令和3年(2021)本試験

108

申込みと承諾過去問

この問題の全体像

申込みが到達する前に申込者が死亡した場合の申込みの効力に関する問題。民法526条に基づき、原則として申込みは効力を失うが、申込者の反対の意思表示又は相手方が死亡を知っていた場合は例外として効力を失わない。

令和3年108
AはBに対して、Aが所有する甲土地を1,000万円で売却したい旨の申込みを郵便で発信した(以下この問において「本件申込み」という。)が、本件申込みがBに到達する前にAが死亡した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
  • 1Bが承諾の通知を発する前に、BがAの死亡を知ったとしても、本件申込みは効力を失わない。
  • 2Aが、本件申込みにおいて、自己が死亡した場合には申込みの効力を失う旨の意思表示をしていたときには、BがAの死亡を知らないとしても本件申込みは効力を失う。
  • 3本件申込みが効力を失わない場合、本件申込みに承諾をなすべき期間及び撤回をする権利についての記載がなかったときは、Aの相続人は、本件申込みをいつでも撤回することができる。
  • 4本件申込みが効力を失わない場合、Bが承諾の意思表示を発信した時点で甲土地の売買契約が成立する。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
申込みが到達する前に申込者が死亡した場合の申込みの効力に関する問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
申込みが到達する前に申込者が死亡した場合の申込みの効力に関する問題。民法526条に基づき、原則として申込みは効力を失うが、申込者の反…
03
知識背景
契約の申込みにおける申込者の死亡と申込みの効力の関係を扱う。申込みは到達時に効力を生じ、到達前に申込者が死亡した場合の取扱いが民法5…
04
覚え方
「死んだら消える、でも意思表示か相手の知情で残る」。526条は「死・無能力=消滅」が原則、例外は「反対意思・知情」。
05
試験のコツ
申込み到達前の死亡・無能力の効果を問う ・例外事由の有無を判断させる ・撤回権の時期を問う
06
実務での見え方
不動産売買の申込みをした後、売主が急逝した場合の契約の成否が問題となる。相続人が契約を履行すべきか、申込みが無効かを判断する場面で実…
07
よくある間違い
{"mistake":"「承諾通知発信前」を「申込み到達前」と混同し、選択肢1を正解と判断してしまう。","why_wrong":"…
02深度分析
要約
申込みが到達する前に申込者が死亡した場合の申込みの効力に関する問題。民法526条に基づき、原則として申込みは効力を失うが、申込者の反対の意思表示又は相手方が死亡を知っていた場合は例外として効力を失わない。
法的根拠
民法97条の2民法526条民法548条の2民法526条第1項
論理の流れ
まず民法526条を確認し、申込みの効力発生前に申込者が死亡した場合の原則と例外を理解する。原則は効力を失うが、例外として「申込者の反対の意思表示」又は「相手方が事情を知っていた」場合は効力を失わない。各選択肢をこの原則・例外に当てはめて判断する。
重要な区別
申込みの「効力発生時期」(到達時)と「死亡の時期」(到達前)の関係。また、例外事由の「反対の意思表示」と「相手方の知情」の違いを正確に区別すること。
各選択肢のポイント
  • 「承諾通知発信前」に死亡を知ったとしても、申込み到達前に知ったかは別問題。到達前に死亡した場合、原則として効力を失う。
  • 民法526条ただし書きの「申込みをした者が反対の意思を表示」に該当。死亡時に効力を失う旨の意思表示があれば、相手方の知情に関わらず効力を失う。
  • 申込みは到達時に効力が発生し、到達後は撤回できない。民法548条の2は到達前の撤回のみ認める。
  • 申込みが効力を失わない場合でも、申込み到達前に承諾しても契約は成立しない。申込み到達後に承諾通知を発信した時に成立する。
03知識背景
テーマ概要
契約の申込みにおける申込者の死亡と申込みの効力の関係を扱う。申込みは到達時に効力を生じ、到達前に申込者が死亡した場合の取扱いが民法526条で規定されている。相続法との関連も重要。
歴史的背景
民法526条は2017年改正で整理された。申込みの効力発生時期に関する規定(旧526条)と死亡等による消滅に関する規定が明確化された。
関連法令
民法97条の2(申込みの効力発生時期)民法526条(申込みの死亡等による消滅)民法548条の2(申込みの撤回権)
体系的位置づけ
民法「契約」分野の基礎的論点。申込みと承諾による契約成立のプロセスにおける重要な例外規定として位置づけられる。
前提知識
契約成立の要件(申込みと承諾)、到達主義の原則、隔地者間の契約の特殊性、意思表示の効力発生時期についての基礎的理解が必要。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「死んだら消える、でも意思表示か相手の知情で残る」。526条は「死・無能力=消滅」が原則、例外は「反対意思・知情」。
ビジュアル描写
タイムラインをイメージ:申込み発信→(死亡)→申込み到達→承諾。死亡が到達前にある場合の処理を図示で理解。
重要公式
到達前の死亡=原則消滅、例外維持(反対意思or相手方知情)
関連連想
「届く前に死んだら無効」を基本に、例外的に有効になる2つのケースをセットで覚える。
比較表
原則:申込み到達前の死亡→効力消失。例外1:申込者の反対意思表示→効力維持。例外2:相手方の知情→効力維持。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回程度出題される論点。契約成立の基礎分野からの出題。
重要度
B:重要。契約法の基礎として理解必須。他の契約論点との関連でも重要。
出題パターン
  • 申込み到達前の死亡・無能力の効果を問う
  • 例外事由の有無を判断させる
  • 撤回権の時期を問う
解法・消去法
「いつでも撤回できる」は到達後の撤回を含むため誤りと判断。「発信時契約成立」も申込み到達後の話なので誤りと判断。
時間戦略
民法526条の原則と例外を即座に想起できれば1分以内で解答可能。条文の正確な理解が鍵。
06実務応用
実務シナリオ
不動産売買の申込みをした後、売主が急逝した場合の契約の成否が問題となる。相続人が契約を履行すべきか、申込みが無効かを判断する場面で実務的重要性が高い。
実務への影響
申込みの段階で死亡時の取扱いを明確にしておくことで、相続人や相手方の法的安定性を確保できる。
ケーススタディ
売主Aが土地売却の申込みを郵送後、到達前に心不全で死亡。買主Bが死亡を知らずに承諾した場合、原則として申込みは無効だが、Bが事情を知っていれば有効となる。
業界関連性
不動産取引では高齢者の申込みも多く、死亡リスクを考慮した契約実務が重要。申込書に死亡時の取扱いを記載する実務もある。
ニュース連動
高齢化社会における契約当事者の死亡リスクと契約の安定性が注目されている。
07よくある間違い
「承諾通知発信前」を「申込み到達前」と混同し、選択肢1を正解と判断してしまう。
なぜ間違えるか:承諾通知発信前は申込み到達後の可能性があり、到達前に死亡を知ったかが明確でない。
選択肢3の「いつでも撤回できる」を正しいと判断してしまう。
なぜ間違えるか:申込みの撤回は効力発生(到達)前のみ可能であり、到達後は撤回できない。
選択肢4で「発信主義」を誤って適用し、契約成立と判断してしまう。
なぜ間違えるか:発信主義(民法526条第1項)は申込みが有効に到達した後の承諾に適用される。
解説は、まだ続きます
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