令和3年(2021)本試験
問210
選択債権過去問
この問題の全体像
選択債権に関する問題で、選択権の帰属、第三者を選択権者とする場合の規定、履行不能時の取扱いが問われている。民法406条から410条までの規定を正確に理解しているかが鍵となる。
AとBとの間で、Aを売主、Bを買主とする、等価値の美術品甲又は乙のいずれか選択によって定められる美術品の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 1本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、第三者Cを選択権者とする合意がなされた場合、Cが選択をすることができないときは、選択権はBに移転する。
- 2本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、Aを選択権者とする合意がなされた後に、Aの失火により甲が全焼したときは、給付の目的物は乙となる。
- 3本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについての選択権に関する特段の合意がない場合、Bが選択権者となる。
- 4本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、第三者Dを選択権者とする合意がなされた場合、Dが選択権を行使するときは、AとBの両者に対して意思表示をしなければならない。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
選択債権に関する問題で、選択権の帰属、第三者を選択権者とする場合の規定、履行不能時の取扱いが問われている。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
選択債権に関する問題で、選択権の帰属、第三者を選択権者とする場合の規定、履行不能時の取扱いが問われている。民法406条から410条ま…
03
知識背景
選択債権とは、数個の給付の中から選択によって一つが定まる債権をいう。選択権の帰属(原則は債務者)、第三者を選択権者とする場合の規定、…
04
覚え方
選択権は債務者(売主)が持つ→「債務者が選ぶのが原則」。第三者が選べない→債務者に移転。選択権者の過失で不能→その給付は消滅。
05
試験のコツ
選択権の帰属を問う問題
・第三者を選択権者とする場合の手続を問う問題
・履行不能時の効果を問う問題
06
実務での見え方
不動産売買で「A棟またはB棟のどちらかを販売する」という契約の場合、選択債権となる。売主が選択権者で、売主の過失でA棟が焼失すれば、…
07
よくある間違い
{"mistake":"選択権は債権者(買主)に属すると誤解する。","why_wrong":"「買主が選ぶのが普通」という実感から…
02深度分析
要約
選択債権に関する問題で、選択権の帰属、第三者を選択権者とする場合の規定、履行不能時の取扱いが問われている。民法406条から410条までの規定を正確に理解しているかが鍵となる。
法的根拠
民法406条(選択権の帰属)民法408条(第三者による選択の方法)民法409条(第三者の選択権の移転)民法410条(履行不能と選択権)
論理の流れ
まず選択債権の基本構造を理解し、各選択肢を民法の規定に照らして検証する。選択肢1は民法409条により選択権は債務者に移転するため誤り。選択肢2は民法410条2項により選択権者の過失で給付不能の場合、債権はその給付について消滅し、結果として乙となるため正解。選択肢3は民法406条により債務者が選択権者となるため誤り。選択肢4は民法408条により当事者の一方への意思表示で足りるため誤り。
重要な区別
選択権者の過失による履行不能の場合、民法410条2項により当該給付について債権が消滅し、他の給付が残るという点が最重要。選択権の帰属と履行不能の組み合わせ問題である。
各選択肢のポイント
- 民法409条により、第三者が選択できないときは選択権は債務者(A)に移転する。債権者(B)ではない。
- 民法410条2項により、選択権者の過失で給付不能となった場合、債権はその給付について消滅する。甲が消滅し乙が残る。
- 民法406条により、別段の合意がないときは選択権は債務者に属する。売主Aが債務者なのでAが選択権者となる。
- 民法408条により、第三者の選択は当事者の「一方」に対する意思表示で足りる。両者への意思表示は不要。
03知識背景
テーマ概要
