平成元年(1989)本試験
問4契約の「無効」と「担保責任(債務不履行)」の区別、および「物的瑕疵」と「権利の瑕疵(数量の不足等)」の区別。
売主の担保責任過去問
この問題の全体像
売主の担保責任のうち、他人が権利を主張する場合における買主の代金支払拒絶権(民法571条)に関する正誤判定問題。
土地の売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 1その土地が第三者の所有であって、当該第三者に譲渡の意思がないときは、契約は無効となる。
- 2その土地に欠陥があって、買主がそのことを知らなかったときは、買主は、その事実を知ったとき、欠陥の程度に関係なく、契約を解除することができる。
- 3その土地に権利を主張する者がいて、買主が買い受けた土地の所有権の一部を失うおそれがあるときは、買主は、売主が相当の担保を提供しない限り、その危険の限度に応じて代金の一部の支払いを拒むことができる。
- 4その土地に抵当権が設定されていて、買主がそのことを知らなかったときであっても、買主は、その事実を知ったとき、抵当権が行使された後でなければ、契約を解除することができない。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
契約の「無効」と「担保責任(債務不履行)」の区別、および「物的瑕疵」と「権利の瑕疵(数量の不足等)」の区別。
この問題は、5 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
売主の担保責任のうち、他人が権利を主張する場合における買主の代金支払拒絶権(民法571条)に関する正誤判定問題。
03
知識背景
売買契約における売主の担保責任。売買の目的物に権利の瑕疵や物的瑕疵があった場合、売主が買主に対して負う責任の内容と範囲を定める。
04
覚え方
権利一部失うおそれ、担保出さな支払いストップ(571条)
05
試験のコツ
「無効」という言葉の誤り
・「程度に関係なく解除できる」という絶対表現の誤り
06
実務での見え方
購入した土地に予期せぬ通行地役権が設定されており、一部が使えない場合、買主は売主に解決を求め、それまで代金の一部を留保できる。
02深度分析
要約
売主の担保責任のうち、他人が権利を主張する場合における買主の代金支払拒絶権(民法571条)に関する正誤判定問題。
法的根拠
民法561条(他人の権利の売買)民法566条(権利の担保責任)民法570条(瑕疵担保)民法571条(代金支払拒絶権)
論理の流れ
選択肢3は、他人が権利を主張し所有権の一部を失うおそれがある場合、売主が担保を提供しない限り、危険の限度に応じて代金の支払を拒めるという民法571条の規定そのものであるため正解。選択肢1は他人の所有物売買は無効ではなく担保責任の問題。選択肢2は瑕疵による解除は契約目的不達成の場合に限られる。選択肢4は抵当権行使後でなくても解除可能。
重要な区別
契約の「無効」と「担保責任(債務不履行)」の区別、および「物的瑕疵」と「権利の瑕疵(数量の不足等)」の区別。
各選択肢のポイント
- 他人の権利の売買は無効ではなく、売主は担保責任を負い、買主は契約解除等ができる(民法561条)。
- 瑕疵による解除は、その瑕疵により契約の目的を達することができない場合に限られる(民法570条)。
- 権利の一部を失うおそれがあるときは、代金の一部の支払を拒むことができる(民法571条)。
- 抵当権の実行前であっても、買主が弁済等して所有権を保存した場合等には解除できる(民法566条)。
03知識背景
テーマ概要
売買契約における売主の担保責任。売買の目的物に権利の瑕疵や物的瑕疵があった場合、売主が買主に対して負う責任の内容と範囲を定める。
歴史的背景
旧民法下では「瑕疵担保」として独立した責任体系だったが、改正民法(2020年)では「契約不適合責任」に統合された。ただし571条の代金支払拒絶権は残存。
関連法令
民法561条民法566条民法570条民法571条民法533条
体系的位置づけ
民法「契約」分野の「売買」における核心的論点。不動産取引実務における紛争予防の基礎知識。
前提知識
売主の担保責任の種類(他人の権利、数量不足、瑕疵)、解除と損害賠償の要件、代金支払拒絶権の発生要件。
04記憶テクニック
語呂合わせ
権利一部失うおそれ、担保出さな支払いストップ(571条)
ビジュアル描写
土地の一部が他人のもの(権利主張)である場合、そのリスク分(欠損部分)のお金は払わなくてよいとイメージする。
重要公式
権利主張+喪失のおそれ=代金支払拒絶(571条)
関連連想
「危険」な状態なら「支払い」を待て。
比較表
瑕疵担保(570条)は「物」の欠陥。権利担保(566・571条)は「権利」の制限。解除は「目的不達成」のみ。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回
重要度
B(重要)。条文の正確な知識が問われるため、得点源にしたい。
出題パターン
- 「無効」という言葉の誤り
- 「程度に関係なく解除できる」という絶対表現の誤り
解法・消去法
「無効」「すべて」「必ず」などの強い言葉が含まれる選択肢は疑う。
時間戦略
条文番号や具体的な要件(担保の提供等)が明確な選択肢を探し、他を消去法で処理する。
06実務応用
実務シナリオ
購入した土地に予期せぬ通行地役権が設定されており、一部が使えない場合、買主は売主に解決を求め、それまで代金の一部を留保できる。
実務への影響
買主が代金を全額支払った後に権利瑕疵が発覚すると回収が困難になるため、実務上非常に重要な防御手段となる。
ケーススタディ
境界線の越境や隣地の通行権が判明した際、売主が解決策を提示するまで代金を支払わない事例。
業界関連性
不動産売買契約書における「権利の瑕疵」に関する免責や特約の基礎となる。
ニュース連動
土地の境界確定訴訟や所有権不明土地の問題に関連する概念。
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