令和3年(2021)本試験
問107
遺言過去問
この問題の全体像
遺言の方式と効力に関する問題。自筆証書遺言の目録要件、公正証書遺言の証人資格、危急時遺言の方式、遺贈の承認・放棄の効果を問う。民法の規定に基づき、各選択肢の法的要件を正確に判断する必要がある。
遺言に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 1自筆証書によって遺言をする場合、遺言者は、その全文、日付及び氏名を自書して押印しなければならないが、これに添付する相続財産の目録については、遺言者が毎葉に署名押印すれば、自書でないものも認められる。
- 2公正証書遺言の作成には、証人2人以上の立会いが必要であるが、推定相続人は、未成年者でなくとも、証人となることができない。
- 3船舶が遭難した場合、当該船舶中にいて死亡の危急に迫った者は、証人2人以上の立会いがあれば、口頭で遺言をすることができる。
- 4遺贈義務者が、遺贈の義務を履行するため、受遺者に対し、相当の期間を定めて遺贈の承認をすべき旨の催告をした場合、受遺者がその期間内に意思表示をしないときは、遺贈を放棄したものとみなされる。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
遺言の方式と効力に関する問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
遺言の方式と効力に関する問題。自筆証書遺言の目録要件、公正証書遺言の証人資格、危急時遺言の方式、遺贈の承認・放棄の効果を問う。民法の…
03
知識背景
遺言は民法で定められた厳格な方式要件を満たす必要がある。普通方式遺言(自筆証書・公正証書・秘密証書)と特別方式遺言(危急時遺言等)が…
04
覚え方
「承認は黙認、放棄は明示」=期間内に黙っていると承認したとみなされる。放棄には明示の意思表示が必要。
05
試験のコツ
遺言の方式要件の正誤判定
・証人の欠格事由の確認
・遺言の取消し・撤回の効果
・遺贈の承認・放棄の効果
06
実務での見え方
不動産取引において、相続登記の前提として遺言の有無・有効性を確認する場面で活用。自筆証書遺言の方式不備による無効を防ぐ知識が必要。
07
よくある間違い
{"mistake":"遺贈の催告期間内の黙認を「放棄」と誤解する。","why_wrong":"相続放棄と混同し、期間内の不作為を…
02深度分析
要約
遺言の方式と効力に関する問題。自筆証書遺言の目録要件、公正証書遺言の証人資格、危急時遺言の方式、遺贈の承認・放棄の効果を問う。民法の規定に基づき、各選択肢の法的要件を正確に判断する必要がある。
法的根拠
民法968条(自筆証書遺言)民法969条(公正証書遺言)民法974条(証人の欠格事由)民法979条(危急時遺言)民法992条(遺贈の承認・放棄)
論理の流れ
各選択肢を民法の規定に照らして検証する。選択肢1は968条2項の改正民法により正しい。選択肢2は974条により推定相続人は証人欠格事由に該当するため正しい。選択肢3は979条の危急時遺言の規定通り正しい。選択肢4は992条により、期間内に意思表示がない場合は「承認したものとみなされる」が正しいため誤り。
重要な区別
遺贈の承認・放棄における「みなされる」効果の方向性。催告期間内に意思表示がない場合、放棄ではなく承認とみなされる点が重要。
各選択肢のポイント
- 平成30年改正民法968条2項により、相続財産目録は自書でなくても毎葉の署名押印で認められる。
- 民法974条により推定相続人は未成年者でなくとも証人欠格事由に該当し、証人になれない。
- 民法979条により船舶遭難時の危急時遺言は証人2人以上の立会いで口頭ですることができる。
- 民法992条により、期間内に意思表示がない場合は「承認したもの」とみなされ、放棄ではない。
03知識背景
テーマ概要
遺言は民法で定められた厳格な方式要件を満たす必要がある。普通方式遺言(自筆証書・公正証書・秘密証書)と特別方式遺言(危急時遺言等)があり、それぞれに異なる要件がある。遺贈は遺言による財産の無償譲渡であり、受遺者の承認・放棄の効果が問題となる。
