所有権・共有・占有権・用益物権
所有権は物を全面的に支配する完全な物権であり、民法206条で「自由にその使用、収益及び処分をする権利」と定義されます。共有は一つの物を複数の者が共同で所有する形態で、持分に応じた権利行使が認められます。占有権は事実上の支配を基礎とする権利で、占有の事実自体が保護されます。用益物権は他人の土地を利用する権利群です。
民法206条(所有権の内容)民法249条(共有持分)民法252条(共有物の管理)
重要度: 重要
要点
1.所有者AがBに甲土地を売却し、その後にBがCに甲土地を売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。令和7年試験 問12.Aが所有している甲土地についての物権変動に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。令和7年試験 問63.A、B及びCがそれぞれ3分の1の持分の割合で甲土地を共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。令和7年試験 問84.甲土地につき、A、B、C、Dの4人がそれぞれ4分の1の共有持分を有していて、A、B、CのいずれもDの所在を知ることができない場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。令和6年試験 問35.Aを貸主、Bを借主として甲建物の賃貸借契約が締結され、Bが甲建物の引渡しを受けた場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。令和6年試験 問76.相隣関係に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。令和5年試験 問27.相隣関係に関する次の記述のうち、民法の
体系における位置づけ
民法(権利関係)は宅建試験の4科目の中で最も難易度が高く、配点も大きい科目です。中でも所有権・共有・占有権・用益物権は物権法の中核をなす分野で、不動産取引の基礎となる法的権利関係を理解するために不可欠な知識です。これらは相互に関連し、実務でも頻繁に登場する重要概念です。
ルールの詳細
・共有物の保存行為は各共有者が単独で行うことができ、過半数の同意は不要である。ただし、保存行為とは現状維持のための行為に限られる。
・共有物の管理行為(賃貸等)には持分の過半数の同意が必要である。管理行為には利用行為も含まれると解されている。
・共有物の処分(売却等)には共有者全員の同意が必要である。持分の処分は各共有者が単独で可能だが、共有物全体の処分は全員の同意が必要。
・占有者は所有の意思を持って平穏かつ公然と占有を始めた場合、善意であれば即時に時効取得を主張できる可能性がある。
・地上権は登記することで第三者に対抗できる。賃借権は登記がなくても引渡しを受けていれば対抗可能。
例外
・共有物の分割請求は原則としていつでも可能だが、5年以内は分割しない旨の合意が認められる(民法256条)。
・占有訴権は本権の訴えとは別個に認められるが、本権が判明した場合は本権に従う判断がなされる。
・相隣関係においては、所有権の絶対性が制限され、隣地との調整が図られる。
比較・対照
保存・管理・処分の各行為で必要な同意の範囲が異なることが重要。単独→過半数→全員同意の順で要件が厳しくなる。地上権と賃借権では対抗要件が異なる点に注意。
記憶テクニック
・「保存は単独、管理は過半、処分は全員」で同意要件を覚える。保存→管理→処分の順で要件が厳しくなると理解。
・「地上権は登記、賃借権は引渡し」で対抗要件を区別。物権は登記、債権は引渡し(借地借家法の特則)。
事例で確認
「所有権・共有・占有権・用益物権」はこう問われる
Aが所有する甲土地をBに売却し、登記も移転した。その後、BがCに甲土地を売却したが、Cはまだ登記を備えていない。この状態でAがAB間の売買契約を解除した場合、Cは甲土地の所有権を主張できるか。 CはAに対して甲土地の所有権を主張できるか。
結論:Cは登記を備えない限り、Aに対抗できないのが原則である。
民法177条により、不動産に関する物権変動は登記がなければ第三者に対抗できない。Cは登記を備えていないため、原則としてAに対抗できない。ただし、Aが解除権を濫用する場合等の例外も考慮が必要。判例は、解除前の第三者への譲渡について保護の余地を認める立場。
押さえる:物権変動の対抗要件としての登記の重要性と、解除の効果が及ぶ範囲を理解する。
A、B、Cが3分の1ずつの持分で甲土地を共有している。Aが自己の持分をDに譲渡した後、BとCが甲土地をEに売却したいと考えている。Dの同意は必要か。 BとCだけで甲土地全体をEに売却できるか。
結論:甲土地全体の売却にはDの同意も必要である。
共有持分の譲渡は各共有者が単独で可能(民法254条)。Dが新たな共有者となった後、共有物全体の処分には全員の同意が必要。BとCの持分を合わせても3分の2に過ぎず、Dの同意なしに全体を売却することはできない。
押さえる:持分の譲渡と共有物の処分は別問題。処分には全員の同意が必要。
試験での狙われ方
出題傾向と対策
| 出題頻度 | ほぼ毎年 |
|---|---|
| 出題実績 | 過去 37 年で 23 回・19 年分・最新 2025 年 |
| 重要度 | A:最重要。権利関係分野の基礎であり、必ず得点すべき分野。 |
| 解き方のコツ | 保存・管理・処分の各行為の要件を正確に暗記し、事例に当てはめる練習をすること。登記の有無と善意・悪意の組み合わせパターンを整理しておく。 |
よく問われるパターン
- 共有物の管理・処分に関する同意要件の判定問題
- 物権変動における登記の有無と第三者対抗要件
- 占有権の取得・消滅と時効取得の要件
- 相隣関係における所有権の制限
理解度チェック
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Q1No.1
解答: 正解: 3。意思表示は、当該意思表示に対応する意思を欠く錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、無効であるが、その錯誤につき善意でかつ過失がない第三
Q2No.1
解答: 正解: 3。AB間の売買契約が、BC間の売買契約締結よりも前にAにより解除されていた場合、又は、BC間の売買契約締結後にAにより解除された場合のいずれの場合であっても、Cは、甲土地の所有権移転登記を備えれば、Aに
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よくある質問
所有権・共有・占有権・用益物権について
宅建の「所有権・共有・占有権・用益物権」とは何ですか?
所有権は物を全面的に支配する完全な物権であり、民法206条で「自由にその使用、収益及び処分をする権利」と定義されます。共有は一つの物を複数の者が共同で所有する形態で、持分に応じた権利行使が認められます。占有権は事実上の支配を基礎とする権利で、占有の事実自体が保護されます。用益物権は他人の土地を利用する権利群です。
「所有権・共有・占有権・用益物権」は宅建でよく出ますか?
本試験では過去 37 年間で 23 回、19 年分で出題されています。出題傾向は「ほぼ毎年」です。
共有物の保存行為には、他の共有者の過半数の同意が必要である。
誤り。保存行為は各共有者が単独で行うことができる(民法252条但書)。現状維持のための緊急の行為等が該当。
共有物を第三者に売却するには、共有者全員の同意が必要である。
正しい。共有物の処分には共有者全員の同意が必要(民法254条)。持分のみの譲渡なら単独で可能だが、共有物全体の処分は全員同意。
地上権は登記しなくても、引渡しを受けていれば第三者に対抗できる。
誤り。地上権は物権であり、登記が対抗要件(民法177条)。賃借権(債権)は引渡しで対抗可能だが、地上権は登記が必要。
「所有権・共有・占有権・用益物権」の覚え方は?
「保存は単独、管理は過半、処分は全員」で同意要件を覚える。保存→管理→処分の順で要件が厳しくなると理解。
・「地上権は登記、賃借権は引渡し」で対抗要件を区別。物権は登記、債権は引渡し(借地借家法の特則)。
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