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賃貸借

賃貸借とは、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約束し、相手方がこれに対して賃料を支払うことを約束することによって成立する諾成・有償・双務契約です(民法601条)。賃貸人は目的物の使用収益を許容する義務を負い、賃借人は賃料支払義務を負います。賃借権は債権ですが、登記によって対抗力を備えることができ、借地借家法では特別の保護が与えられています。

民法601条(賃貸借の定義)民法602条(処分能力を欠く者の賃貸借期間)民法604条(賃貸借の存続期間)

重要度: 重要

要点
賃貸借とは、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約束し、相手方がこれに対して賃料を支払うことを約束することによって成立する諾成・有償・双務契約です(民法601条)。賃貸人は目的物の使用収益を許容する義務を負い、賃借人は賃料支払義務を負います。賃借権は債権ですが、登記によって対抗力を備えることができ、借地借家法では特別の保護が与えられています。
体系における位置づけ
民法(権利関係)は宅建試験の4科目の中で最も難易度が高く、契約法を中心とした私法の基本原理を問われる分野です。賃貸借は契約法の中でも特に重要な位置を占め、借地借家法への理解の基礎となります。物権変動、債権譲渡、抵当権など他分野とも深く関連しており、民法全体の理解度を測る重要な指標となります。
ルールの詳細
賃貸借は当事者間の合意のみで成立する諾成契約であり、書面作成は不要です。ただし、期間が1年を超える場合でも口頭契約は有効に成立します。 ・賃貸借の存続期間は最長で20年とされ、これを超える期間を定めた場合は20年に短縮されます(民法604条1項)。更新可能ですが、更新後の期間も20年が上限です。 ・賃借人は賃貸人の承諾なくして賃借権を譲渡し、又は賃借物を転貸することができません(民法612条1項)。違反した場合、賃貸人は契約を解除できます。 ・賃借物が賃借人の過失によって滅失した場合、賃借人は賃料を支払う義務を負います。不可抗力による滅失の場合は賃料支払義務を免れます。 ・期間の定めのある賃貸借であっても、当事者が解約の権利を留保したときは、解約の申入れにより解約できます(民法617条)。 ・敷金は賃貸借終了後、賃借人が生じた債務を履行した後に残額の返還を請求できます(民法622条の2)。賃料不払い等の債務と相殺されます。
例外
処分の能力又は権限を欠く者がする賃貸借は、その期間は5年を超えることができません(民法602条)。この期間を超える部分は無効ではなく、5年に短縮されます。 ・賃貸人が賃借権の譲渡又は転貸を承諾した場合、賃借人は第三者に賃借権を譲渡し、又は賃借物を転貸することができます(民法612条但書)。 ・賃貸借の登記があれば、その賃貸借は第三者に対抗できますが、実際には賃貸人の協力が必要であり、借地借家法では建物保存登記等で対抗力を認めています。
比較・対照
賃貸借と使用貸借の最大の違いは有償・無償と諾成・要物です。賃貸借は賃料を支払う有償の諾成契約、使用貸借は無償の要物契約です。解約・解除のルールも異なります。
記憶テクニック
「賃貸借は有償諾成、使用貸借は無償要物」→「ちんたいしゃくゆうしょうだくせい、しようたいしゃくむしょうようぶつ」と覚える。 ・「敷金は債務担保、権利金は一方的」→敷金は返ってくる、権利金は返ってこないと覚える。 ・「無断転貸は解除事由」→「むだんてんたいはかいじょじゆう」と語呂合わせ。
事例で確認

賃貸借」はこう問われる

AはBに所有する甲建物を賃貸し、Bは賃料を毎月支払っていた。その後、BはAの承諾なくCに甲建物を転貸した。AはBの無断転貸を知り、契約を解除しようとしている。 AはBとの賃貸借契約を解除できるか。
結論:AはBとの賃貸借契約を解除できます。
民法612条1項により、賃借人は賃貸人の承諾なくして賃借物を転貸することができません。賃借人がこの規定に違反して転貸した場合、賃貸人は契約を解除することができます(同条2項)。本件では、BはAの承諾なくCに転貸しているため、Aは解除権を取得します。
押さえる:無断転貸は契約解除事由となります。ただし、賃貸人が転貸を知りながら異議を述べない場合、承諾したものとみなされる可能性があります。
AはBに甲土地を期間10年として賃貸した。契約から5年後、Bは事業の失敗により甲土地を使用する必要がなくなり、Aに期間内の解約を申し入れた。 Bは期間内に賃貸借契約を解約できるか。
結論:解約権が留保されている場合に限り、期間内の解約が可能です。
期間の定めのある賃貸借であっても、当事者が解約の権利を留保したときは、解約の申入れにより解約することができます(民法617条1項)。本件で解約権が留保されているかが問題となります。留保がない場合、原則として期間満了まで解約はできません。
押さえる:期間の定めのある賃貸借でも、解約権留保の有無が重要です。契約書の条項を確認する必要があります。
試験での狙われ方

