平成18年(2006)本試験

6

請負人の担保責任過去問

この問題の全体像

請負契約の目的物に欠陥がある場合の注文者の救済手段に関する問題。特に、欠陥が重大で建て替えが必要な場合に、建替え費用相当額の損害賠償が認められるかどうかが核心。

平成18年6
AがBに対し建物の建築工事を代金3,000万円で注文し、Bがこれを完成させた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
  • 1請負契約の目的物たる建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合、目的物の修補が可能であれば、AはBに対して損害賠償請求を行う前に、目的物の修補を請求しなければならない。
  • 2請負契約の目的物たる建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないためにこれを建て替えざるを得ない場合には、Aは当該建物の建替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。
  • 3請負契約の目的物たる建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合せず、目的物の修補に要する費用が契約代金を超える場合であっても、Aは原則として請負契約を解除することができない。
  • 4請負契約の目的物たる建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合にBが担保責任を負わない旨の特約をしたときには、Aはその不適合についてBの責任を一切追及することができなくなる。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
請負契約の目的物に欠陥がある場合の注文者の救済手段に関する問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
請負契約の目的物に欠陥がある場合の注文者の救済手段に関する問題。特に、欠陥が重大で建て替えが必要な場合に、建替え費用相当額の損害賠償…
03
知識背景
請負契約における「担保責任(現在の契約不適合責任)」の全体像。注文者は目的物に欠陥があった場合、修補請求、代金減額、損害賠償、解除な…
04
覚え方
「建て替えは、目的がダメならOK」
05
試験のコツ
解除の可否と修補費用の額の関係 ・損害賠償の範囲(建替え費用か修補費用か) ・特約による免責の可否
06
実務での見え方
新築注文住宅の引き渡し後に、基礎に重大な欠陥が発見され、居住が危険な場合。
07
よくある間違い
{"mistake":"修補請求をせずにいきなり損害賠償請求はできないと考えてしまう。","why_wrong":"重大な欠陥の場合…
02深度分析
要約
請負契約の目的物に欠陥がある場合の注文者の救済手段に関する問題。特に、欠陥が重大で建て替えが必要な場合に、建替え費用相当額の損害賠償が認められるかどうかが核心。
法的根拠
民法634条(注文者の修補請求及び損害賠償請求)民法635条(契約の解除)民法640条(担保責任を負わない特約)最高裁昭和50年3月30日判決
論理の流れ
選択肢1は、損害賠償請求の前に必ず修補を請求しなければならないとするが、これは絶対的な前置要件ではないため誤り。選択肢2は、欠陥が契約の目的を達せしめない程度である場合、建替え費用相当額の損害賠償請求が認められる最高裁判例の趣旨に合致し正しい。選択肢3は、修補に過分の費用を要する場合、契約の解除が認められるため誤り。選択肢4は、担保責任免除の特約も、請負人の故意または重過失による不適合には適用されないため誤り。
重要な区別
「修補が可能な軽微な欠陥」と「契約目的を達成できない重大な欠陥」の区別。後者では建替え費用賠償や解除が認められる。
各選択肢のポイント
  • 修補請求は原則的な権利だが、損害賠償請求の必須前置手続きではない。また、重大な欠陥では直ちに損害賠償が可能。
  • 欠陥が契約の目的を達成できない程度である場合、修補に代えて建替え費用相当額の損害賠償請求が認められる判例法理がある。
  • 修補に過分の費用を要する場合、すなわち契約の目的を達することができないときは、契約を解除することができる。
  • 担保責任を負わない特約は、請負人がその不適合を知りながら告げなかった等の場合には無効となるため、一切追及できないわけではない。
03知識背景
テーマ概要
請負契約における「担保責任(現在の契約不適合責任)」の全体像。注文者は目的物に欠陥があった場合、修補請求、代金減額、損害賠償、解除などの権利を行使できる。
歴史的背景
本問は旧民法下での出題。旧民法では「瑕疵担保責任」と呼ばれ、2020年改正で「契約不適合責任」に整理されたが、建替え費用賠償に関する判例法理の重要性は変わらない。
関連法令
民法634条民法635条民法636条民法640条民法415条
体系的位置づけ
宅建試験の民法分野における「請負」の単元。契約の解除や損害賠償の範囲など、実務的にも重要な論点として頻出。
前提知識
請負契約の定義、担保責任の発生要件、解除が認められる「契約の目的を達することができない」要件の具体的意味。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「建て替えは、目的がダメならOK」
ビジュアル描写
家が傾いて住めない状態を想像。修理(パッチ)では無理なので、壊して建て直すお金を請求するイメージ。
重要公式
重大な欠陥 = 建替え費用賠償 + 解除可能
関連連想
昭和50年の判例を「ゴー(50)・ゴー(建替え)」と覚える。
比較表
軽微な欠陥→修補請求が原則。重大な欠陥(目的不達成)→建替え費用賠償や解除が可能。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回。担保責任の論点は民法の頻出分野。
重要度
A. 請負契約の最も重要な判例の一つであり、実務でも常識とされる事項。
出題パターン
  • 解除の可否と修補費用の額の関係
  • 損害賠償の範囲(建替え費用か修補費用か)
  • 特約による免責の可否
解法・消去法
「~しなければならない」「一切~できない」といった絶対的な表現は、例外(故意・重過失や重大な欠陥)を含むため誤りである可能性が高い。
時間戦略
判例の結論を知っていれば即答可能。知らなければ常識的に「住めない家なら建て直してほしい」と考えて選ぶ。
06実務応用
実務シナリオ
新築注文住宅の引き渡し後に、基礎に重大な欠陥が発見され、居住が危険な場合。
実務への影響
施主がハウスメーカーに対して、単なる修理ではなく、建て直しに必要な多額の賠償金を請求する法的根拠となる。
ケーススタディ
欠陥住宅訴訟において、構造的欠陥により修補が著しく困難な場合に、建替え費用が認められた最高裁判例の事例。
業界関連性
建設業界の品質管理リスクや、不動産取引における瑕疵担保責任保険の重要性に関連する。
ニュース連動
耐震偽装問題等の欠陥住宅ニュースにおいて、被害者が建て替えを求める際の法的根拠として報道されることがある。
07よくある間違い
修補請求をせずにいきなり損害賠償請求はできないと考えてしまう。
なぜ間違えるか:重大な欠陥の場合は、修補という手段を経なくても、直ちに建替え費用相当額の損害賠償が認められる判例があるため。
修補費用が高額でも解除はできないと考えてしまう。
なぜ間違えるか:旧法635条は「契約の目的を達することができないとき」に解除を認めており、高額な修補費は目的不達成の判断材料になるため。
解説は、まだ続きます
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