令和5年(2023)本試験
問25
税・その他不動産鑑定評価基準過去問
この問題の全体像
不動産鑑定評価基準に基づく3つの手法(原価法、取引事例比較法、収益法)の定義と適用範囲を問う問題。各手法の本質的理解と適用可能性の判断が求められる。
不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、正しいものはどれか。
- 1原価法は、価格時点における対象不動産の収益価格を求め、この収益価格について減価修正を行って対象不動産の比準価格を求める手法である。
- 2原価法は、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合には適用することができるが、対象不動産が土地のみである場合においては、いかなる場合も適用することができない。
- 3取引事例比較法における取引事例が、特殊事情のある事例である場合、その具体的な状況が判明し、事情補正できるものであっても採用することは許されない。
- 4取引事例比較法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合又は同一需給圏内の代替競争不動産の取引が行われている場合に有効である。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
不動産鑑定評価基準に基づく3つの手法(原価法、取引事例比較法、収益法)の定義と適用範囲を問う問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
不動産鑑定評価基準に基づく3つの手法(原価法、取引事例比較法、収益法)の定義と適用範囲を問う問題。各手法の本質的理解と適用可能性の判…
03
知識背景
不動産鑑定評価基準は、不動産の価格を評価するための3つの手法を定めている。原価法(積算価格)、取引事例比較法(比準価格)、収益法(収…
04
覚え方
原価法は「積算」で積み上げるイメージ。取引事例比較法は「比準」で比べるイメージ。収益法は「収益」で稼ぐ力を見るイメージ。語頭をとって…
05
試験のコツ
各手法の定義と求める価格の種類の組合せ問題
・手法の適用可能性の判断問題
・事情補正・時点修正の可否問題
06
実務での見え方
不動産売買時の適正価格判断、相続税評価、固定資産税評価、担保評価など多岐にわたり実務で活用。宅建士が価格の妥当性を説明する際の基礎知…
07
よくある間違い
{"mistake":"原価法が求める価格を収益価格や比準価格と混同する。","why_wrong":"3つの手法の名称と求める価格…
02深度分析
要約
不動産鑑定評価基準に基づく3つの手法(原価法、取引事例比較法、収益法)の定義と適用範囲を問う問題。各手法の本質的理解と適用可能性の判断が求められる。
法的根拠
不動産鑑定評価基準第2章第1節不動産鑑定評価基準第2章第2節不動産鑑定評価基準第2章第3節不動産の鑑定評価に関する法律第2条
論理の流れ
原価法は再調達原価から減価修正を行い積算価格を求める手法であり、収益価格や比準価格を求めるものではない。土地のみの場合でも造成地等では原価法が適用可能。取引事例比較法は事情補正が可能であれば特殊事情のある事例も採用可。同一需給圏内の類似不動産や代替競争不動産の取引事例がある場合に有効な手法である。
重要な区別
3つの手法それぞれが求める価格の種類(積算価格、比準価格、収益価格)と、各手法の適用可能性を明確に区別することが重要。
各選択肢のポイント
- 原価法は再調達原価から減価修正を行い積算価格を求める手法であり、収益価格や比準価格を求めるものではない。
- 土地のみの場合でも、造成地等の新規開発地においては原価法の適用が可能である。「いかなる場合も」という表現が誤り。
- 特殊事情のある事例でも、具体的な状況が判明し事情補正できるものであれば採用は許される。補正可能性が鍵。
- 取引事例比較法の有効性について、近隣地域・同一需給圏内の類似不動産・代替競争不動産の取引事例の存在を条件とする正しい記述。
03知識背景
テーマ概要
不動産鑑定評価基準は、不動産の価格を評価するための3つの手法を定めている。原価法(積算価格)、取引事例比較法(比準価格)、収益法(収益価格)があり、それぞれの手法には適用条件と限界がある。鑑定評価では原則として複数の手法を併用し、結果を総合的に判断する。
