担保物権(抵当権など)
抵当権は、債務者または第三者が提供した不動産について、債権者がその債権の担保として、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利です。目的物の占有を移転しない点で質権と異なり、債務者は引き続き不動産を使用・収益できます。抵当権には付従性(債権に従属して存在)、随伴性(債権とともに移転)、不可分性(債権の一部が残る限り全部について存在)という特性があります。
民法369条(抵当権の内容)民法373条(抵当権の順位)民法375条(抵当権の処分・順位の放棄)
重要度: 重要
要点
1.AがBから弁済の期限の定めなく金1,000万円を借り入れる金銭消費貸借契約における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。令和7年試験 問42.Aの所有する甲土地にBを地上権者とする地上権が設定され、その旨の登記がされた後に、甲土地にCを抵当権者とする抵当権が設定され、その旨の登記がされた場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。令和6年試験 問63.債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額1,000万円)、債権者Cが二番抵当権(債権額1,200万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額2,000万円)をそれぞれ有しているが、BがDの利益のため、Aの承諾を得て抵当権の順位を放棄した。甲土地の競売に基づく売却代金が2,400万円であった場合、Bの受ける配当額として、民法の規定によれば、正しいものはどれか。令和5年試験 問104.A所有の甲土地にBのCに対する債務を担保するためにCの抵当権が設定され、その旨の登記がなされた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。令和4年試験 問45.Aは、B
体系における位置づけ
担保物権は、債権の回収を確保するための制度で、抵当権、質権、留置権などがあります。宅建試験では抵当権が最も重要で、不動産取引と密接に関連しています。抵当権は目的物を占有移転せずに設定できる非占有型担保であり、不動産融資の実務の中核をなします。優先弁済権、物上代位、付従性・随伴性などの特性を理解することが不可欠です。
ルールの詳細
・抵当権は当事者間の契約と登記により設定され、登記をしなければ第三者に対抗できない(民法177条)。
・抵当権の効力は、目的物のほか、付加物、従物、従たる権利にも及ぶ(民法370条)。
・抵当権設定後にされた登記された賃貸借は、抵当権者に対抗できないが、競売の買受人は解除可能(民法395条)。
・抵当権の順位は登記の先後によるが、順位の変更・放棄が可能(民法373条、375条)。
・抵当権者は、抵当不動産が滅失・損傷した場合、滅失・損傷した物の上に残存する権利に対して物上代位を行使できる(民法304条)。
・第三取得者は、抵当権者に対し、抵当不動産の競売を請求し、その代金を弁済して抵当権の消滅を請求できる(民法379条、381条)。
例外
・抵当権設定前に存在する賃貸借は、登記がなくても抵当権者に対抗できる(民法395条の例外)。
・短期賃貸借(建物賃貸借3年、土地賃貸借10年以内)は、抵当権設定後でも抵当権者に対抗できる場合がある(民法395条)。
・根抵当権については、抵当権の付従性が緩和され、極度額の範囲で包括的に担保する。
比較・対照
抵当権は非占有型の約定担保物権であり、質権・留置権と性質が異なります。順位の放棄と変更は効果が異なるため、条文に基づき正確に理解する必要があります。
記憶テクニック
・「抵当権は登記で対抗、順位は登記の先後」→登記の重要性を覚える
・「付従・随伴・不可分」→抵当権の三大特性をセットで記憶
・「三九五条、短期賃貸借保護」→民法395条の短期賃貸借保護を数字で覚える
事例で確認
「担保物権(抵当権など)」はこう問われる
A所有の甲土地に、Bの抵当権(一番)とCの抵当権(二番)が設定され、それぞれ登記された。その後、BがDの利益のために順位を放棄した。甲土地が競売にかけられ、売却代金が2,400万円となった場合、BとCの配当はどうなるか。 順位放棄の効果として、各抵当権者の配当額はどうなるか?
