宅建コーチ
権利関係ほぼ毎年過去 37 年で 29 回出題

抵当権

抵当権とは、債務者または第三者が占有を移転することなく、債務の担保として供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利です。抵当権者は目的物を占有せず、債務者が使用収益を継続できるため、経済活動を阻害しない効率的な担保制度として機能します。債権が弁済されない場合、抵当権者は抵当不動産を競売に付し、その代金から優先的に弁済を受けます。

民法369条(抵当権の内容)民法370条(抵当権の効力の及ぶ範囲)民法373条(抵当権の順位)

重要度: 重要

要点
抵当権とは、債務者または第三者が占有を移転することなく、債務の担保として供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利です。抵当権者は目的物を占有せず、債務者が使用収益を継続できるため、経済活動を阻害しない効率的な担保制度として機能します。債権が弁済されない場合、抵当権者は抵当不動産を競売に付し、その代金から優先的に弁済を受けます。
体系における位置づけ
民法(権利関係)は宅建試験の主要科目の一つで、権利の変動、契約、担保物権などが含まれます。抵当権は担保物権の中核をなし、不動産取引や金融実務と密接に関連する重要分野です。物権変動、登記、債権回収など幅広い知識が統合的に問われます。
ルールの詳細
抵当権は当事者間の契約と登記により成立し、登記がなければ第三者に対抗できない(民法177条)。 ・抵当権の順位は登記の先後によるのが原則で、先に登記された抵当権が優先する(民法373条1項)。 ・抵当権者は抵当権を他の債権者に譲渡し、または放棄することができる(民法375条1項)。 ・抵当権者はその順位を他の債権者に譲渡し、または放棄することができる(民法375条1項)。 ・順位の譲渡は譲渡人と譲受人の間で順位が入れ替わる効果を持ち、第三者には影響しない。 ・順位の放棄は放棄者と相手方が同順位となり、債権額に応じて配当を分け合う。 ・抵当権の処分には債務者の承諾が必要であり、承諾がないと債務者に対して効力を生じない。 ・抵当権設定者は抵当不動産の使用収益を継続できるが、抵当権を害する行為は制限される。
例外
抵当権の順位の譲渡・放棄は、当事者間でのみ効力を生じ、他の抵当権者には影響を及ぼさない。 ・抵当権設定後に付加された従物や従たる権利には、抵当権の効力が及ばない場合がある。 ・利息や損害金については、満期後2年分までしか抵当権の効力が及ばない(民法374条)。
比較・対照
抵当権と質権は占有の有無で区別する。順位の譲渡は順位入れ替え、順位の放棄は同順位化という効果の違いを理解することが重要である。
記憶テクニック
「譲渡は入れ替え、放棄は同順位」-順位の譲渡は順位が入れ替わり、放棄は同順位になると覚える。 ・「抵当は占有せず、質権は占有する」-抵当権と質権の最大の違いを語呂で覚える。 ・「三七五条、処分で譲渡放棄」-民法375条が抵当権の処分(譲渡・放棄)に関する条文と覚える。
事例で確認

抵当権」はこう問われる

A所有の甲土地には、Bの一番抵当権(債権額1,000万円)、Cの二番抵当権(債権額1,000万円)が設定されている。甲土地が1,500万円で競売された。BがCに順位を譲渡した場合と、順位を放棄した場合の配当額はどうなるか。 順位の譲渡と放棄で、それぞれの配当額はどう変化するか?
結論:譲渡:C1,000万円、B500万円。放棄:各750万円。
通常はBが1,000万円、Cが500万円の配当を受ける。順位の譲渡の場合、順位が入れ替わり、Cが1,000万円、Bが500万円となる。順位の放棄の場合、BとCは同順位となり、債権額が同額なので各750万円ずつの配当となる。
押さえる:順位の譲渡は単純な入れ替え、放棄は同順位化という違いを計算問題で確認する。
AはBに対する債務の担保として、自己所有の甲土地に抵当権を設定し、登記を完了した。その後、Aは甲土地をCに売却した。Cは抵当権の消滅を主張できるか。 第三取得者Cは抵当権の消滅を主張できるか?
結論:Cは抵当権を承継するが、弁済により消滅させられる。
抵当権は登記されているため、Cは抵当権の存在を承継する。ただし、Cが抵当権者Bの請求に応じて代価を弁済した場合、抵当権はCのために消滅する(民法379条)。また、滌除(てきじょ)の制度を利用することも可能である。
押さえる:抵当不動産の第三取得者の地位と、滌除・代価弁済の制度を理解する。
試験での狙われ方

