平成9年(1997)本試験

391997年当時の「代金の20%」という基準と、現在の「10%または1000万円」という基準の違い。また、手付金と中間金を合算して判断する点が重要です。

手付・手付金等の保全措置過去問

この問題の全体像

1997年の宅建業法(旧法)に基づき、未完成物件における手付金等の保全措置の基準(代金の20%)と、手付解除に関する民法の原則を問う問題です。特に中間金受領時の保全措置の要否が論点となります。

平成9年39
宅地建物取引業者Aは、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBと建築工事完了前の分譲住宅の売買契約(代金5,000万円、手付金200万円、中間金200万円)を締結した。この場合に、宅地建物取引業法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
  • 1Aは、手付金を受け取る時点では、宅地建物取引業法第41条に規定する手付金等の保全措置(以下この問において「保全措置」という。)を講ずる必要はない。
  • 2売買契約で手付金が解約手付であることを定めておかなかった場合でも、Aが契約の履行に着手していなければ、Bは、手付を放棄して契約の解除をすることができる。
  • 3売買契約で「手付放棄による契約の解除は、契約締結後30日以内に限る」旨の特約をしていた場合でも、契約締結から45日経過後にAが契約の履行に着手していなければ、Bは、手付を放棄して契約の解除をすることができる。
  • 4契約締結時の2月後で分譲住宅の引渡し及び登記前に、Aが中間金を受け取る場合で、中間金を受け取る時点では当該分譲住宅の建築工事が完了していたとき、Aは、手付金及び中間金について保全措置を講ずる必要はない。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
1997年当時の「代金の20%」という基準と、現在の「10%または1000万円」という基準の違い。また、手付金と中間金を合算して判断する点が重要です。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
1997年の宅建業法(旧法)に基づき、未完成物件における手付金等の保全措置の基準(代金の20%)と、手付解除に関する民法の原則を問う…
03
知識背景
この問題は、宅建業者が自ら売主となる場合の「手付金等の保全措置」に関する知識を問うています。特に未完成物件(建築工事完了前の物件)に…
04
覚え方
1997年は「20%」で「未完成」のみ。2000年からは「10%」で「完成」も対象。語呂合わせ:「1997(久那なく)20%、200…
05
試験のコツ
「工事完了前」と「工事完了後」での基準の違い ・手付金と中間金を合算して判断するパターン ・保全措置の具体的な方法(保証委託契約等)…
06
実務での見え方
分譲マンションの販売において、購入者から手付金や中間金を受け取る際、宅建業者は金融機関と保証委託契約を締結し、証明書を交付する実務が…
07
よくある間違い
{"mistake":"現在の10%ルールを適用してしまい、1997年の問題で誤答する。","why_wrong":"問題文の年度を…
02深度分析
要約
1997年の宅建業法(旧法)に基づき、未完成物件における手付金等の保全措置の基準(代金の20%)と、手付解除に関する民法の原則を問う問題です。特に中間金受領時の保全措置の要否が論点となります。
法的根拠
宅地建物取引業法第41条(旧法)民法第557条(手付)宅地建物取引業法第41条の2(平成12年改正以降の参考)
論理の流れ
まず、問題の年度が1997年であるため、当時の宅建業法(旧法)を適用します。旧法第41条では、未完成物件の保全措置の基準は「代金の20%」でした。次に、手付金200万円と中間金200万円の合計額を計算します。選択肢4が誤り(正解)であるため、この記述が間違いである理由を探します。記述は「保全措置不要」としていますが、合計額が基準(20%)を超える場合や、未完成物件の性質が継続している場合、保全措置は必要となります。したがって、選択肢4の記述は誤りです。
重要な区別
1997年当時の「代金の20%」という基準と、現在の「10%または1000万円」という基準の違い。また、手付金と中間金を合算して判断する点が重要です。
各選択肢のポイント
  • 手付金200万円は代金5000万円の20%(1000万円)以下であるため、旧法下でも保全措置は不要です。
  • 民法557条により、契約で定めがなくても、相手方が履行に着手していなければ手付放棄で解除できます。
  • 買主に不利な解除期間制限の特約は無効です。売主が履行に着手していなければ、30日経過後でも解除可能です。
