売買に類似した性質を持つことが核心。
法的根拠
民法551条(負担付贈与の担保責任)民法557条(手付解除の制限)民法550条(書面によらない贈与の解除)民法541条(履行遅滞による解除)
論理の流れ
まず負担付贈与の性質を理解する。負担付贈与は贈与の一種だが、負担がある点で売買に類似する。民法551条は「贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく、担保の責任を負う」と明記。各選択肢について、手付解除の制限(履行の着手後は解除不可)、書面解除の可否(負担付贈与には不適用)、担保責任の範囲、解除権の発生を検討する。
重要な区別
負担付贈与が「贈与」であると同時に「売買に類似した性質」を持つ二面性を理解すること。担保責任は売主と同様だが、書面解除規定は適用されない点が重要。
各選択肢のポイント
  • 履行期到来後に買主が履行の着手(催告)をした場合、売主は手付倍額償還による解除ができない(民法557条2項)。
  • 負担付贈与には民法550条の書面によらない贈与の解除規定は適用されない。引渡し・登記前でも解除できない。
  • 民法551条が「贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく、担保の責任を負う」と規定しており、正しい。
  • 負担付贈与は双務契約的性質を持ち、受贈者の負担不履行により贈与者に解除権が発生する場合がある。
03知識背景
テーマ概要
負担付贈与とは、受贈者が贈与者に対して一定の給付(負担)をする義務を負う贈与契約。贈与の一種だが、負担の存在により売買に類似した性質を有する。担保責任については売主と同様の責任を負うが、書面解除や贈与の撤回など一部規定は適用されない。
歴史的背景
負担付贈与の規定は明治民法から存在。担保責任の規定は2017年改正民法で大幅に見直されたが、負担付贈与の担保責任に関する551条の基本構造は維持された。
関連法令
民法549条(贈与)民法550条(書面によらない贈与の解除)民法551条(負担付贈与の担保責任)民法557条(手付解除の制限)
体系的位置づけ
民法第2編第2章第3節「贈与」に位置づく。売買契約との比較として頻出論点であり、契約法全体の理解を問う重要な分野。
前提知識
贈与契約の基本構造、売買契約の担保責任、手付の性質と解除権、履行の着手の意義、書面による契約の意義、双務契約と片務契約の区別を理解しておく必要がある。
04記憶テクニック
語呂合わせ
負担付贈与は「売買の親戚」:担保責任は売主と同じ(負担の限度で)。でも「書面解除」は使えない。覚え方:「負担ある贈与は、売買に近い責任負う」
ビジュアル描写
負担付贈与を「通常贈与」と「売買」の中間に位置づけるイメージ。負担の重さに応じて売買に近づく。スペクトル図で理解すると分かりやすい。
重要公式
負担付贈与の担保責任=負担の限度で売主と同じ(民法551条)
関連連想
「負担」=「責任」と連想。負担があるから責任も重くなる(売主並み)。
比較表
【売買 vs 負担付贈与 vs 通常贈与】 担保責任:売買(全面)/負担付贈与(負担の限度)/通常贈与(原則なし) 書面解除:売買(不適用)/負担付贈与(不適用)/通常贈与(適用) 双務性:売買(有)/負担付贈与(部分的)/通常贈与(無)
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回程度出題。負担付贈与単独ではなく、売買や通常贈与との比較で出題される傾向。
重要度
A:最重要。契約法の中核論点であり、担保責任や解除権と絡めて総合的に問われる。
出題パターン
  • 売買と負担付贈与の担保責任の比較
  • 書面解除規定の適用可否
  • 手付解除と履行の着手の関係
解法・消去法
「書面解除」が含まれる選択肢は負担付贈与には適用されないため誤りと判断。「履行の着手」後の手付解除も不可。消去法で正解に近づく。
時間戦略
まず民法551条を想起し、負担付贈与の性質を確認。各選択肢を条文に照らして判断。2分以内で解答を目指す。
06実務応用
実務シナリオ
親が子に不動産を贈与する際、子が親の生活費を負担する約束をするケース。この場合、不動産に欠陥があれば、負担の限度で親は担保責任を負う。実務では負担の範囲が争いとなりやすい。
実務への影響
負担付贈与契約書を作成する際、担保責任の範囲を明確にする必要がある。負担の内容・金額を具体的に記載し、後日の紛争を防ぐことが重要。
ケーススタディ
AがBに土地を贈与し、BはAの介護費用として月10万円を負担するとした場合。土地に地中障害物があった場合、Bの負担額の限度でAは担保責任を負う。介護費用総額が担保責任の上限となる。
業界関連性
不動産業界では、親族間の不動産譲渡で負担付贈与が利用される。税務上の取扱い(贈与税vs譲渡所得税)との関係も実務上重要。
ニュース連動
高齢化社会で親族間の介護見返りとしての不動産譲渡が増加。負担付贈与のトラブルも増えており、契約内容の明確化が社会的課題となっている。
07よくある間違い
負担付贈与にも書面解除(民法550条)が適用できると誤解する。
なぜ間違えるか:負担付贈与を通常の贈与と同じく片務契約と捉えてしまうため。
履行の着手後も手付解除が可能と誤解する。
なぜ間違えるか:手付解除の無制限性を過大評価し、相手方の保護規定を見落とすため。
負担付贈与では解除権が発生しないと誤解する。
なぜ間違えるか:贈与は片務契約という先入観から、解除権の発生を否定してしまうため。
解説は、まだ続きます
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