平成14年(2002)本試験
問8
解除過去問
この問題の全体像
売主の履行提供と買主の代金不払いによる契約解除、および転売関係における第三者(転売先)の地位について問う問題。
Aは、A所有の土地を、Bに対し、1億円で売却する契約を締結し、手付金として1,000万円を受領した。Aは、決済日において、登記及び引渡し等の自己の債務の履行を提供したが、Bが、土地の値下がりを理由に残代金を支払わなかったので、登記及び引渡しはしなかった。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
- 1Aは、この売買契約を解除せず、Bに対し、残代金の支払を請求し続けることができる。
- 2Aは、この売買契約を解除するとともに、Bに対し、売買契約締結後解除されるまでの土地の値下がりによる損害を理由として、賠償請求できる。
- 3Bが、AB間の売買契約締結後、この土地をCに転売する契約を締結していた場合で、Cがやはり土地の値下がりを理由としてBに代金の支払をしないとき、Bはこれを理由として、AB間の売買契約を解除することはできない。
- 4Bが、AB間の売買契約締結後、この土地をCに転売する契約を締結していた場合、Aは、AB間の売買契約を解除しても、Cのこの土地を取得する権利を害することはできない。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
売主の履行提供と買主の代金不払いによる契約解除、および転売関係における第三者(転売先)の地位について問う問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
売主の履行提供と買主の代金不払いによる契約解除、および転売関係における第三者(転売先)の地位について問う問題。
03
知識背景
売買契約における危険負担、債務不履行による解除、および二重譲渡や転売があった場合の第三者の法的保護に関する一連のルール。
04
覚え方
解除すると権利は元通り(遡及効)、転売先は登記なくして権利なし。
05
試験のコツ
転売先の保護
・解除と登記の関係
・損害賠償の範囲
06
実務での見え方
不動産売買で買主が資金繰りに失敗した場合、売主が契約解除して別の買主に売る際の法的整理。
07
よくある間違い
{"mistake":"解除しても転売先Cの権利は保護されると考える。","why_wrong":"解除の遡及効を理解していない。"…
02深度分析
要約
売主の履行提供と買主の代金不払いによる契約解除、および転売関係における第三者(転売先)の地位について問う問題。
法的根拠
民法541条(債務不履行による解除)民法545条(解除の効力)民法567条(他人の権利の売買)民法177条(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
論理の流れ
買主Bの代金不払いは債務不履行。売主Aは履行の強制(1)または解除と損害賠償(2)が可能。BがCに転売していても、Cの不履行はA-B契約の解除理由にはならない(3)。しかし、Aが解除するとBは所有権を取得せず、Cも所有権を取得できないため、Cの権利を害することになる(4が誤り)。
重要な区別
契約解除の遡及効と、解除前の第三者の地位(登記の有無)の関係。
各選択肢のポイント
- 債務不履行があっても解除せず、履行の強制(代金請求)を続けることは可能だから。
- 解除により契約は遡及的に消滅し、填補賠償として値下がりによる損害も請求できるから。
- Cの不履行はBの債務不履行の正当な理由にはならず、これを理由にA-B契約を解除できないから。
- 解除すると所有権はAに復帰し、Cは権利を取得できないため、Cの権利を害することになるから。
03知識背景
テーマ概要
売買契約における危険負担、債務不履行による解除、および二重譲渡や転売があった場合の第三者の法的保護に関する一連のルール。
歴史的背景
民法制定以来の原則だが、解除の遡及効については相殺などの例外があり、判例の蓄積がある。
関連法令
民法541条民法545条民法567条民法177条
体系的位置づけ
民法(契約解除・売買)の重要論点であり、宅建試験の「権利関係」分野で頻出。
前提知識
債務不履行の種類、解除の効果(原則として遡及効)、登記の対抗力。
04記憶テクニック
語呂合わせ
解除すると権利は元通り(遡及効)、転売先は登記なくして権利なし。
ビジュアル描写
売主A→買主B→転売先Cの矢印を想像。AがBとの線を切ると、Cへの線も消えるイメージ。
重要公式
解除=遡及効=所有権復帰。
関連連想
「解除」は「巻き戻し」ボタン。
比較表
解除あり:所有権売主に戻る。解除なし:所有権買主へ移転。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回程度、解除の効力や転売との絡みで出題。
重要度
A:最重要。解除の遡及効は基本中の基本。
出題パターン
- 転売先の保護
- 解除と登記の関係
- 損害賠償の範囲
解法・消去法
「~できない」「~害することはできない」という否定形は誤りになりやすい。
時間戦略
基本論点なので、条文の知識があれば即答可能。
06実務応用
実務シナリオ
不動産売買で買主が資金繰りに失敗した場合、売主が契約解除して別の買主に売る際の法的整理。
実務への影響
契約解除の手続きと登記抹消の必要性を明確にする。
ケーススタディ
転売先が登記を得ていない場合に、元売主が解除して所有権を回復できる実例。
業界関連性
売買契約書の解除条項作成やリスク管理に不可欠。
ニュース連動
地価下落時のキャンセル料や違約金のニュースに関連。
07よくある間違い
解除しても転売先Cの権利は保護されると考える。
なぜ間違えるか:解除の遡及効を理解していない。
正しい理解:「解除=巻き戻し」とイメージする。
Cが登記していれば保護されると誤解する。
なぜ間違えるか:本問ではCが登記したか不明だが、Aの解除権行使前の登記が必要。
正しい理解:問題文の「解除しても」に着目し、解除後の状態を考える。
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