選択債権とは、数個の給付の中から選択によって一つが定まる債権をいう。選択権の帰属(原則は債務者)、第三者を選択権者とする場合の規定、履行不能時の効果が民法406条から410条に規定されている。選択権の行使は相手方への意思表示により行う。
歴史的背景
選択債権の規定は明治民法から存在し、2020年民法改正でも基本的な構造は維持された。履行不能時の規定は債権者・債務者間の公平を図る重要な規定として位置づけられている。
関連法令
民法406条(選択権の帰属)民法407条(選択権の行使)民法408条(第三者による選択)民法409条(選択権の移転)民法410条(履行不能と選択)
体系的位置づけ
民法債権総論の「債権の目的」の一部として位置づけられる。宅建試験では選択債権は頻出論点の一つで、特に履行不能との組み合わせ問題が多い。
前提知識
債権者と債務者の区別、履行不能の概念、過失の意味、意思表示の相手方に関する基本知識が必要。売買契約における当事者の地位(売主は債務者、買主は債権者)の理解が前提となる。
04記憶テクニック
語呂合わせ
選択権は債務者(売主)が持つ→「債務者が選ぶのが原則」。第三者が選べない→債務者に移転。選択権者の過失で不能→その給付は消滅。
ビジュアル描写
A(売主・債務者)←→B(買主・債権者)の間で甲または乙を選択。選択権者が甲を焼失させた場合、甲は消滅し乙だけが残るイメージ。
重要公式
選択権の原則的帰属=債務者(民406)。第三者選択不能時=債務者へ移転(民409)。選択権者過失による不能=当該給付消滅(民410-2)。
関連連想
「選択権者は責任を負う」と覚える。自分が選ぶ立場なら、自分の過失で給付不能になるとその選択肢を失う。
比較表
選択権者:原則=債務者(民406)、第三者不能時=債務者へ移転(民409)。履行不能:選択権者なしの過失→他へ移転(民410-1)、選択権者ありの過失→当該給付消滅(民410-2)。
05試験テクニック
出題頻度
選択債権は2〜3年に1回程度の頻度で出題される。履行不能との組み合わせが多い。
重要度
B:重要。基本条文の理解が必要で、他の分野(履行不能、債務不履行)との関連も深い。
出題パターン
- 選択権の帰属を問う問題
- 第三者を選択権者とする場合の手続を問う問題
- 履行不能時の効果を問う問題
解法・消去法
選択権の帰属(原則は債務者)を知っていれば選択肢3は即座に×。第三者の選択方法(一方への意思表示で可)を知れば選択肢4も×。残りから正解を導く。
時間戦略
選択債権の問題は条文を思い出せば短時間で解ける。民法406〜410条の内容を瞬時に想起できるよう準備する。1分以内で解答したい。
06実務応用
実務シナリオ
不動産売買で「A棟またはB棟のどちらかを販売する」という契約の場合、選択債権となる。売主が選択権者で、売主の過失でA棟が焼失すれば、B棟を引き渡す義務が残る。
実務への影響
選択債権の規定を理解することで、契約条項の作成時に選択権の帰属を明確にでき、紛争を防げる。履行不能時のリスク配分も明確になる。
ケーススタディ
住宅メーカーが「モデルハウスAまたはBのどちらかを分譲」という契約を締結。買主が選択権者と約定した場合、買主の過失でAが焼失しても、買主はBを選択できる。
業界関連性
不動産取引では類似物件の選択的売買が存在し、選択債権の知識は実務で活用される。契約書作成時に選択権者を明記する重要性が理解できる。
ニュース連動
建築資材高騰により、代替物件への切り替え交渉が増加。選択債権の考え方が契約交渉で参照されるケースがある。
07よくある間違い
選択権は債権者(買主)に属すると誤解する。
なぜ間違えるか:「買主が選ぶのが普通」という実感から、民法406条の原則(債務者帰属)を忘れがち。
正しい理解:「債務者が選ぶ」を原則として覚える。契約自由の原則で変更可能だが、原則は債務者。
第三者が選択できない場合、選択権は債権者に移転すると誤解する。
なぜ間違えるか:債権者保護の観点から債権者に移転すると考えがちだが、民法409条は債務者への移転を規定している。
正しい理解:「第三者不能→債務者へ」を定型句として覚える。債権者ではない点に注意。
選択権者の過失による履行不能の場合、選択権が他の給付に移転すると誤解する。
なぜ間違えるか:民法410条1項(選択権者でない当事者の過失)と2項(選択権者の過失)を混同している。
正しい理解:「選択権者の過失=当該給付消滅」「非選択権者の過失=他へ移転」と対比して覚える。
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