平成18年(2006)本試験

3

停止条件過去問

この問題の全体像

停止条件付報酬請求権において、債務者が悪意で条件の成就を妨げた場合、民法130条により条件が成就したものとみなされる点を問う問題です。

平成18年3
Aは、Bとの間で、A所有の山林の売却について買主のあっせんを依頼し、その売買契約が締結され履行に至ったとき、売買代金の2%の報酬を支払う旨の停止条件付きの報酬契約を締結した。この契約において他に特段の合意はない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  • 1あっせん期間が長期間に及んだことを理由として、Bが報酬の一部前払を要求してきても、Aには報酬を支払う義務はない。
  • 2Bがあっせんした買主Cとの間でAが当該山林の売買契約を締結しても、売買代金が支払われる前にAが第三者Dとの間で当該山林の売買契約を締結して履行してしまえば、Bの報酬請求権は効力を生ずることはない。
  • 3停止条件付きの報酬契約締結の時点で、既にAが第三者Eとの間で当該山林の売買契約を締結して履行も完了していた場合には、Bの報酬請求権が効力を生ずることはない。
  • 4当該山林の売買契約が締結されていない時点であっても、Bは停止条件付きの報酬請求権を第三者Fに譲渡することができる。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
停止条件付報酬請求権において、債務者が悪意で条件の成就を妨げた場合、民法130条により条件が成就したものとみなされる点を問う問題です。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
停止条件付報酬請求権において、債務者が悪意で条件の成就を妨げた場合、民法130条により条件が成就したものとみなされる点を問う問題です…
03
知識背景
民法における「条件」は、法律行為の効力の発生や消滅を将来の不確定な事実にかからせる制度です。特に、債務者が不正な手段で条件の成就を防…
04
覚え方
「悪意の妨害は成就とみなす」と覚える。あくし(悪意)のあっせん(成就)。
05
試験のコツ
悪意による条件成就妨害 ・条件不成就の場合の効果 ・条件付権利の譲渡
06
実務での見え方
不動産仲介業者が買主を見つけたが、売主が仲介手数料を払いたくなくて、直前に親族に売り飛ばしたようなケース。
07
よくある間違い
{"mistake":"条件成就前に第三者に売却したため、条件は不成就になったと判断する。","why_wrong":"民法130条…
02深度分析
要約
停止条件付報酬請求権において、債務者が悪意で条件の成就を妨げた場合、民法130条により条件が成就したものとみなされる点を問う問題です。
法的根拠
民法127条(条件の成就)民法130条(条件の成就の妨害)民法466条(債権の譲渡性)民法643条(委任)
論理の流れ
選択肢2では、Bがあっせんした買主Cとの契約は成立しているが、代金支払前にAがDに売却して履行を終えた。これはAが報酬支払義務の発生(条件成就)を回避するための悪意の妨害に当たる。民法130条により、条件は成就したものとみなされ、Bは報酬を請求できる。したがって、報酬請求権が効力を生じないとする選択肢2が誤りである。
重要な区別
条件が自然に不成就の場合と、債務者が悪意で条件成就を妨害した場合(民法130条)の区別。
各選択肢のポイント
  • 停止条件が成就していないため、報酬支払義務は発生せず、前払いの義務もない。
  • Aが悪意で条件成就を妨げたため、成就したものとみなされ、Bは報酬を請求できる。
  • 契約当初から条件成就が不能(既に売却済み)であるため、権利は生じない。
  • 停止条件付債権も譲渡することができる(条件付権利の譲渡性)。
03知識背景
テーマ概要
民法における「条件」は、法律行為の効力の発生や消滅を将来の不確定な事実にかからせる制度です。特に、債務者が不正な手段で条件の成就を防ごうとした場合の取り扱いが重要です。
歴史的背景
ローマ法以来の法理であり、信義則に基づき、条件の成就を妨げる者に利益を与えないよう日本民法にも採用されました。
関連法令
民法127条民法128条民法130条民法466条民法543条
体系的位置づけ
民法総則「法律行為」の章における「条件・期限」の分野に位置し、契約の効力発生の基礎理論です。
前提知識
停止条件と解除条件の違い、条件成就の擬制(民法130条)、債権譲渡の基本的な要件についての理解が必要です。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「悪意の妨害は成就とみなす」と覚える。あくし(悪意)のあっせん(成就)。
ビジュアル描写
ゴールテープ(条件成就)を切る前に、審判(債務者)が自分でテープを撤去しても、記録は認められる(ゴールしたとみなす)イメージ。
重要公式
悪意の妨害 + 停止条件 = みなし成就(民法130条)。
関連連想
仲介業者が頑張って見つけた客を、売主が裏切って他の人に売るイメージで連想する。
比較表
自然な不成就:権利発生せず。悪意の妨害:権利発生(みなし成就)。不能(初めより):権利発生せず。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回程度。
重要度
B(重要)。民法130条は頻出の論点であり、実務でも重要。
出題パターン
  • 悪意による条件成就妨害
  • 条件不成就の場合の効果
  • 条件付権利の譲渡
解法・消去法
「第三者に売却したから報酬はいらない」という素直な読みをしている選択肢は、民法130条の例外を考慮していないため誤りと判断できる。
時間戦略
条件成就の妨害(悪意)のキーワードを見つけたら、即座に「みなし成就」を判断し時間を節約。
06実務応用
実務シナリオ
不動産仲介業者が買主を見つけたが、売主が仲介手数料を払いたくなくて、直前に親族に売り飛ばしたようなケース。
実務への影響
仲介業者の活動を保護し、売主の不正な手数料回避を防ぐ法的根拠となる。
ケーススタディ
売主が仲介業者紹介の買主との契約を故意に履行させず、第三者に売却した事案で、裁判所は仲介業者の報酬請求権を認めた。
業界関連性
不動産仲介業務において、報酬債権の確保のために極めて重要な規定。
ニュース連動
住宅購入のキャンセル料や手付金のトラブルなど、契約不履行に関連する話題。
07よくある間違い
条件成就前に第三者に売却したため、条件は不成就になったと判断する。
なぜ間違えるか:民法130条の「条件成就の妨害」の規定を忘れているため。
条件が成就していない権利は、譲渡できないと考える。
なぜ間違えるか:期待権としての価値があるため譲渡可能であることを知らないため。
既に売却済みであっても、あっせんすれば報酬が発生すると考える。
なぜ間違えるか:条件が最初から不能(不能条件)である場合の効果を理解していない。
解説は、まだ続きます
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