結論:Dが1,000万円、Cが1,200万円、Bは200万円の配当を受ける。
順位放棄により、BはDに対して自己の順位を譲渡する。Bは二番順位に下がり、Dが一番順位となる。Cの順位は変わらない。配当は、D(一番1,000万円)、C(二番1,200万円)、B(三番残額)の順で行われる。
押さえる:順位放棄は放棄者と受益者間でのみ順位が入れ替わり、他の抵当権者には影響しないことを理解する。
A所有の甲土地にBの抵当権が設定され登記された後、Aが甲土地をCに売却した。Cは抵当権の存在を知らず、所有権移転登記を備えた。 Cは抵当権の負担のある甲土地を取得したことになるか?
結論:Cは抵当権付きのまま甲土地を取得するが、代価弁済等の方法で抵当権を消滅させられる。
抵当権は登記されているため、Cが抵当権の存在を知らなくても、抵当権は甲土地に残存する。Cは抵当権の負担付きで甲土地を取得する。ただし、Cは第三取得者として、抵当権者に競売を請求し、代金を弁済して抵当権を消滅させることができる。
押さえる:抵当権は登記により第三者に対抗力を持ち、第三取得者は保護措置を利用できる。
試験での狙われ方
出題傾向と対策
| 出題頻度 | 2〜3 年に 1 回 |
|---|---|
| 出題実績 | 過去 37 年で 9 回・9 年分・最新 2025 年 |
| 重要度 | A:最重要。民法分野の中核テーマであり、必ず押さえるべき。 |
| 解き方のコツ | 抵当権の条文(369条〜395条)を体系的に整理し、順位関係の計算問題を反復練習すること。登記の有無と第三者への対抗力を常に意識する。 |
よく問われるパターン
- 抵当権の順位(順位の決定、順位の変更・放棄)に関する問題
- 抵当権と賃貸借の関係(民法395条の短期賃貸借保護)
- 第三取得者の地位と権利(代価弁済、滌除)
- 物上保証と抵当権の処分(抵当権の譲渡・放棄)
理解度チェック
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Q1No.1
解答: 正解: 3。意思表示は、当該意思表示に対応する意思を欠く錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、無効であるが、その錯誤につき善意でかつ過失がない第三
Q2No.1
解答: 正解: 3。AB間の売買契約が、BC間の売買契約締結よりも前にAにより解除されていた場合、又は、BC間の売買契約締結後にAにより解除された場合のいずれの場合であっても、Cは、甲土地の所有権移転登記を備えれば、Aに
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よくある質問
担保物権(抵当権など)について
宅建の「担保物権(抵当権など)」とは何ですか?
抵当権は、債務者または第三者が提供した不動産について、債権者がその債権の担保として、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利です。目的物の占有を移転しない点で質権と異なり、債務者は引き続き不動産を使用・収益できます。抵当権には付従性(債権に従属して存在)、随伴性(債権とともに移転)、不可分性(債権の一部が残る限り全部について存在)という特性があります。
「担保物権(抵当権など)」は宅建でよく出ますか?
本試験では過去 37 年間で 9 回、9 年分で出題されています。出題傾向は「2〜3 年に 1 回」です。
抵当権は目的物の占有を債権者に移転する必要がある。
×。抵当権は非占有型担保であり、債務者が占有を継続できる。これが質権との大きな違いである。
抵当権の順位は登記の先後によって決まる。
○。民法373条により、抵当権の順位は登記の先後による。ただし、順位の変更・放棄は可能である。
抵当権設定後にされた賃貸借は、すべて抵当権者に対抗できない。
×。民法395条の短期賃貸借(建物3年、土地10年以内)は、抵当権者に対抗できる場合がある。
「担保物権(抵当権など)」の覚え方は?
「抵当権は登記で対抗、順位は登記の先後」→登記の重要性を覚える
・「付従・随伴・不可分」→抵当権の三大特性をセットで記憶
・「三九五条、短期賃貸借保護」→民法395条の短期賃貸借保護を数字で覚える
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