歴史的背景
不動産鑑定評価基準は1964年に制定され、不動産の鑑定評価に関する法律に基づき定められている。その後、市場環境の変化や評価技術の進展に伴い複数回の改正が行われ、現在に至るまで不動産評価の基準として機能している。
関連法令
不動産の鑑定評価に関する法律第2条不動産鑑定評価基準第1章不動産鑑定評価基準第2章不動産鑑定評価基準第3章
体系的位置づけ
宅建試験の「その他の法令等」分野に位置づけられ、不動産評価の基本原則として宅建士にも必須の知識。毎年1問程度出題される重要論点。
前提知識
3つの鑑定評価手法の定義と特徴、各手法が求める価格の種類、価格形成要因、最有効使用の原則、需給圏の概念、代替競争不動産の意義を理解しておく必要がある。
04記憶テクニック
語呂合わせ
原価法は「積算」で積み上げるイメージ。取引事例比較法は「比準」で比べるイメージ。収益法は「収益」で稼ぐ力を見るイメージ。語頭をとって「積比収」で覚える。
ビジュアル描写
3つの手法を三角形の頂点に配置し、中心に対象不動産を置くイメージ。各頂点から中心に矢印を引き、価格を算定する構図で視覚化。
重要公式
原価法:積算価格=再調達原価-減価積算額。取引事例比較法:比準価格=事例価格×事情補正×時点修正×地域要因比較×個別的要因比較
関連連想
「原価」は建設コストから、「取引」は市場から、「収益」は投資家の視点から、それぞれアプローチすると連想。
比較表
原価法→積算価格→再調達原価-減価修正/取引事例比較法→比準価格→事例価格×補正/収益法→収益価格→純収益÷還元利回り
05試験テクニック
出題頻度
不動産鑑定評価基準からの出題は毎年あり、3手法の定義・適用範囲・求める価格の種類は頻出論点。
重要度
A:最重要。不動産評価の基本原則として実務でも重要であり、確実に得点すべき分野。
出題パターン
- 各手法の定義と求める価格の種類の組合せ問題
- 手法の適用可能性の判断問題
- 事情補正・時点修正の可否問題
解法・消去法
「いかなる場合も」「必ず」「決して」等の絶対的表現は誤りの可能性が高い。各手法の定義と異なる用語の使用(例:原価法で収益価格)は即座に誤りと判断。
時間戦略
各手法の基本定義を瞬時に判断できるよう暗記しておくことで、1分以内で解答可能。迷ったら消去法で対応。
06実務応用
実務シナリオ
不動産売買時の適正価格判断、相続税評価、固定資産税評価、担保評価など多岐にわたり実務で活用。宅建士が価格の妥当性を説明する際の基礎知識となる。
実務への影響
不動産取引の適正化、価格の透明性確保に寄与。過大評価・過小評価の防止により、取引トラブルの回避に貢献する。
ケーススタディ
中古マンションの売買において、取引事例比較法で近隣の成約事例を参照し価格を算定。同時に原価法で建物の減価を考慮し、収益法で投資用としての収益性も検討。これらを総合して適正価格を提示。
業界関連性
不動産業界において価格評価は基本スキル。鑑定評価基準の理解は、適正な価格提示と顧客への説明に不可欠。
ニュース連動
不動産価格の高騰が話題となる中、適正な価格評価の重要性が増している。相続税改正や固定資産税評価見直しとも関連。
07よくある間違い
原価法が求める価格を収益価格や比準価格と混同する。
なぜ間違えるか:3つの手法の名称と求める価格の対応関係を正確に記憶していないため。
正しい理解:「原価は積み上げ、比較は比準、収益はそのまま」の語呂合わせで記憶を定着させる。
「いかなる場合も」「必ず」等の絶対的表現を見落とし、誤った選択肢を正解と判断する。
なぜ間違えるか:問題文を精読せず、内容の概略だけを見て判断してしまうため。
正しい理解:選択肢に絶対的表現があれば、例外ケースを想定して検証する習慣をつける。
特殊事情のある取引事例は一切採用できないと誤解する。
なぜ間違えるか:事情補正の概念を理解しておらず、特殊事情=不採用と短絡的に判断するため。
正しい理解:「特殊事情=不採用」ではなく「補正可能=採用可」と理解し、事情補正の概念を重視する。
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