令和3年(2021)本試験

207

売買契約過去問

この問題の全体像

本問は2020年民法改正後の契約適合性に関する規定(旧瑕疵担保責任)を問う問題である。売買の目的物に契約の内容に適合しない欠陥がある場合の買主の権利(履行の追完請求、代金減額請求、解除権、担保提供と同時履行の抗弁権)の理解が求められる。

令和3年207
Aを売主、Bを買主として、A所有の甲自動車を50万円で売却する契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  • 1Bが甲自動車の引渡しを受けたが、甲自動車のエンジンに契約の内容に適合しない欠陥があることが判明した場合、BはAに対して、甲自動車の修理を請求することができる。
  • 2Bが甲自動車の引渡しを受けたが、甲自動車に契約の内容に適合しない修理不能な損傷があることが判明した場合、BはAに対して、売買代金の減額を請求することができる。
  • 3Bが引渡しを受けた甲自動車が故障を起こしたときは、修理が可能か否かにかかわらず、BはAに対して、修理を請求することなく、本件契約の解除をすることができる。
  • 4甲自動車について、第三者CがA所有ではなくC所有の自動車であると主張しており、Bが所有権を取得できないおそれがある場合、Aが相当の担保を供したときを除き、BはAに対して、売買代金の支払を拒絶することができる。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
本問は2020年民法改正後の契約適合性に関する規定(旧瑕疵担保責任)を問う問題である。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
本問は2020年民法改正後の契約適合性に関する規定(旧瑕疵担保責任)を問う問題である。売買の目的物に契約の内容に適合しない欠陥がある…
03
知識背景
契約適合性とは、引渡された目的物が契約の内容に適合することをいう。2020年4月施行の民法改正により、旧瑕疵担保責任が「契約適合性責…
04
覚え方
「追完してから減額・解除」の順序を覚える。「修理(追完)→減額・解除」の流れ。ただし不能なら即減額・解除可。「追完不能なら即OK、可…
05
試験のコツ
追完請求と解除の順序関係を問う問題 ・追完不能の場合の救済手段を問う問題 ・権利瑕疵と同時履行の抗弁権を問う問題
06
実務での見え方
不動産売買において、引き渡された建物に雨漏りが見つかった場合、買主はまず売主に修補を請求し、対応しなければ解除や損害賠償を請求できる…
07
よくある間違い
{"mistake":"追完可能な場合でも、直ちに解除できると誤解する。","why_wrong":"民法564条の「履行の追完がな…
02深度分析
要約
本問は2020年民法改正後の契約適合性に関する規定(旧瑕疵担保責任)を問う問題である。売買の目的物に契約の内容に適合しない欠陥がある場合の買主の権利(履行の追完請求、代金減額請求、解除権、担保提供と同時履行の抗弁権)の理解が求められる。
法的根拠
民法562条(履行の追完請求権)民法563条(代金減額請求権)民法564条(契約の解除)民法561条(権利の瑕疵に関する特則)民法533条(同時履行の抗弁権)
論理の流れ
選択肢3が誤りであることに気づくには、民法564条の解除権の行使要件を正確に理解する必要がある。同条は「履行の追完がないとき」に解除できるとし、追完請求をせずにいきなり解除することを認めていない。ただし追完が不能な場合は例外である。選択肢3は「修理が可能か否かにかかわらず」といい、修理可能な場合も無条件で解除できるとしている点が誤り。
重要な区別
最も重要な区別は、履行の追完請求が「可能な場合」と「不能な場合」で買主の権利行使の順序が異なる点である。追完可能なら原則としてまず追完請求が必要であり、直ちに解除はできない。
各選択肢のポイント
  • 民法562条1項により、契約の内容に適合しない場合、買主は売主に対し履行の追完(修理等)を請求できる。正しい記述である。
  • 民法563条により、履行の追完が不能な場合、買主は代金減額請求権を有する。修理不能な損傷の場合、減額請求が可能である。正しい記述。
  • 民法564条により、追完が可能な場合、買主はまず履行の追完を請求し、それがなされない場合に初めて解除できる。修理可能なのに無条件で解除はできない。誤り。
  • 民法561条および533条により、第三者の権利主張により所有権取得のおそれがある場合、売主が相当の担保を供さない限り、買主は代金支払を拒絶できる。正しい記述。
03知識背景
