平成14年(2002)本試験
問13
権利関係借地借家法(建物買取請求権)過去問
この問題の全体像
借地契約終了時における建物買取請求権の成立要件、特に借地人の債務不履行による終了や定期借地権における例外規定の理解を問う問題です。
Aが、本年8月、Bに土地を賃貸し、Bがその土地上に建物を所有している場合の契約終了に伴う建物買取請求権に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- 1AB間の借地契約が、公正証書により10年の事業専用の目的で締結された場合には、Bは建物買取請求権を有しない。
- 2建物買取請求権は、契約終了の理由を問わず、Bの債務不履行を原因とする契約終了の場合にも、BはAに対して建物の買取りを請求することができる。
- 3BがAの承諾を得て土地をCに転貸し、建物を譲渡した場合、AB間、BC間の契約が、ともに期間満了し更新がなければ、CはAに対し直接建物買取請求権を有する。
- 4Bが適法にAに建物買取請求権を行使すると、その所有権は直ちにBからAに移転するが、BはAが代金を支払うまで、建物の引渡しを拒むことができる。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
借地契約終了時における建物買取請求権の成立要件、特に借地人の債務不履行による終了や定期借地権における例外規定の理解を問う問題です。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
借地契約終了時における建物買取請求権の成立要件、特に借地人の債務不履行による終了や定期借地権における例外規定の理解を問う問題です。
03
知識背景
借地人が土地上に建物を築いた場合、借地契約が終了すると建物は収去しなければなりません。しかし、建物を解体するのは経済的損失が大きいた…
04
覚え方
「建物買取請求権、自分のミス(帰責事由)があったら権利なし」
05
試験のコツ
転借人の権利
・所有権移転の時期
・同時履行の抗弁権
・除外事由(定期借地権等)
06
実務での見え方
店舗を借地で経営している事業者が撤退する際、地主に更新を拒絶された場合、建物の評価額を地主に請求し、資金を回収して次の事業に向かう実…
07
よくある間違い
{"mistake":"借地人の債務不履行でも買取請求ができると誤解する。","why_wrong":"借地人保護の規定であるため、…
02深度分析
要約
借地契約終了時における建物買取請求権の成立要件、特に借地人の債務不履行による終了や定期借地権における例外規定の理解を問う問題です。
法的根拠
借地借家法第13条借地借家法第9条民法第533条
論理の流れ
建物買取請求権は原則として契約終了時に認められますが、借地人の債務不履行が原因の場合は認められません(借地借家法13条3項)。選択肢2は「債務不履行を原因とする場合にも」請求できるとしているため、条文に反し明らかに誤りです。他の選択肢は法条に合致するため、正解は2となります。
重要な区別
契約終了の原因が「借地人の帰責事由(債務不履行)」であるか否かが、権利行使の可否を分ける最大の判断ポイントです。
各選択肢のポイント
- 定期借地権(事業用)等では建物買取請求権は排除されるため、この記述は正しい。
- 借地人の債務不履行による契約終了では、建物買取請求権は行使できないため誤り。
- 転借人が建物を所有する場合、転借人は直接地主に対して買取請求権を有するため正しい。
- 請求権行使により所有権は直ちに移転するが、代金債務と建物引渡しは同時履行の関係にあるため正しい。
03知識背景
テーマ概要
借地人が土地上に建物を築いた場合、借地契約が終了すると建物は収去しなければなりません。しかし、建物を解体するのは経済的損失が大きいため、借地人の投下資本回収を保護するために認められた形成権が建物買取請求権です。
歴史的背景
旧借地法から継承された制度ですが、借地借家法改正により定期借地権が創設され、その適用除外が明確化されました。借地人の利益保護と土地の有効利用のバランスを図る歴史があります。
関連法令
借地借家法第13条民法第533条民法第612条借地借家法第9条
体系的位置づけ
借地権の核心部分をなす権利であり、借地人の保護と地主の土地返還請求権の調整を図る重要な論点として位置づけられます。
前提知識
借地契約の更新・消滅、建物の譲渡と借地権の譲渡、転貸借の法律関係、そして同時履行の抗弁権に関する民法の基礎知識が必要です。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「建物買取請求権、自分のミス(帰責事由)があったら権利なし」
ビジュアル描写
借地人が「私のせいじゃなくて契約が終わったなら、建物買ってよ」と言うイメージ。逆に「家賃滞納(自分のせい)」だと請求できない。
重要公式
終了 - 借地人の過失 = 買取請求権
関連連想
「過失(カシツ)」があったら「カシ(借地)」から出ていけ(権利なし)と連想する。
比較表
通常終了→請求可、債務不履行→請求不可、定期借地→請求不可、転借人→直接請求可
05試験テクニック
出題頻度
3-5年に1回程度、頻繁に出題される重要論点です。
重要度
A:最重要。借地借家法の頻出論点であり、判例の知識も問われるため。
出題パターン
- 転借人の権利
- 所有権移転の時期
- 同時履行の抗弁権
- 除外事由(定期借地権等)
解法・消去法
「債務不履行」「定期借地権」のキーワードがある選択肢は例外規定の可能性が高いため、その内容が正しいか慎重に確認する。
時間戦略
条文知識が明確なら即答可能。迷ったら「債務不履行」と「定期借地権」の例外に注目して判断する。
06実務応用
実務シナリオ
店舗を借地で経営している事業者が撤退する際、地主に更新を拒絶された場合、建物の評価額を地主に請求し、資金を回収して次の事業に向かう実務的な場面で利用されます。
実務への影響
借地人の投資回収を保証し、地主にとっても建物の利用価値を確保する手段となるため、不動産取引の価格形成に大きな影響を与えます。
ケーススタディ
借家人が家賃を長期間滞納して契約解除された場合、建物買取請求権は認められず、建物を収去して更地にして土地を明け渡す必要があります。
業界関連性
不動産鑑定評価や賃貸借契約の交渉、借地条件更改において、建物の残存価値を算定する上で不可欠な知識です。
ニュース連動
土地の有効活用や再開発ニュースにおいて、借地権の整理や底地の買い取りに関連する知識として注目されます。
07よくある間違い
借地人の債務不履行でも買取請求ができると誤解する。
なぜ間違えるか:借地人保護の規定であるため、あらゆる終了事由に適用されると思い込んでいるため。
正しい理解:「自分のミスで終わったら権利なし」と例外事項を明確に覚える。
代金支払いと同時に所有権が移転すると考える。
なぜ間違えるか:一般的な売買契約のイメージ(代金支払と引渡し)と混同しているため。
正しい理解:「請求=所有権移転」「引渡し=代金支払いまで待て」と分けて覚える。
転借人には買取請求権がないと考える。
なぜ間違えるか:契約関係が地主と借地人だけだと思い込んでいるため。
正しい理解:転借人も「建物の所有者」であることに着目して権利関係を整理する。
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