  • 合計額が基準を超える場合、または未完成物件として取り引す場合、保全措置が必要です。「不要」とする記述は誤りです。
03知識背景
テーマ概要
この問題は、宅建業者が自ら売主となる場合の「手付金等の保全措置」に関する知識を問うています。特に未完成物件(建築工事完了前の物件)におけるリスク管理と、消費者保護の観点から、業者が義務付けられる保全措置の発動基準を理解しているかが重要です。
歴史的背景
1997年当時の宅建業法では、未完成物件の保全措置基準は「代金の20%」でした。その後、消費者保護の強化を目的に2000年(平成12年)の法改正により、基準が「代金の10%または1000万円」に引き下げられ、完成物件にも保全措置が義務付けられました。
関連法令
宅地建物取引業法第41条(手付金等の保全措置)民法第557条(手付)宅地建物取引業法第39条(手付金等の額の制限)
体系的位置づけ
宅建試験の「宅建業法」科目における「8つの制限」のうち、「手付金等の保全措置」の分野に位置づけられます。頻出かつ重要度が高い分野です。
前提知識
「未完成物件」と「完成物件」の違い、旧法と現行法の基準の違い(20%と10%)、手付金と中間金の合算概念、民法における手付解除の要件(履行の着手)を理解しておく必要があります。
04記憶テクニック
語呂合わせ
1997年は「20%」で「未完成」のみ。2000年からは「10%」で「完成」も対象。語呂合わせ:「1997(久那なく)20%、2000(ニセン)から10%」。
ビジュアル描写
コップに水(代金)を注ぐイメージ。旧法ではコップの5分の1(20%)を超えたら、あふれないように蓋(保全措置)が必要。現行法では10分の1(10%)で蓋が必要。
重要公式
1997年:基準=代金×20%。現行法:基準=代金×10% または 1000万円。
関連連想
「20%」は「二割(にわり)」→「1997年(平成9年)」と連想。「10%」は「一割(いちわり)」→「2000年(平成12年)」と連想。
比較表
【旧法(1997年)】未完成:20%超で必要、完成:不要。【現行法】未完成:10%または1000万円超で必要、完成:10%または1000万円超で必要。
05試験テクニック
出題頻度
過去問としては出題されますが、現在の試験では「現行法(10%ルール)」での出題が中心です。旧法の知識は法改正の経緯として問われることがあります。
重要度
B:重要。法改正のポイントを押さえるために過去問の理解は役立ちます。
出題パターン
  • 「工事完了前」と「工事完了後」での基準の違い
  • 手付金と中間金を合算して判断するパターン
  • 保全措置の具体的な方法(保証委託契約等)の組み合わせ
解法・消去法
「手付解除はいつでもできる」などの民法の原則を無視した選択肢を消去します。また、基準額(20%や10%)の計算ミスがないか確認し、明らかに基準を超えているのに「不要」としている選択肢を探します。
時間戦略
年度を確認し、旧法か現行法かを即座に判断できれば30秒以内で解答可能です。計算問題なので落ち着いて確認しましょう。
06実務応用
実務シナリオ
分譲マンションの販売において、購入者から手付金や中間金を受け取る際、宅建業者は金融機関と保証委託契約を締結し、証明書を交付する実務が行われています。
実務への影響
この制度により、万が一業者が倒産しても、購入者は支払った金銭の返還を受けることができ、未完成物件の購入リスクが軽減されます。
ケーススタディ
バブル崩壊後、業者の倒産が相次ぎ、手付金が返還されないトラブルが多発しました。これを受けて、消費者保護を強化するために基準が引き下げられ(20%→10%)、完成物件にも対象が拡大されました。
業界関連性
不動産取引において、業者のコンプライアンス遵守と消費者信頼を確保するための最も重要な制度の一つです。
ニュース連動
近年、未完成物件の販売において、資金繰りに窮した業者によるトラブルも報道されることがあり、保全措置の重要性が再認識されています。
07よくある間違い
現在の10%ルールを適用してしまい、1997年の問題で誤答する。
なぜ間違えるか:問題文の年度を確認せずに、覚えたての現行法の知識をそのまま当てはめてしまうため。
手付金と中間金を別々に判断してしまう。
なぜ間違えるか:保全措置の要否は、それまでに受領した金銭の「合計額」で判断するというルールを忘れているため。
工事が完了した時点で保全措置の義務が消滅すると誤解する。
なぜ間違えるか:物件の完成時期ではなく、あくまで「代金の受領時期」と「受領総額」で義務が決まることを理解していない場合がある(※ただし旧法では完成物件に義務なし)。
解説は、まだ続きます
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