出題傾向と対策

出題頻度出題なし
出題実績過去 37 年で 0 回・0 年分
重要度A:最重要。民法の中でも出題頻度が高く、借地借家法と合わせて必ず得点すべき分野です。
解き方のコツ賃貸借と使用貸借の違いを表で整理して暗記してください。敷金に関する民法622条の2は改正条文として重要です。解約権留保の有無による解約可否の判断も確実に押さえてください。
よく問われるパターン
  • 賃貸借と使用貸借の比較問題。有償・無償、諾成・要物、解約・解除の違いを問う出題が頻出します。
  • 賃借権の譲渡・転貸に関する問題。承諾の要否、無断転貸の効果を問う問題がよく出ます。
  • 敷金の性質と返還請求権に関する問題。賃貸借終了後の精算手続を問う問題が出題されます。
  • 賃貸借の解約・更新に関する問題。期間の定めのある場合となしの場合の解約規則の違いを問います。
関連過去問

この論点が問われた本試験

本試験 37 年分から、「賃貸借」に関連する過去問をピックアップしました。

理解度チェック

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Q1【2024年 問7】Aを貸主、Bを借主として甲建物の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結され、Bが甲建物の引渡しを受けた場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
解答: 正解:1 CがBに対し甲建物をAから買受けたとの虚偽の話をしたので、これを信じたBが甲建物の占有を任意にCに移転した場合、AはCに対して、占有回収の訴えにより甲建物の返還を請求することはできない。 【解説】解説 したがって正しい記述は[1]です。
Q2【2022年 問6】Aを貸主、Bを借主として、A所有の甲土地につき、資材置場とする目的で期間を2年として、AB間で、①賃貸借契約を締結した場合と、②使用貸借契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答: 正解:3 Bは、①では期間内に解約する権利を留保しているときには期間内に解約の申入れをし解約することができ、②では期間内に解除する権利を留保していなくてもいつでも解除することができる。 【解説】解説 したがって正しい記述は[3]です。
よくある質問

賃貸借について

宅建の「賃貸借」とは何ですか?
賃貸借とは、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約束し、相手方がこれに対して賃料を支払うことを約束することによって成立する諾成・有償・双務契約です(民法601条)。賃貸人は目的物の使用収益を許容する義務を負い、賃借人は賃料支払義務を負います。賃借権は債権ですが、登記によって対抗力を備えることができ、借地借家法では特別の保護が与えられています。
「賃貸借」は宅建でよく出ますか?
本試験の過去問データでは、この論点名で直接問われた出題は確認できませんが、関連する論点の中で問われることがあります。
賃貸借は当事者の合意のみで成立し、目的物の引渡しは成立要件ではない。
○ 正解。賃貸借は諾成契約であり、当事者の合意のみで成立します。目的物の引渡しは履行の問題であり、成立要件ではありません。
使用貸借は当事者の合意のみで成立する諾成契約である。
× 不正解。使用貸借は要物契約であり、目的物の引渡しが必要です。合意だけでは契約は成立しません。賃貸借との重要な違いです。
賃貸借の存続期間は最長30年とされている。
× 不正解。賃貸借の存続期間は最長20年とされています(民法604条)。30年を超える期間を定めた場合は20年に短縮されます。
「賃貸借」の覚え方は?
「賃貸借は有償諾成、使用貸借は無償要物」→「ちんたいしゃくゆうしょうだくせい、しようたいしゃくむしょうようぶつ」と覚える。 ・「敷金は債務担保、権利金は一方的」→敷金は返ってくる、権利金は返ってこないと覚える。 ・「無断転貸は解除事由」→「むだんてんたいはかいじょじゆう」と語呂合わせ。
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