平成5年(1993)本試験

6第三者の弁済において、債務者が反対した際に弁済が認められるためには「正当な利益」が必要である点。

弁済・代位過去問

この問題の全体像

第三者による弁済の可否、特に債務者が反対する場合の「正当な利益」の有無、領収証を持参した者への弁済の効力、および領収証交付請求権に関する知識を問う問題。

平成5年6
AのBからの借入金100万円の弁済に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  • 1Aの兄Cは、Aが反対しても、Bの承諾があれば、Bに弁済することができる。
  • 2Aの保証人DがBに弁済した場合、Dは、Bの承諾がなくても、Bに代位することができる。
  • 3B名義の領収証をEが持参したので、AがEに弁済した場合において、Eに受領権限がなくても、Aが過失無くしてその事情を知らなかったときは、Aは、免責される。
  • 4Aは、弁済に当たり、Bに対して領収証を請求し、Bがこれを交付しないときは、その交付がなされるまで弁済を拒むことができる。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
第三者の弁済において、債務者が反対した際に弁済が認められるためには「正当な利益」が必要である点。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
第三者による弁済の可否、特に債務者が反対する場合の「正当な利益」の有無、領収証を持参した者への弁済の効力、および領収証交付請求権に関…
03
知識背景
弁済は債権の消滅原因の中で最も重要なもの。原則として債務者以外の第三者も弁済できるが、債務者の意思を尊重するため、債務者が反対する場…
04
覚え方
「兄は無関係、保証人は代位、領収証は善意無過失、証書なしなら払わない」
05
試験のコツ
第三者の弁済可否 ・領収証を持参した者への弁済の効力 ・代位の要件
06
実務での見え方
親が子の借金を肩代わりしようとする際、子が反対している場合、親(第三者)は一方的に返済できない。ただし、親が連帯保証人であれば可能。
07
よくある間違い
{"mistake":"兄などの親族も「正当な利益」があると勘違いする。","why_wrong":"親族だからといって、返済しない…
02深度分析
要約
第三者による弁済の可否、特に債務者が反対する場合の「正当な利益」の有無、領収証を持参した者への弁済の効力、および領収証交付請求権に関する知識を問う問題。
法的根拠
民法474条(第三者の弁済)民法480条(領収証を持参する者に対する弁済)民法481条(証書の交付と返還)民法500条(法定代位)
論理の流れ
選択肢1の兄Cは利害関係人ではないため、民法474条(旧法下では判例法理を含む)に基づき、債務者Aが反対する場合には弁済できない。債権者Bの承諾のみでは不十分。よって誤り。選択肢2は保証人の法定代位(500条)、3は領収証所持人への弁済(480条)、4は領収証交付請求権(481条)であり、いずれも正しい記述である。
重要な区別
第三者の弁済において、債務者が反対した際に弁済が認められるためには「正当な利益」が必要である点。
各選択肢のポイント
  • 兄は通常「正当な利益」を有しないため、債務者が反対すれば、債権者の承諾があっても弁済できないから。
  • 保証人は法定代位権者(民法500条)であり、債権者の承諾がなくても当然に代位するから。
  • 領収証の所持人に対する弁済は、債務者が善意無過失であれば有効とされる(民法480条)から。
  • 弁済者は弁済と引換えに領収証の交付を請求でき、交付がなければ弁済を拒める(民法481条)から。
03知識背景
テーマ概要
弁済は債権の消滅原因の中で最も重要なもの。原則として債務者以外の第三者も弁済できるが、債務者の意思を尊重するため、債務者が反対する場合には「正当な利益」がある者に限られる。
歴史的背景
旧民法474条は「債務者が反対するときは第三者は弁済できない」と規定していたが、判例は「正当な利益」がある場合を例外として認めていた。2020年改正民法でこの判例法理が明文化された。
関連法令
民法473条(第三者の弁済)民法474条(第三者の弁済と異議)民法499条〜503条(代位)民法480条(領収証を持参する者への弁済)
体系的位置づけ
民法(債権総論)における「弁済」の分野。宅建士試験の民法分野では、頻出かつ基礎的な論点として位置づけられる。
前提知識
弁済の定義、第三者弁済の原則と例外、代位(法定代位と任意代位)の仕組み、弁済の提供の方法。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「兄は無関係、保証人は代位、領収証は善意無過失、証書なしなら払わない」
ビジュアル描写
債務者が「NO」と言っている壁を、正当な利益(鍵)を持つ保証人は越えられるが、兄(ただの親族)は越えられないイメージ。
重要公式
第三者弁済 = 原則OK。債務者反対 = 正当な利益が必要。
関連連想
「正当な利益」=「自分が払わないと自分が損する人」と連想する。
比較表
【正当な利益あり】保証人、物上保証人、抵当不動産の第三取得者(返さないと自分の財産を失う) vs 【正当な利益なし】友人、親族(通常)。
05試験テクニック
出題頻度
3〜5年に1回程度。基礎論点として繰り返し出題される。
重要度
A:最重要。弁済は債権消滅の核心であり、実務でも必須。
出題パターン
  • 第三者の弁済可否
  • 領収証を持参した者への弁済の効力
  • 代位の要件
解法・消去法
保証人の代位や領収証の効力は条文通り正しいことが多いため、それらを消去し、第三者弁済の制限に絞る。
時間戦略
条文知識が明確であれば即答可能。迷ったら「正当な利益」の有無で判断。
06実務応用
実務シナリオ
親が子の借金を肩代わりしようとする際、子が反対している場合、親(第三者)は一方的に返済できない。ただし、親が連帯保証人であれば可能。
実務への影響
債権回収の場面で、誰が返済すれば法的に有効か、代位によって誰が債権者に立つかが重要。
ケーススタディ
他人の借金を勝手に返済して感謝されないどころか、返済を拒まれるトラブル。正当な利益がないと認められない例。
業界関連性
不動産売買における残金決済時、誰が振り込むか、領収証の交付タイミング等で関連。
ニュース連動
親族間の金銭トラブルや、過払い金請求における代位の問題などで話題に。
07よくある間違い
兄などの親族も「正当な利益」があると勘違いする。
なぜ間違えるか:親族だからといって、返済しないことで自分の権利が侵害されるわけではないため。
債権者の承諾があれば、債務者が反対しても第三者が弁済できると考える。
なぜ間違えるか:弁済は債務者の解放を目的とするため、債務者の意思が優先される。
領収証を持参した者への弁済は常に有効だと考える。
なぜ間違えるか:民法480条は、債権者の過失と債務者の善意無過失が条件。
解説は、まだ続きます
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