宅建コーチ
権利関係毎年複数回出題過去 37 年で 31 回出題

賃貸借契約

賃貸借契約は、当事者の一方がある物を使用収益させることを約束し、相手方がこれに対して賃料を支払うことを約束することによって成立する諾成契約です(民法601条)。賃貸人は目的物を使用収益させる義務を負い、賃借人は賃料支払義務を負います。不動産賃貸借では、登記がない場合でも引渡しを受けていれば第三者に対抗できる場合があります。

民法第601条(賃貸借の定義)民法第605条(賃借権の対抗要件)民法第612条(賃借権の譲渡・転貸の制限)

重要度: 重要

要点
賃貸借契約は、当事者の一方がある物を使用収益させることを約束し、相手方がこれに対して賃料を支払うことを約束することによって成立する諾成契約です(民法601条)。賃貸人は目的物を使用収益させる義務を負い、賃借人は賃料支払義務を負います。不動産賃貸借では、登記がない場合でも引渡しを受けていれば第三者に対抗できる場合があります。
体系における位置づけ
民法(権利関係)は宅建試験の4科目のうち、法的判断力を問う重要科目です。契約法分野は民法の中でも中心的な位置を占め、賃貸借契約は不動産取引の実務と直結する制度です。賃貸借は当事者間の権利義務関係を定める基本契約であり、借地借家法の前提知識として不可欠です。
ルールの詳細
賃貸借は諾成契約であり、当事者間の合意のみで成立します。書面は不要ですが、不動産賃貸借では証拠保全のため書面化が推奨されます。 ・賃借権の対抗要件として、不動産登記法の規定による登記を備えたときは、その後にその不動産について物権を取得した者に対しても賃借権を主張できます。 ・建物の賃借人は、その建物の引渡しを受けているときは、登記なくして第三者に対抗できます(民法605条)。 ・賃借人は賃貸人の承諾なく賃借権を譲渡し、又は賃借物を転貸することができません(民法612条1項)。 ・賃貸人が賃借人の債務不履行を理由として契約を解除するには、相当の期間を定めて履行の催告をしなければなりません(民法541条)。 ・賃貸借の存続期間は20年を超えることができず、これより長い期間を定めたときは20年となります(民法604条)。
例外
賃貸人の承諾がある場合、賃借人は賃借権を譲渡し、又は賃借物を転貸することができます(民法612条1項但書)。 ・賃貸人から賃借物を転貸する権限を与えられた賃借人は、その権限の範囲内で転貸することができます。 ・賃料の増減について当事者間に協議が調わないときは、当事者の請求により裁判所が増減を定めることができます(民法611条)。
比較・対照
賃貸借は有償の諾成契約であり、使用貸借とは有償性で区別します。売買とは権利移転の有無で異なります。対抗要件では登記と引渡しの効果を正確に理解することが重要です。
記憶テクニック
「賃貸借は有償で諾成、使用貸借は無償で片務」→有償・無償で区別 ・「建物は引渡し、土地は登記」→対抗要件の違いを覚える語呂 ・「転貸は承諾、無断は解除」→転貸のルールを短縮
事例で確認

賃貸借契約」はこう問われる

Aは所有する甲建物をBに賃貸し、Bは引渡しを受けたが賃借権の登記は備えていない。その後、Aが甲建物をCに売却し、Cに所有権移転登記を備えた。CはBに対して建物の明渡しを請求した。 BはCに対して賃借権を対抗できるか。
結論:BはCに対して賃借権を対抗でき、明渡しを拒否できます。
民法605条により、建物の賃借人はその建物の引渡しを受けていれば、登記なくして第三者に対抗できます。Bは甲建物の引渡しを受けているため、Cに対して賃借権を対抗することができます。Cは所有者としての権利を主張できません。
押さえる:建物賃貸借では引渡しが対抗要件となります。登記がなくても引渡しを受けていれば保護されます。
AはBに甲建物を賃貸した。BはAの承諾なくCに甲建物を転貸した。Aはこれを知り、Bに対して賃貸借契約を解除した。 Aの解除は有効か。
結論:催告なしの解除は無効となる可能性があります。適切な手続が必要です。
民法612条1項により、賃借人は賃貸人の承諾なく賃借物を転貸することができません。無断転貸は債務不履行に該当します。ただし、解除には民法541条に基づく相当の期間を定めた履行の催告が必要です。催告なしの解除は無効となる可能性があります。
押さえる:無断転貸は解除事由となりますが、解除には履行の催告が原則として必要です。
試験での狙われ方

出題傾向と対策

出題頻度毎年複数回出題
出題実績過去 37 年で 31 回・25 年分・最新 2024 年
重要度A:最重要。民法分野の基礎であり、実務にも直結するため確実に得点すべきです。
解き方のコツ民法条文の正確な理解と、借地借家法との関係を整理しておくことが得点の鍵です。登記と引渡しの効果を対比して覚えましょう。
よく問われるパターン
  • 対抗要件の有無を問う問題:登記と引渡しの効果を比較して正誤判定させる
  • 転貸の可否と効果を問う問題:承諾の有無による法的効果の違いを問う
  • 契約の解除・解約を問う問題:催告の要否や期間の定めの有無による違いを問う
  • 賃料増減請求権を問う問題:賃料改定の手続や効果を問う
理解度チェック

この論点を、確かめる

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Q1【2024年 問7】Aを貸主、Bを借主として甲建物の賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)が締結され、Bが甲建物の引渡しを受けた場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
解答: 正解:1 CがBに対し甲建物をAから買受けたとの虚偽の話をしたので、これを信じたBが甲建物の占有を任意にCに移転した場合、AはCに対して、占有回収の訴えにより甲建物の返還を請求することはできない。 【解説】解説 したがって正しい記述は[1]です。
Q2【2021年 問109】AがBに対してA所有の甲建物を①売却した場合と②賃貸した場合についての次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
解答: 正解:3 甲建物をDが不法占拠している場合、①ではBは甲建物の所有権移転登記を備えていなければ所有権をDに対抗できず、②ではBは甲建物につき賃借権の登記を備えていれば賃借権をDに対抗することができる。 【解説】解説 したがって誤っている記述は[3]です。
よくある質問

賃貸借契約について

宅建の「賃貸借契約」とは何ですか?
賃貸借契約は、当事者の一方がある物を使用収益させることを約束し、相手方がこれに対して賃料を支払うことを約束することによって成立する諾成契約です(民法601条)。賃貸人は目的物を使用収益させる義務を負い、賃借人は賃料支払義務を負います。不動産賃貸借では、登記がない場合でも引渡しを受けていれば第三者に対抗できる場合があります。
「賃貸借契約」は宅建でよく出ますか?
本試験では過去 37 年間で 31 回、25 年分で出題されています。出題傾向は「毎年複数回出題」です。
賃貸借契約は書面を作成しなければ成立しない。
×。賃貸借は諾成契約であり、当事者の合意のみで成立します。書面は不要です。
建物の賃借人は、建物の引渡しを受けていれば、登記なくして第三者に対抗できる。
○。民法605条により、建物の賃借人は引渡しを受けていれば登記なくして第三者に対抗できます。
賃借人は賃貸人の承諾がなくても賃借物を転貸することができる。
×。民法612条1項により、賃借人は賃貸人の承諾なく賃借物を転貸することはできません。
「賃貸借契約」の覚え方は?
「賃貸借は有償で諾成、使用貸借は無償で片務」→有償・無償で区別 ・「建物は引渡し、土地は登記」→対抗要件の違いを覚える語呂 ・「転貸は承諾、無断は解除」→転貸のルールを短縮
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