テーマ概要
契約適合性とは、引渡された目的物が契約の内容に適合することをいう。2020年4月施行の民法改正により、旧瑕疵担保責任が「契約適合性責任」に改められた。買主は追完請求権、代金減額請求権、損害賠償請求権、解除権を有するが、これらの行使には一定の順序と要件がある。
歴史的背景
旧民法下の瑕疵担保責任は法定責任とされていたが、2020年改正民法により契約責任として再構成された。これにより、買主の救済手段が拡充され、履行の追完請求権が明文化されるなど、売主の責任が強化された。
関連法令
民法562条(履行の追完請求権)民法563条(代金減額請求権)民法564条(契約の解除)民法565条(損害賠償請求権)民法561条(権利の瑕疵に関する特則)
体系的位置づけ
民法科目の中でも債権各論の売買契約に位置づき、宅建試験の最重要論点の一つである。改正民法の理解が必須であり、毎年何らかの形で出題される可能性が高い分野である。
前提知識
契約適合性の概念、履行の追完の意義、同時履行の抗弁権の基本原理、解除権の行使要件、権利瑕疵と物的瑕疵の区別を理解していることが前提となる。また、改正前の瑕疵担保責任との違いも押さえておく必要がある。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「追完してから減額・解除」の順序を覚える。「修理(追完)→減額・解除」の流れ。ただし不能なら即減額・解除可。「追完不能なら即OK、可能なら待ってから」
ビジュアル描写
フローチャートでイメージ:欠陥発見→追完可能?→YES:追完請求→履行?→NO:解除可/NO(不能):直ちに減額・解除可
重要公式
追完請求権(562条)→代金減額(563条・不能時)→解除(564条・追完なし又は不能時)→損害賠償(565条・過失不要)
関連連想
「修理を頼んでからでないと、すぐには解除できない」という常識的なルールと結びつけて覚える。消費者としての感覚と法制度が一致している。
比較表
追完可能:追完請求→履行なければ解除可/追完不能:直ちに減額請求・解除可/権利瑕疵:担保なき限り同時履行抗弁可
05試験テクニック
出題頻度
毎年出題される最重要論点。改正民法の核心部分であり、様々な角度から出題される。
重要度
A:最重要。改正民法の象徴的分野であり、実務でも頻繁に問題となる。確実に得点すべき論点である。
出題パターン
  • 追完請求と解除の順序関係を問う問題
  • 追完不能の場合の救済手段を問う問題
  • 権利瑕疵と同時履行の抗弁権を問う問題
解法・消去法
「無条件に」「直ちに」「請求することなく」などの言葉に注目。追完可能な場合にこれらの表現があれば誤りの可能性が高い。
時間戦略
契約適合性の問題は基本パターンが決まっているため、各権利の行使要件を瞬時に判断できるよう整理しておく。1問2分以内で解答可能。
06実務応用
実務シナリオ
不動産売買において、引き渡された建物に雨漏りが見つかった場合、買主はまず売主に修補を請求し、対応しなければ解除や損害賠償を請求できる。ただし修補不能なら直ちに減額請求や解除が可能である。
実務への影響
宅建業者は、売買契約書に特約を設ける際、法定の責任より買主に不利な特約は無効となる可能性があることに留意が必要。消費者保護の観点から重要な制度である。
ケーススタディ
中古車販売店が販売した車両に重大な欠陥があった事例。買主は修理を請求し、販売店が対応しなかったため契約を解除。修理可能であれば直ちに解除は認められないが、相当期間経過後は解除が認められる。
業界関連性
不動産業界では、契約適合性責任を踏まえた重要事項説明、契約書条項の作成が必須。特約による責任の限定にも法的制約がある。
ニュース連動
新築住宅の欠陥問題や、中古車の隠れた瑕疵によるトラブルがニュースになることが多く、本制度の理解は消費者保護の観点からも重要である。
07よくある間違い
追完可能な場合でも、直ちに解除できると誤解する。
なぜ間違えるか:民法564条の「履行の追完がないとき」という要件を見落とし、欠陥があればいつでも解除できると短絡的に考えてしまう。
代金減額請求権を、追完可能な場合でも行使できると誤解する。
なぜ間違えるか:民法563条が「追完が不能であるとき」と規定している要件を忘れ、減額請求をいつでもできると誤解する。
権利の瑕疵と物的瑕疵の救済方法を混同する。
なぜ間違えるか:権利の瑕疵(第三者の権利主張等)の場合の同時履行の抗弁権(561条)と、物的瑕疵の場合の救済方法を混ぜて理解してしまう。
解説は、まだ続きます
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