歴史的背景
平成30年改正民法で自筆証書遺言の方式が緩和され、財産目録の添付が認められた。これは高齢化社会における遺言作成の利便性向上を図ったもの。危急時遺言の規定は古くから存在し、船舶遭難等の緊急事態での最終意思を保護する。
関連法令
民法960条~968条(遺言の方式)民法969条~974条(公正証書遺言・証人)民法976条~984条(特別方式遺言)民法992条(遺贈の承認・放棄の催告)
体系的位置づけ
民法科目の家族法(相続法)分野に位置づく。遺言は相続法の中核制度であり、宅建試験では毎年のように出題される重要論点である。
前提知識
遺言の3つの普通方式(自筆証書・公正証書・秘密証書)の要件、証人の欠格事由、危急時遺言の種類と要件、遺贈の性質と承認・放棄の効果を理解しておく必要がある。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「承認は黙認、放棄は明示」=期間内に黙っていると承認したとみなされる。放棄には明示の意思表示が必要。
ビジュアル描写
遺言方式の階層図:普通方式(自筆・公正証書・秘密証書)と特別方式(危急時・伝染病隔離・在船)に分類。証人要件は方式により異なる。
重要公式
証人欠格事由=未成年者・推定相続人・受遺者・その配偶者・直系血族(974条)
関連連想
「推定相続人は利益相反で証人不適格」と連想。公正証書遺言の証人は利害関係者を排除。
比較表
遺贈の承認:期間内に意思表示なし→承認とみなされる(992条)。相続放棄:期間内に意思表示なし→単純承認とみなされる(921条)。両者とも「黙認=承認」で統一。
05試験テクニック
出題頻度
遺言に関する問題は毎年出題される。方式要件、証人資格、遺言の効力が頻出論点。
重要度
A:最重要。相続法は民法の重要分野であり、遺言制度は実務でも頻繁に活用される。
出題パターン
- 遺言の方式要件の正誤判定
- 証人の欠格事由の確認
- 遺言の取消し・撤回の効果
- 遺贈の承認・放棄の効果
解法・消去法
正しい記述を順次確認し、消去法で誤りを特定。みなされる効果は「承認」か「放棄」か方向性に注目。
時間戦略
各選択肢の条文を想起し、要件を確認。みなされる効果の方向性に注意。2分以内で解答を目指す。
06実務応用
実務シナリオ
不動産取引において、相続登記の前提として遺言の有無・有効性を確認する場面で活用。自筆証書遺言の方式不備による無効を防ぐ知識が必要。
実務への影響
遺言の方式要件を理解することで、依頼人の遺言作成アドバイスや、相続登記時の遺言の有効性判断が可能となる。
ケーススタディ
Aが自筆証書遺言を作成したが、パソコンで作成した財産目録を添付し、毎葉に署名押印していなかった場合。改正民法968条2項の要件を満たさず、目録部分が無効となる可能性がある。
業界関連性
不動産業界では相続案件が増加傾向。遺言の基礎知識は顧客対応において必須の専門性となる。
ニュース連動
相続登記の義務化、自筆証書遺言の法務局保管制度の創設など、遺言をめぐる制度改正が進んでいる。
07よくある間違い
遺贈の催告期間内の黙認を「放棄」と誤解する。
なぜ間違えるか:相続放棄と混同し、期間内の不作為を放棄と結びつけてしまう。
正しい理解:「黙認=承認」で統一と覚える。放棄には必ず明示の意思表示が必要。
自筆証書遺言の目録について、自書が必要と誤解する。
なぜ間違えるか:改正前の知識で解答してしまい、平成30年改正を把握していない。
正しい理解:改正民法の要点を整理し、自筆証書遺言の緩和要件を正確に把握する。
推定相続人が未成年者でなければ証人になれると誤解する。
なぜ間違えるか:未成年者欠格と推定相続人欠格を混同し、未成年者でなければ可と短絡思考。
正しい理解:証人欠格事由を5類型として整理し、各独立の欠格事由として理解する。
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