令和2年(2020)本試験

107

売買契約過去問

この問題の全体像

売買契約における債務不履行責任、数量指示売買、遅延損害金、錯誤無効の4つの論点を組み合わせた総合問題。債務不履行の基本原則と各制度の要件・効果を正確に理解しているかを問う。

令和2年107
Aを売主、Bを買主として、甲土地の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
  • 1甲土地の実際の面積が本件契約の売買代金の基礎とした面積より少なかった場合、Bはそのことを知った時から2年以内にその旨をAに通知しなければ、代金の減額を請求することができない。
  • 2AがBに甲土地の引渡しをすることができなかった場合、その不履行がAの責めに帰することができない事由によるものであるときを除き、BはAに対して、損害賠償の請求をすることができる。
  • 3Bが売買契約で定めた売買代金の支払期日までに代金を支払わなかった場合、売買契約に特段の定めがない限り、AはBに対して、年5%の割合による遅延損害金を請求することができる。
  • 4本件契約が、Aの重大な過失による錯誤に基づくものであり、その錯誤が重要なものであるときは、Aは本件契約の無効を主張することができる。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
売買契約における債務不履行責任、数量指示売買、遅延損害金、錯誤無効の4つの論点を組み合わせた総合問題。
この問題は、5 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
売買契約における債務不履行責任、数量指示売買、遅延損害金、錯誤無効の4つの論点を組み合わせた総合問題。債務不履行の基本原則と各制度の…
03
知識背景
売買契約は当事者間の権利義務を発生させる典型契約。履行不能、履行遅滞、不完全履行などの債務不履行形態と、それぞれの法的効果(損害賠償…
04
覚え方
数量指示は「1年で通知」→「いちねん」で「いちもくさんん」で覚える。法定利率は「改正で3%」→「さんぱーせんと」で「三拍子」。重大過…
05
試験のコツ
債務不履行の要件と効果を問う正誤判定 ・改正民法の変更点(法定利率等)を問う問題 ・各制度の期間・数値を問う知識問題
06
実務での見え方
不動産売買実務では、面積不足による代金減額請求、引渡不能による損害賠償、代金遅延への対応、契約の無効主張等が日常的に発生。本問の知識…
02深度分析
要約
売買契約における債務不履行責任、数量指示売買、遅延損害金、錯誤無効の4つの論点を組み合わせた総合問題。債務不履行の基本原則と各制度の要件・効果を正確に理解しているかを問う。
法的根拠
民法415条(債務不履行による損害賠償)民法564条(数量指示売買)民法404条(法定利率)民法95条(錯誤)
論理の流れ
選択肢1は数量指示売買の通知期間が「1年」であるべきところ「2年」と誤記。選択肢2は債務不履行の基本原則通り正しい。選択肢3は改正民法で法定利率が「年3%」に変更されたため誤り。選択肢4は重大な過失がある場合は無効主張不可とされるため誤り。消去法でも選択肢2に帰着。
重要な区別
債務不履行責任の核心は「帰責事由」の有無。売主に帰責事由がある限り、履行不能に対し損害賠償責任を負う。数量指示売買の通知期間「1年」と法定利率「年3%」の改正点も重要。
各選択肢のポイント
  • 数量指示売買における通知期間は「1年」である。民法564条が「1年以内」と規定しており、「2年」は誤り。
  • 民法415条に基づく債務不履行の基本原則。履行不能で帰責事由がある場合、買主は損害賠償請求が可能。
  • 改正民法(2020年4月施行)により法定利率は「年3%」に変更。よって「年5%」は誤り。
  • 民法95条2項但書により、表意者に重大な過失があるときは無効を主張できない。誤り。
03知識背景
