平成4年(1992)本試験

12管理行為の決定における「過半数の同意」と、決定された行為に伴う「費用負担義務」は切り離して考える点。反対しても利益を受ける限り負担する。

共有過去問

この問題の全体像

民法における共有物の管理行為、費用負担、保存行為、および共有物の分割に関する規定を問う問題。特に管理行為における過半数決と反対者の費用負担義務の関係が論点。

平成4年12
A・B・C3人の土地の共有(持分均一)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  • 1Aの反対にかかわらず、B及びCが同意して管理行為を行った場合、Aは、その費用の分担を拒むことができる。
  • 2Dが不法に土地を占拠した場合、Bは、Dに対し、単独で土地の明渡請求をすることができる。
  • 3Cが相続人なくして死亡し、特別縁故者に対する財産分与もなされない場合、Cの持分は、A及びBに帰属する。
  • 4Aは、特約がなければ、いつでも土地の分割を請求することができる。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
管理行為の決定における「過半数の同意」と、決定された行為に伴う「費用負担義務」は切り離して考える点。反対しても利益を受ける限り負担する。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
民法における共有物の管理行為、費用負担、保存行為、および共有物の分割に関する規定を問う問題。特に管理行為における過半数決と反対者の費…
03
知識背景
共有とは、一つの物を複数人が共同で所有する形態を指す。共有者は持分に応じて使用収益権を持ち、管理行為は過半数、変更行為は全員の同意が…
04
覚え方
管理は過半、費用は持分。保存は単独、変更は全員。分割はいつでも、持分は他へ。
05
試験のコツ
共有物の変更・管理・保存の区別と同意数 ・共有持分の放棄と相続 ・共有物の分割請求と分割禁止特約
06
実務での見え方
兄弟で相続した実家をどうするか話し合う場面。一人が「売りたい」と言っても、他が反対すれば売却(変更行為)はできない。しかし、修繕(管…
07
よくある間違い
{"mistake":"管理行為に反対した場合、費用も負担しなくてよいと考える。","why_wrong":"決定に反対しても、行為…
02深度分析
要約
民法における共有物の管理行為、費用負担、保存行為、および共有物の分割に関する規定を問う問題。特に管理行為における過半数決と反対者の費用負担義務の関係が論点。
法的根拠
民法252条(共有物の管理)民法253条(共有物に関する費用)民法249条(共有物の保存)民法255条(持分の放棄及び共有者の死亡)民法256条(共有物の分割)
論理の流れ
まず選択肢1について、民法252条により管理行為は過半数で決定でき、民法253条により費用は持分に応じて負担するため、反対しても費用負担は免れない。よって選択肢1は誤り。次に選択肢2は、保存行為は各共有者が単独でできるため正しい。選択肢3は、他の共有者に帰属するため正しい。選択肢4は、原則としていつでも分割請求ができるため正しい。以上より、誤っているのは選択肢1である。
重要な区別
管理行為の決定における「過半数の同意」と、決定された行為に伴う「費用負担義務」は切り離して考える点。反対しても利益を受ける限り負担する。
各選択肢のポイント
  • 管理行為は過半数で決定でき、反対者であってもその行為から生じた利益を享受する限り、費用の分担を拒むことはできない。
  • 共有物の保存行為については、各共有者が単独で行うことができ、不法占拠者への明渡請求は保存行為に該当する。
  • 共有者が相続人なく死亡した場合、その持分は他の共有者に帰属するという民法255条の規定通りである。
  • 共有物は各共有者がいつでもその分割を請求することができる。ただし、5年以内の分割禁止特約は可能。
03知識背景
テーマ概要
共有とは、一つの物を複数人が共同で所有する形態を指す。共有者は持分に応じて使用収益権を持ち、管理行為は過半数、変更行為は全員の同意が必要。また、いつでも分割請求権を持つ。
歴史的背景
民法制定以来、所有権の絶対性と複数人による所有の調整を図るための制度として整備されてきた。近年は相続登記未了等による土地の共有化が社会問題となっている。
関連法令
民法249条(共有物の保存)民法251条(共有物の変更)民法258条(共有物の分割裁判)不動産登記法
体系的位置づけ
民法「物権」分野の「所有権」における重要な論点。所有権が1人の場合と複数人の場合の違いを理解するための基本項目。
前提知識
所有権の基本的な内容、持分(モチブン)の概念、保存行為・管理行為・変更行為の区別、およびそれぞれに必要な同意割合の違い。
04記憶テクニック
語呂合わせ
管理は過半、費用は持分。保存は単独、変更は全員。分割はいつでも、持分は他へ。
ビジュアル描写
3人でケーキ(共有物)を持っているイメージ。クリームを塗る(管理)は2人で決めるが、代金は3人で出す。半分に切る(変更)は全員がOKしないとダメ。
重要公式
管理行為=過半数(持分価格)/変更行為=全員の同意/分割請求=原則自由
関連連想
会社の取締役会をイメージ。重要事項(変更)は全員一致、日常業務(管理)は過半数、緊急時(保存)は単独対応。
比較表
保存行為(単独可・軽微な修繕等)<管理行為(過半数・賃貸等)<変更行為(全員同意・形状変更等)
05試験テクニック
出題頻度
毎年出題、または2-3年に1回の頻度で出題される重要論点。
重要度
A:最重要。共有関係は不動産取引において頻繁に生じるため、基礎知識として必須。
出題パターン
  • 共有物の変更・管理・保存の区別と同意数
  • 共有持分の放棄と相続
  • 共有物の分割請求と分割禁止特約
解法・消去法
「単独でできる」記述があれば保存行為かどうかチェック。「全員の同意」が必要なのは変更行為のみと覚えておけば消去しやすい。
時間戦略
同意数(過半数か全員か)と単独でできる行為(保存行為)を即座に判断できるよう、知識を定着させて短時間で解答する。
06実務応用
実務シナリオ
兄弟で相続した実家をどうするか話し合う場面。一人が「売りたい」と言っても、他が反対すれば売却(変更行為)はできない。しかし、修繕(管理行為)は過半数で決められる。
実務への影響
共有物の管理や売却には全員の協力が必要となるため、トラブルになりやすい。特に相続不動産では、共有関係を解消するための協議が重要。
ケーススタディ
3人で共有する土地に隣人がフェンスを越境してきた場合、1人の共有者だけで隣人にフェンスの撤去を求める訴訟を提起できる(保存行為)。
業界関連性
不動産売買において共有名義の物件を取り扱う際、所有者全員の同意書を取得するプロセスに直結する。
ニュース連動
相続登記の申請義務化や所有者不明土地の解消に向けた法改正において、共有持分の放棄や取得時効の規定が注目されている。
07よくある間違い
管理行為に反対した場合、費用も負担しなくてよいと考える。
なぜ間違えるか:決定に反対しても、行為の結果(利益)を受ける以上、公平の原則により費用負担は免れないと誤解しやすい。
共有物の明渡請求を単独でできないと考える。
なぜ間違えるか:明渡請求を「変更行為」や「管理行為」と混同し、全員同意や過半数同意が必要だと誤認する。
共有物の分割請求が常に認められると勘違いする。
なぜ間違えるか:「5年を超えない期間」であれば分割しない特約ができることを忘れている。
解説は、まだ続きます
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