平成6年(1994)本試験

2詐欺による取消しは「追認できる時から5年」かつ「行為の時から20年」経過すると消滅すること。また、保佐人の同意欠如は「無効」ではなく「取消し」であること。

無効と取り消し過去問

この問題の全体像

虚偽の説明による詐欺取消しと、取消権の消滅時効に関する問題。Bの嘘をAが信じて契約したため詐欺取消しが可能であり、その行使期間は追認できる時から5年、行為の時から20年である。

平成6年2
Aは、「近く新幹線が開通し、別荘地として最適である」旨のBの虚偽の説明を信じて、Bの所有する原野(時価20万円)を、別荘地として 2,000万円で購入する契約を締結した。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 1Aは、当該契約は公序良俗に反するとして、その取消しを主張するとともに、Bの不法行為責任を追及することができる。
  • 2Aは、無過失のときに限り、法律行為の要素に錯誤があるとして、その契約を取り消すことができる。
  • 3Aは、当該契約の締結は詐欺に基づくものであるとして、その取消しを主張することができるが、締結後20年を経過したきは、取り消すことができない。
  • 4Aが被保佐人であり、保佐人Cの同意を得ずに当該契約を締結した場合、Cは当該契約の締結にはCの同意がないとして、その無効を主張することができる。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
詐欺による取消しは「追認できる時から5年」かつ「行為の時から20年」経過すると消滅すること。また、保佐人の同意欠如は「無効」ではなく「取消し」であること。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
虚偽の説明による詐欺取消しと、取消権の消滅時効に関する問題。Bの嘘をAが信じて契約したため詐欺取消しが可能であり、その行使期間は追認…
03
知識背景
意思表示の瑕疵(かし)に関する分野。詐欺・強迫は取消し得る意思表示として規定されており、被害者保護と取引安全のバランスを図る重要なテ…
04
覚え方
詐欺強迫は「サ(5)ニ(2)ジュウ(20)」で消滅。追認から5年、行為から20年。
05
試験のコツ
詐欺と錯誤の区別 ・取消しと無効の区別 ・取消権の消滅時効の起算点
06
実務での見え方
不動産業者が「駅ができる」と嘘をついて土地を売却した場合、買主は契約を取り消せる。
07
よくある間違い
{"mistake":"保佐人の同意がない行為を「無効」と判断する。","why_wrong":"同意を要する行為は「取消し得る」も…
02深度分析
要約
虚偽の説明による詐欺取消しと、取消権の消滅時効に関する問題。Bの嘘をAが信じて契約したため詐欺取消しが可能であり、その行使期間は追認できる時から5年、行為の時から20年である。
法的根拠
民法96条1項(詐欺)民法126条(取消権の消滅時効)民法12条1項(保佐人の同意権)民法121条(取消しの効果)民法90条(公序良俗)
論理の流れ
Bの虚偽説明は詐欺に該当するため、Aは契約を取り消せる(民法96条1項)。取消権の消滅時効は、追認できる時から5年、行為の時から20年である(民法126条)。選択肢3はこの通り正しい。選択肢4は保佐人の同意が必要な行為は取り消し得るものであり、無効ではないため誤り。
重要な区別
詐欺による取消しは「追認できる時から5年」かつ「行為の時から20年」経過すると消滅すること。また、保佐人の同意欠如は「無効」ではなく「取消し」であること。
各選択肢のポイント
  • 詐欺取消しを主張すべきであり、公序良俗違反を理由に取消しはできない。不法行為責任は追及可能だが取消し理由が誤り。
  • 詐欺が成立する場合、錯誤(無過失)の主張は不要であり、詐欺取消しを検討すべきである。
  • 詐欺を理由に取消しは可能であり、取消権は20年で消滅するため記述通り正しい。
  • 保佐人の同意を要する行為は「取消し得る」ものであり、同意がないからといって当然に「無効」とはならない。
03知識背景
テーマ概要
意思表示の瑕疵(かし)に関する分野。詐欺・強迫は取消し得る意思表示として規定されており、被害者保護と取引安全のバランスを図る重要なテーマ。
歴史的背景
民法制定当初からある制度。成年後見制度の改正(2000年、2020年)により保佐人等の権限は変化したが、詐欺取消しの基本構造は維持されている。
関連法令
民法95条(錯誤)民法96条(詐欺・強迫)民法121条(取消しの効果)民法126条(取消権の時効)
体系的位置づけ
民法総則における「意思表示」の核心部分であり、不動産取引の有効性を判断する基礎知識として位置づけられる。
前提知識
「無効」と「取消し」の違い、取消権の消滅時効(除斥期間)、詐欺と錯誤の使い分けに関する基礎的理解が必要。
04記憶テクニック
語呂合わせ
詐欺強迫は「サ(5)ニ(2)ジュウ(20)」で消滅。追認から5年、行為から20年。
ビジュアル描写
タイムラインをイメージし、契約日から20年という長い赤い線を引く。その線を超えると取消権が消えるイメージ。
重要公式
詐欺取消し=嘘+信頼+取消権(5年or20年)。
関連連想
新幹線の嘘=詐欺。20年経つとチャンス消失。
比較表
詐欺(取消し、第三者対抗可)、強迫(取消し、第三者対抗不可)、錯誤(無効、重過失不可)。
05試験テクニック
出題頻度
毎年出題。意思表示の瑕疵は頻出分野である。
重要度
A:最重要。契約の有効性を問う基本中の基本だから。
出題パターン
  • 詐欺と錯誤の区別
  • 取消しと無効の区別
  • 取消権の消滅時効の起算点
解法・消去法
「無効」と書いてある選択肢は、取消し得る行為(詐欺・強迫・保佐人同意欠如)では誤りとして消せる。
時間戦略
時効の数字(5年、20年)と無効・取消しのキーワードを確認すれば即答可能。
06実務応用
実務シナリオ
不動産業者が「駅ができる」と嘘をついて土地を売却した場合、買主は契約を取り消せる。
実務への影響
虚偽説明によるトラブルを防ぐため、重要事項説明の正確性が求められる。
ケーススタディ
開発予定地が実際には開発されなかった場合、詐欺取消しや債務不履行責任が問われる。
業界関連性
不動産取引における説明義務違反のリスク管理に直結する知識。
ニュース連動
再生可能エネルギー関連の土地転売や、リゾート地開発の詐欺事件などで関連性が高い。
07よくある間違い
保佐人の同意がない行為を「無効」と判断する。
なぜ間違えるか:同意を要する行為は「取消し得る」ものであり、無効ではない。
詐欺取消しの期間制限を「5年」のみと認識している。
なぜ間違えるか:行為の時から20年経過しても取消権は消滅する。
詐欺による取消しを「公序良俗違反」と混同する。
なぜ間違えるか:個人の意思表示の瑕疵は詐欺等の規定が優先的に適用される。
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