平成13年(2001)本試験
問7
抵当権(共同抵当)過去問
この問題の全体像
この問題は、共同抵当における「同時配当」と「異時配当」の違い、および後順位抵当権者の利益保護に関する規定を問うものです。
Aは、Bから3,000万円の借金をし、その借入金債務を担保するために、A所有の甲地と、乙地と、乙地上の丙建物の上に、いずれも第1順位の普通抵当権(共同抵当)を設定し、その登記を経た。その後甲地については、第三者に対して第2順位の抵当権が設定され、その登記がされたが、第3順位以下の担保権者はいない。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
- 1甲地が1,500万円、乙地が2,000万円、丙建物が500万円で競売され、同時に代価を配当するとき、Bはその選択により、甲地及び乙地の代金のみから優先的に配当を受けることができる。
- 2甲地のみが1,500万円で競売され、この代価のみがまず配当されるとき、Bは、甲地にかかる後順位抵当権者が存在しても、1,500万円全額(競売費用等は控除)につき配当を受けることができる。
- 3Bは、Aの本件借入金債務の不履行による遅延損害金については、一定の場合を除き、利息その他の定期金と通算し、最大限、最後の2年分しか、本件登記にかかる抵当権の優先弁済権を主張することができない。
- 4Bと、甲地に関する第2順位の抵当権者は、合意をして、甲地上の抵当権の順位を変更することができるが、この順位の変更は、その登記をしなければ効力が生じない。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
この問題は、共同抵当における「同時配当」と「異時配当」の違い、および後順位抵当権者の利益保護に関する規定を問うものです。
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02
深度分析
この問題は、共同抵当における「同時配当」と「異時配当」の違い、および後順位抵当権者の利益保護に関する規定を問うものです。
03
知識背景
共同抵当とは、1つの債権を担保するために複数の不動産に抵当権を設定することです。不動産が同時に競売された場合は価格按分で配当され、異…
04
覚え方
同時は「按分」で公平に、異時は「全額」で代位あり。後順位者を守るルールと覚える。
05
試験のコツ
同時配当と異時配当の違い
・代位の計算
・利息の優先期間
06
実務での見え方
銀行が企業に融資する際、本社土地と工場土地・建物を担保に取る場合。工場のみ売却された際の銀行と他の債権者の権利関係。
07
よくある間違い
{"mistake":"同時配当でも抵当権者が自由に配当先を選べると勘違いする。","why_wrong":"抵当権者の自由度が高い…
02深度分析
要約
この問題は、共同抵当における「同時配当」と「異時配当」の違い、および後順位抵当権者の利益保護に関する規定を問うものです。
法的根拠
民法392条(共同抵当の代位)民法375条(抵当権の処分)民法374条(抵当権の順位の変更)
論理の流れ
共同抵当において、複数の不動産が同時に競売された場合(同時配当)、民法392条1項により各不動産の価格に応じて債権額を按分しなければなりません。抵当権者が特定の不動産からのみ優先的に配当を受けることは、後順位抵当権者の利益を害するため認められません。したがって、選択肢1の記述は誤りです。
重要な区別
同時配当では「価格按分」が強制されるが、異時配当では「全額請求」が可能であり、その代わりに後順位者に「代位」が生じる点。
各選択肢のポイント
- 同時配当の場合は各不動産の価格に応じて債権を按分する必要があり、抵当権者が特定の不動産からのみ優先的に配当を受けることはできない。
- 異時配当の場合、抵当権者は当該不動産の代価から債権の全額の弁済を受けることができ、後順位抵当権者は代位により他の不動産について抵当権を行使する。
- 抵当権の優先弁済の効力は、利息その他の定期金及び遅延損害金については、最後の2年分についてのみ生じるのが原則である。
- 抵当権の順位の変更は、利害関係を有する者との合意が必要であり、その登記をしなければ効力が生じない。
03知識背景
テーマ概要
共同抵当とは、1つの債権を担保するために複数の不動産に抵当権を設定することです。不動産が同時に競売された場合は価格按分で配当され、異なる場合は全額請求が可能ですが、後順位者の代位権が認められます。
歴史的背景
共同抵当の制度は、複数の財産を担保にする際の債権者と他の担保権者間の公平を図るため、ドイツ法やフランス法の影響を受けながら明治民法以来整備されました。
関連法令
民法392条民法373条民法500条民法501条
体系的位置づけ
民法における担保物権の応用編として、宅建試験の権利関係科目において抵当権の基本に次ぐ重要な位置づけにあります。
前提知識
抵当権の基本的な優先弁済効、順位の概念、および利息の優先弁済期間の制限(最後の2年分)についての理解が必要です。
04記憶テクニック
語呂合わせ
同時は「按分」で公平に、異時は「全額」で代位あり。後順位者を守るルールと覚える。
ビジュアル描写
複数の皿(不動産)からケーキ(債権)を取るイメージ。同時は皿の大きさ比で分ける。異時は一つの皿から全部取るが、後で他の皿の分を返す。
重要公式
同時=価格按分、異時=全額請求+代位、利息=最後の2年。
関連連想
「同時」は「同時に食べるから公平に分け合う」、「異時」は「時間差があるから先に全部食べて後で調整」と連想。
比較表
同時配当:価格按分、代位なし。異時配当:全額請求、後順位者は代位あり。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回程度出題される重要論点。
重要度
A:最重要。抵当権の応用として必須。
出題パターン
- 同時配当と異時配当の違い
- 代位の計算
- 利息の優先期間
解法・消去法
利息の2年ルールや登記の要否など、基本的な知識問いから正誤を判断し、残りを絞り込む。
時間戦略
計算問題ではないが論理構造が複雑なため、落ち着いて条文の適用パターンを判断する。
06実務応用
実務シナリオ
銀行が企業に融資する際、本社土地と工場土地・建物を担保に取る場合。工場のみ売却された際の銀行と他の債権者の権利関係。
実務への影響
担保不動産の一部処分時の資金回収順序を明確にし、金融取引の安全性を高める。
ケーススタディ
A社がB土地とC建物で融資を受け、C建物のみ競売になった場合、銀行はCの代金から全額回収できるが、B土地の担保権はCの分だけ後順位者に移る。
業界関連性
不動産担保評価や債権回収実務において不可欠な知識。
ニュース連動
バブル崩壊後の不良債権処理や、近年の不動産流動化において担保権の実行順序が注目される。
07よくある間違い
同時配当でも抵当権者が自由に配当先を選べると勘違いする。
なぜ間違えるか:抵当権者の自由度が高いと誤解しているため。
正しい理解:「同時=按分」をセットで覚え、選択権はないと意識する。
異時配当で後順位者が代位できることを知らない。
なぜ間違えるか:異時配当のルールを丸暗記せず、代位の仕組みを理解していないため。
正しい理解:「異時=全額」の裏には「代位」があるとセットで覚える。
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