追認
追認とは、取消し得る法律行為を確定的に有効とする単独行為である。取消原因が存在する法律行為は、取消権者により取り消される可能性があり、法律関係が不安定な状態にある。追認により、この不安定な状態を解消し、法律行為を初めから有効であったものとして確定させる。これを遡及効という。追認は取消原因が消滅した後にしなければならない。
民法119条(追認による取消権の消滅)民法120条(追認の時期)民法121条(追認の方式)
重要度: 重要
要点
追認とは、取消し得る法律行為を確定的に有効とする単独行為である。取消原因が存在する法律行為は、取消権者により取り消される可能性があり、法律関係が不安定な状態にある。追認により、この不安定な状態を解消し、法律行為を初めから有効であったものとして確定させる。これを遡及効という。追認は取消原因が消滅した後にしなければならない。
体系における位置づけ
民法(権利関係)は宅建試験の4科目の中で最も難易度が高く、法律の基礎原理を学ぶ科目です。総則、物権、債権、親族相続の4分野から構成され、取消し・追認は総則編の法律行為論に位置します。意思表示の瑕疵や無権代理など、法律行為の効力が不安定な状態を確定させる制度として重要です。
ルールの詳細
・追認は取消原因が消滅した後にしなければならない。未成年者が成年に達する前や、詐欺・強迫を知らない状態での追認は無効である。
・追認は方式を問わず、明示・黙示いずれでも可能である。ただし、取消権者が追認する意思を表示する必要がある。
・追認の効果は遡及効を有し、法律行為は初めから有効であったものとみなされる。第三者の権利を害することはできない。
・法定追認とは、取消権者が追認をしたとみなされる行為をいう。取消し得る行為について、全部の履行、担保供託、変更、取引行為等をした場合である。
・無権代理行為の追認は、本人が無権代理行為を有効と認める意思表示であり、相対人の催告権・取消権と関連する。
・相手方は取消権者に対し、相当の期間内に追認するか否かを確答すべき旨を催告することができる。
例外
・未成年者が法定代理人の同意を得て追認する場合は、成年に達する前でも有効である(民法120条ただし書)。
・強迫による意思表示の場合、強迫を知った時から3年以内に追認しなければ取消権は時効により消滅するが、追認は強迫を脱した後にしなければならない。
・無権代理行為の追認拒絶後、無権代理人が本人を相続しても、その無権代理行為は有効とはならない(最判平10.7.17)。
比較・対照
追認と取消しは対になる概念で、追認は法律行為を有効に確定させ、取消しは無効にする。無権代理の追認は取消原因の概念がなく時期制限がない点が異なる。
記憶テクニック
・「追認は原因消滅後」→「ついいんはげんいんしょうめつご」と覚える。未成年者は成年後、詐欺強迫は瑕疵認知後。
・法定追認の具体例:「履行・担保・変更・取引・履行請求」→「りこうたんぽへんこうとりひきりこうせいきゅう」として、「りたへとり」で覚える。
事例で確認
「追認」はこう問われる
17歳のAが親の同意なく自動車を購入した。その後、Aが20歳になって成年に達したが、自動車が気に入らないので取消したいと考えている。Aは成年到達後、追認していない状態で取消できるか。 Aは成年に達した後、追認しなくても取消しできるか。
結論:Aは追認していないため、取消権を行使できる。
未成年者取消権は成年に達した時から5年間行使できる(民法126条)。成年到達後も追認しない限り取消権は消滅しない。Aは追認していないため、取消権を行使できる。ただし、法定追認に該当する行為があれば別である。
押さえる:成年到達だけでは取消権は消滅せず、追認または5年の経過が必要である。
BがCに脅迫されて土地を売却した。その後、Bは脅迫から解放されたが、売買代金を受け取り、別の不動産を購入した。Bはその後、売買契約を取り消したいと主張している。 Bの取消しは認められるか。
結論:法定追認に該当する可能性が高く、取消しは認められない可能性がある。
Bの行為は法定追認に該当する可能性がある。民法122条は、取消し得る行為について「全部の履行」や「変更」等をした場合、追認したものとみなすと規定する。代金を受領し別の不動産を購入した行為は、取消し得る行為についての処分行為と評価され、法定追認に該当するおそれがある。
押さえる:取消原因消滅後の行為が法定追認に該当するか注意が必要である。
試験での狙われ方
出題傾向と対策
| 出題頻度 | 出題なし |
|---|---|
| 出題実績 | 過去 37 年で 0 回・0 年分 |
| 重要度 | B:重要。追認の時期・方式・効果は基本的事項として確実に押さえる必要がある。 |
| 解き方のコツ | 追認の時期(取消原因消滅後)と遡及効は必須知識。法定追認の具体例(履行、担保供託、変更等)を正確に覚えること。無権代理の追認と相続の判例も重要。 |
よく問われるパターン
- 追認の時期に関する正誤判定(取消原因消滅後か否か)
- 法定追認に該当する行為の判定
- 無権代理行為の追認と相続の関係
- 追認の遡及効と第三者の権利保護の関係
- 相手方の催告権と追認の関係
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Q1【2021年 問105】AがBの代理人として行った行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、いずれの行為もBの追認はないものとする。
解答: 正解:3
AがBから何ら代理権を与えられていないにもかかわらずBの代理人と詐称してCとの間で法律行為をし、CがAにBの代理権があると信じた場合であっても、原則としてその法律行為の効果はBに帰属しない。
【解説】解説 したがって正しい記述は[3]です。
Q2【2019年 問5】次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び判例並びに下記判決文によれば、誤っているものはどれか。 (判決文) 本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後に無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではないと解するのが相当である。けだし、無権代理人がした行為は、本人がそ...
解答: 正解:2
本人が追認拒絶をした後に無権代理人が本人を相続した場合と、本人が追認拒絶をする前に無権代理人が本人を相続した場合とで、法律効果は同じである。
【解説】解説 したがって誤っている記述は[2]です。 参考URL: 最判平10.7.17 https://www.courts.go.jp/hanrei/52792/d...
よくある質問
追認について
宅建の「追認」とは何ですか?
追認とは、取消し得る法律行為を確定的に有効とする単独行為である。取消原因が存在する法律行為は、取消権者により取り消される可能性があり、法律関係が不安定な状態にある。追認により、この不安定な状態を解消し、法律行為を初めから有効であったものとして確定させる。これを遡及効という。追認は取消原因が消滅した後にしなければならない。
「追認」は宅建でよく出ますか?
本試験の過去問データでは、この論点名で直接問われた出題は確認できませんが、関連する論点の中で問われることがあります。
未成年者は成年に達する前であっても、法定代理人の同意があれば追認することができる。
○正解。民法120条ただし書により、未成年者が法定代理人の同意を得て追認する場合は、成年に達する前でも有効である。
追認の効果は将来に向かってのみ生じ、過去に遡及しない。
×誤り。追認の効果は遡及効を有し、法律行為は初めから有効であったものとみなされる(民法119条)。
詐欺による意思表示の追認は、詐欺を発見した後にしなければならない。
○正解。民法120条により、追認は取消原因が消滅した後にしなければならない。詐欺の場合は詐欺を発見した後に取消原因が消滅する。
「追認」の覚え方は?
「追認は原因消滅後」→「ついいんはげんいんしょうめつご」と覚える。未成年者は成年後、詐欺強迫は瑕疵認知後。
・法定追認の具体例:「履行・担保・変更・取引・履行請求」→「りこうたんぽへんこうとりひきりこうせいきゅう」として、「りたへとり」で覚える。
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