出題傾向と対策

出題頻度ほぼ毎年
出題実績過去 37 年で 29 回・25 年分・最新 2023 年
重要度A:最重要。抵当権は担保物権の中核であり、宅建試験の民法分野で確実に得点すべき分野。
解き方のコツ順位の譲渡と放棄の違いを確実に理解し、計算練習を積むこと。条文番号と内容をセットで覚え、判例知識も補完的に学習すること。
よく問われるパターン
  • 抵当権の順位の譲渡・放棄の効果と配当計算問題。数字を用いた具体的な計算が求められる。
  • 抵当権の効力の及ぶ範囲(付加物、従物、果実など)に関する正誤判定問題。
  • 抵当権と第三取得者の関係、滌除、代価弁済に関する問題。
  • 抵当権の処分(譲渡・放棄)の要件と効果に関する問題。
関連過去問

この論点が問われた本試験

本試験 37 年分から、「抵当権」に関連する過去問をピックアップしました。

理解度チェック

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Q1【2023年 問10】債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額1,000万円)、債権者Cが二番抵当権(債権額1,200万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額2,000万円)をそれぞれ有しているが、BがDの利益のため、Aの承諾を得て抵当権の順位を放棄した。甲土地の競売に基づく売却代金が2,400万円であった...
解答: 正解:3 400万円 【解説】解説 抵当権の譲渡、抵当権の放棄の違いを整理しておきます。どちらも二者間でのみ調整が行われ、その他の債権者には影響がないことがポイントです。 譲渡 譲渡した人と...
Q2【2022年 問4】A所有の甲土地にBのCに対する債務を担保するためにCの抵当権(以下この問において「本件抵当権」という。)が設定され、その旨の登記がなされた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答: 正解:1 Aから甲土地を買い受けたDが、Cの請求に応じてその代価を弁済したときは、本件抵当権はDのために消滅する。 【解説】解説 したがって正しい記述は[1]です。
よくある質問

抵当権について

宅建の「抵当権」とは何ですか?
抵当権とは、債務者または第三者が占有を移転することなく、債務の担保として供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利です。抵当権者は目的物を占有せず、債務者が使用収益を継続できるため、経済活動を阻害しない効率的な担保制度として機能します。債権が弁済されない場合、抵当権者は抵当不動産を競売に付し、その代金から優先的に弁済を受けます。
「抵当権」は宅建でよく出ますか?
本試験では過去 37 年間で 29 回、25 年分で出題されています。出題傾向は「ほぼ毎年」です。
抵当権は目的物の占有を債権者に移転する必要がある。
×。抵当権は非占有担保物権であり、債務者が占有を継続できる。占有を移転するのは質権である。
抵当権の順位は登記の先後によって決まる。
○。民法373条1項により、抵当権の順位は登記の先後による。先に登記された抵当権が優先する。
抵当権の順位の譲渡は、すべての抵当権者に影響を及ぼす。
×。順位の譲渡は譲渡人と譲受人の間でのみ効力を生じ、他の抵当権者には影響しない。
「抵当権」の覚え方は?
「譲渡は入れ替え、放棄は同順位」-順位の譲渡は順位が入れ替わり、放棄は同順位になると覚える。 ・「抵当は占有せず、質権は占有する」-抵当権と質権の最大の違いを語呂で覚える。 ・「三七五条、処分で譲渡放棄」-民法375条が抵当権の処分(譲渡・放棄)に関する条文と覚える。
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