平成27年(2015)本試験

10

遺言・遺留分過去問

この問題の全体像

この問題は、自筆証書遺言の厳格な方式(訂正・押印)と、民法改正後の遺留分制度(金銭債権化)に関する理解を問うものです。特に遺留分権利者が「減殺」ではなく「金銭支払」を請求する点が正解の鍵となります。

平成27年10
遺言及び遺留分に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
  • 1自筆証書の内容を遺言者が一部削除する場合、遺言者が変更する箇所に二重線を引いて、その箇所に押印するだけで、一部削除の効力が生ずる。
  • 2自筆証書による遺言をする場合、遺言書の本文の自署名下に押印がなければ、自署と離れた箇所に押印があっても、押印の要件として有効となることはない。
  • 3遺言執行者が管理する相続財産を相続人が無断で処分した場合、当該処分行為は、遺言執行者に対する関係で無効となるが、第三者に対する関係では無効とならない。
  • 4遺留分権利者は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができるが、受遺者又は受贈者に対し、遺贈又は贈与の減殺を請求することはできない。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
この問題は、自筆証書遺言の厳格な方式(訂正・押印)と、民法改正後の遺留分制度(金銭債権化)に関する理解を問うものです。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
この問題は、自筆証書遺言の厳格な方式(訂正・押印)と、民法改正後の遺留分制度(金銭債権化)に関する理解を問うものです。特に遺留分権利…
03
知識背景
遺言制度は、死後の法律関係を本人の意思で決定するための重要な制度です。一方、遺留分制度は、相続人に保障された最低限の取得分を定めたも…
04
覚え方
「遺留分は金(カネ)で解決、減殺(ゲンサツ)はもう昔の話」と覚える。
05
試験のコツ
自筆証書遺言の方式不備(訂正・加筆) ・遺言執行者の権限と相続人の処分権 ・遺留分の計算と請求方法(金銭化)
06
実務での見え方
父が愛人に自宅を遺贈した場合、子供は遺留分を請求できます。改正法により、子供は愛人に対して自宅の返還ではなく、自宅の評価額の半分の金…
07
よくある間違い
{"mistake":"遺留分の請求をまだ「減殺請求」と呼び、物の返還を求めると考えている。","why_wrong":"2019年…
02深度分析
要約
この問題は、自筆証書遺言の厳格な方式(訂正・押印)と、民法改正後の遺留分制度(金銭債権化)に関する理解を問うものです。特に遺留分権利者が「減殺」ではなく「金銭支払」を請求する点が正解の鍵となります。
法的根拠
民法第968条(自筆証書遺言の方式)民法第1013条(相続人の行為と遺言執行者の権限)民法第1046条(遺留分侵害額の請求)民法第1048条(遺留分侵害額請求権の期間制限)
論理の流れ
選択肢1と2は自筆証書遺言の方式に関する記述です。訂正には署名と押印の両方が必要であり、押印は署名の後に行わなければならないため、これらは誤りです。選択肢3は相続人の処分行為の効力についてですが、第三者が悪意の場合は無効となるため、記述は不正確です。選択肢4は、改正民法における遺留分権利者の権利が「金銭支払請求権」であることを正しく記述しており、これが正解となります。
重要な区別
旧法の「遺留分減殺請求権(物権的効力)」と、改正法による「遺留分侵害額請求権(金銭債権)」の違いを明確に区別すること。
各選択肢のポイント
  • 自筆証書遺言の訂正には、変更箇所の指示、変更した旨の付記、そしてこれらに特別の方式による署名と押印が必要です。
  • 自筆証書遺言における押印は、遺言者が自署した後にしなければならず、自署と離れた箇所では有効となりません。
  • 相続人の処分は遺言執行者に対し無効ですが、第三者に対してはその第三者が悪意(遺言執行者の選任を知っている)の場合に無効となります。
  • 民法改正により、遺留分権利者は受遺者等に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求する権利を有します。
03知識背景
テーマ概要
遺言制度は、死後の法律関係を本人の意思で決定するための重要な制度です。一方、遺留分制度は、相続人に保障された最低限の取得分を定めたものです。平成30年改正民法により、遺留分は「金銭債権化」され、権利行使の実務が大きく変化しました。
歴史的背景
従来の遺留分減殺請求権は、現物返還を求める物権的効力を持っていましたが、これが事業承継や不動産帰属を複雑にする問題がありました。そのため、2019年7月の施行により、金銭支払請求権へと変更されました。
関連法令
民法第904条(遺留分の割合)民法第968条(自筆証書遺言)民法第1012条(遺言執行者の任務)
体系的位置づけ
宅建試験の「民法(親族・相続)」分野における核心的な論点です。不動産の所有権移転や相続手続きにおいて、遺言の有効性と相続人間の権利関係の調整は必須知識です。
前提知識
この問題を解くには、相続人の範囲と法定相続分、遺言書の3つの方式(自筆、公正証書、秘密)、および遺言執行者の職務内容についての基礎知識が必要です。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「遺留分は金(カネ)で解決、減殺(ゲンサツ)はもう昔の話」と覚える。
ビジュアル描写
不動産をそのまま相続人に返すのではなく、評価額に応じた「小切手」を渡すイメージで金銭債権化を捉える。
重要公式
遺留分 = 法定相続分 × 1/2(直系尊属以外の場合)。
関連連想
「遺留分」=「リザーブ(Reserve)」=「現金(キャッシュ)」と連想して覚える。
比較表
旧法:物権的効力(目的物返還請求) vs 新法:金銭債権(金銭支払請求)。
05試験テクニック
出題頻度
毎年出題。特に民法改正後は頻出中。
重要度
A:最重要。実務にも直結するため改正論点は頻出。
出題パターン
  • 自筆証書遺言の方式不備(訂正・加筆)
  • 遺言執行者の権限と相続人の処分権
  • 遺留分の計算と請求方法(金銭化)
解法・消去法
「全部」「絶対」といった断定表現や、手続きの一部(署名のみなど)が欠けている選択肢を消去。
時間戦略
方式の問題は条文通りか即断し、遺留分の改正点(金銭化)に注意を向けることで時間を節約。
06実務応用
実務シナリオ
父が愛人に自宅を遺贈した場合、子供は遺留分を請求できます。改正法により、子供は愛人に対して自宅の返還ではなく、自宅の評価額の半分の金銭を請求する形になります。
実務への影響
事業用資産や居住用不動産が遺留分行使によって細分化されることを防ぎ、円滑な事業承継や住居の確保が可能になりました。
ケーススタディ
家業の工場を長男に継がせたいが、他の兄弟にも遺留分がある場合。旧法なら工場を分ける必要があったが、新法なら長男が工場を持ち、他の兄弟には金銭を払うことで解決可能。
業界関連性
不動産登記や相続コンサルティングにおいて、遺言書作成時の遺留分対策(生命保険活用等)の提案に必須の知識。
ニュース連動
高齢化社会に伴う相続争いの増加と、法改正による円滑化の動きがニュースで取り上げられることが多い。
07よくある間違い
遺留分の請求をまだ「減殺請求」と呼び、物の返還を求めると考えている。
なぜ間違えるか:2019年の民法改正で名称と内容が変更されたことを知らないため。
自筆証書遺言の訂正に押印だけあれば有効と勘違いする。
なぜ間違えるか:署名も必要であることを忘れている、または厳格な方式を軽視している。
解説は、まだ続きます
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