テーマ概要
売買契約は当事者間の権利義務を発生させる典型契約。履行不能、履行遅滞、不完全履行などの債務不履行形態と、それぞれの法的効果(損害賠償、解除等)を理解することが不可欠。数量指示売買や錯誤等の特則も併せて学習が必要。
歴史的背景
2020年4月1日施行の改正民法では、法定利率が年5%から年3%へ変更された。また錯誤規定も整備され、重大な過失による錯誤の取扱いが明文化された。本問は改正民法の知識を直接問う問題。
関連法令
民法415条(債務不履行)民法564条(数量指示売買)民法404条(法定利率)民法95条(錯誤)民法541条(解除権)
体系的位置づけ
民法科目の中でも売買契約は最重要分野の一つ。債権総論の債務不履行と契約各論の売買が融合した出題形式は頻出パターン。基礎的理解と改正法の知識の両方が求められる。
前提知識
債務不履行の3類型(履行不能、履行遅滞、不完全履行)、帰責事由の意味、損害賠償の要件と効果、法定利率と約定利率の区別、錯誤無効の要件と効果、数量指示売買の特則を理解しておく必要がある。
04記憶テクニック
語呂合わせ
数量指示は「1年で通知」→「いちねん」で「いちもくさんん」で覚える。法定利率は「改正で3%」→「さんぱーせんと」で「三拍子」。重大過失は「無効主張できない」→「重大ミスは自己責任」。
ビジュアル描写
債務不履行のフローチャートをイメージ。履行不能→帰責事由あり?→YES→損害賠償/NO→免責。数量指示売買→不足発見→1年以内通知→代金減額請求権。
重要公式
数量指示売買の通知期間=1年、改正後法定利率=年3%、重大過失の錯誤=無効主張不可
関連連想
「1年3%重大不可」でワンフレーズ。数量指示1年、法定利率3%、重大過失は無効主張不可。数字と制度をセットで記憶。
比較表
履行不能:債務の履行が客観的に不可能/履行遅滞:履行可能だが期限経過/不完全履行:履行したが不完全。帰責事由あり→損害賠償責任、帰責事由なし→免責。
05試験テクニック
出題頻度
売買契約関連は毎年出題。債務不履行、数量指示売買、錯誤は特に頻出。改正民法の知識を問う問題は今後も継続的に出題される。
重要度
A:最重要。売買契約は民法の核心分野であり、実務でも最も頻繁に遭遇する契約形態。基本原則と改正点の両方を確実に習得すべき。
出題パターン
  • 債務不履行の要件と効果を問う正誤判定
  • 改正民法の変更点(法定利率等)を問う問題
  • 各制度の期間・数値を問う知識問題
解法・消去法
期間・数値の誤り(1年→2年、3%→5%)を探す。制度の要件・効果の反転(主張可→不可)に注意。基本原則に照らして明らかに誤る選択肢を先に排除。
時間戦略
知識問題は即断即決で1問1分以内。判断に迷う場合は条文の基本原則に立ち返り、消去法を活用。改正点は特別にマークして記憶。
06実務応用
実務シナリオ
不動産売買実務では、面積不足による代金減額請求、引渡不能による損害賠償、代金遅延への対応、契約の無効主張等が日常的に発生。本問の知識は契約書作成、トラブル対応、交渉の基礎となる。
実務への影響
債務不履行責任の理解は、契約不適合責任(改正民法)への移行後も基礎として重要。売主・買主双方のリスク管理と適切な契約条項の設計に直結する。
ケーススタディ
土地売買で登記面積と実測面積に差があった場合、数量指示売買の特則が適用されるか検討。引渡遅延が生じた場合、売主の帰責事由の有無を調査し損害賠償請求の可否を判断。
業界関連性
宅建業者は売買契約の当事者または媒介者として、債務不履行のリスク説明、契約条項の適正化、トラブル時の対応が求められる。法的知識は必須の実務スキル。
ニュース連動
不動産取引トラブルの多くは契約不適合や履行遅滞に関連。消費者庁の相談事例でも売買契約関連は上位。適切な契約設計と法的知識の重要性が増している。
解説は、まだ続きます
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