宅建コーチ
権利関係ほぼ毎年過去 37 年で 19 回出題

不法行為

不法行為法の核心は、契約関係にない第三者間での損害の公正な分配にあります。民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者」に損害賠償責任を課します。ここで「法律上保護される利益」は判例により拡張され、パプライバシー利益等も含まれます。被害者保護と行為者の活動の自由との調整が制度の趣旨です。

民法709条(一般不法行為の成立要件)民法710条(財産以外の損害の賠償)民法711条(死者の親族等の慰謝料)

重要度: 重要

要点
不法行為法の核心は、契約関係にない第三者間での損害の公正な分配にあります。民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者」に損害賠償責任を課します。ここで「法律上保護される利益」は判例により拡張され、パプライバシー利益等も含まれます。被害者保護と行為者の活動の自由との調整が制度の趣旨です。
体系における位置づけ
不法行為は民法第3編第5章に規定される侵权行為法の中核分野です。故意または過失により他人の権利・利益を侵害した者が損害賠償責任を負う制度で、契約関係がない当事者間の損害填补を目的とします。一般不法行為(709条)と特殊不法行為(710条以下)から構成され、宅建試験では使用者責任、工作物責任、共同不法行為等が頻出します。
ルールの詳細
一般不法行為の成立要件は、①故意又は過失、②違法性、③損害の発生、④因果関係の4要素です。これらが全て満たされた場合に賠償責任が生じます。 ・責任能力は意思能力と同程度とされ、未成年者は12歳頃、心神喪失者は責任を負わないが、714条により監督義務者が責任を負う可能性がある。 ・使用者責任(715条)は、事業の執行について生じた損害について使用者が負う無過失責任に近い責任で、被用者の故意過失が必要。 ・工作物責任(717条)は、土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることにより損害が生じた場合、占有者と所有者が負う責任。占有者は無過失責任、所有者は過失責任。 ・共同不法行為(719条)は、数人が各自の不法行為により同一の損害を加えた場合、各自が連帯して損害賠償責任を負う。共同の意思は不要。 ・損害賠償の範囲は、通常生ずべき損害と特別事情による損害(予見可能な場合)を含む。財産的損害と精神的損害の両方が賠償対象。 ・過失相殺(722条2項)により、被害者に過失があった場合、裁判所は賠償額を定めるについて斟酌できる。
例外
正当防衛・緊急避難(720条)の場合、損害賠償責任を負わない。ただし、避難行為が過剰な場合は責任が生じる可能性がある。 ・監督義務者責任(714条)は、監督義務者がその義務を怠らなかったことを立証すれば免責される(過失の推定)。 ・使用者責任(715条)で、使用者が被用者の選任及び監督について相当の注意をしたことを立証すれば免責される可能性がある。
比較・対照
不法行為は契約関係の有無、過失の要否、責任の形態で区別する。使用者責任と監督者責任は類似するが適用場面が異なる。工作物責任は無過失責任に近い性質を持つ点が特徴。
記憶テクニック
「不法行為の4要件」→「そ(損害)こ(故意過失)い(違法性)ん(因果関係)」で覚える。「そこいん」と連想。 ・「使用者責任の免責」→「せ(選任)ん(監督)注意」で「選任監督に注意」。「せん注意」と覚える。 ・「工作物責任」→「占有者は無過失、所有者は過失あり」→「占無・所有過」と覚える。
事例で確認

不法行為」はこう問われる

A社の従業員Bが、業務中に配送トラックを運転していて、信号無視のC車と衝突し、Cが重傷を負った。Bには過失がなく、Cの一方的過失であった。A社はCに対して損害賠償責任を負うか。 A社の使用者責任は認められるか。
結論:A社に使用者責任は生じない。
民法715条の使用者責任は、被用者に故意過失があることが要件。本件ではBに過失がないため、Bの不法行為が成立しない。したがって、A社の使用者責任も成立しない。Cの過失によりC自身が損害を負う結果となる。
押さえる:使用者責任には被用者の故意過失が必須要件。被用者に過失がなければ使用者責任も成立しない。
Xの所有するビルの外壁タイルが落下し、通行人Yが負傷した。Xは定期的に点検を行っていたが、タイルの劣化は内部から進行しており、外観からは判明しなかった。 XはYに対して損害賠償責任を負うか。
結論:Xは占有者として無過失責任を負う。
民法717条の工作物責任では、占有者は無過失責任を負う。Xが点検を行っていたとしても、瑕疵(設置保存の不完全)があれば責任を免れない。ただし、所有者としての責任は過失責任なので、Xに過失がなければ所有者としての責任は免れる可能性がある。
押さえる:工作物責任の占有者責任は無過失責任。点検実施だけでは免責されない。
試験での狙われ方

出題傾向と対策

出題頻度ほぼ毎年
出題実績過去 37 年で 19 回・18 年分・最新 2020 年
重要度A:最重要。条文の要件と判例の知識が問われ、実務でも頻出。
解き方のコツ各特殊不法行為の責任主体、免責事由、過失の要否を表にまとめて暗記。判例の重要な結論(監督者責任の免責、使用者責任の事業執行性など)を押さえる。
よく問われるパターン
  • 使用者責任の成立要件と免責事由を問う問題。被用者の故意過失と事業執行性の判断が焦点。
  • 工作物責任の占有者と所有者の責任の違いを問う問題。無過失責任と過失責任の区別。
  • 共同不法行為の連帯責任の範囲を問う問題。関与程度と責任の関係。
  • 監督者責任の免責立証を問う問題。監督義務を尽くしたことの立証。
  • 不法行為の成立要件を事例で判断させる問題。故意過失、違法性、因果関係の有無。
関連過去問

この論点が問われた本試験

本試験 37 年分から、「不法行為」に関連する過去問をピックアップしました。

理解度チェック

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Q1【2020年 問101】不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
解答: 正解:3 責任能力がない認知症患者が線路内に立ち入り、列車に衝突して旅客鉄道事業者に損害を与えた場合、当該責任無能力者と同居する配偶者は、法定の監督義務者として損害賠償責任を負う。 【解説】解説 したがって誤っている記述は[3]です。
Q2【2019年 問4】不法行為に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
解答: 正解:4 名誉を違法に侵害された者は、損害賠償又は名誉回復のための処分を求めることができるほか、人格権としての名誉権に基づき、加害者に対し侵害行為の差止めを求めることができる。 【解説】解説 したがって正しい記述は[4]です。
よくある質問

不法行為について

宅建の「不法行為」とは何ですか?
不法行為法の核心は、契約関係にない第三者間での損害の公正な分配にあります。民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者」に損害賠償責任を課します。ここで「法律上保護される利益」は判例により拡張され、パプライバシー利益等も含まれます。被害者保護と行為者の活動の自由との調整が制度の趣旨です。
「不法行為」は宅建でよく出ますか?
本試験では過去 37 年間で 19 回、18 年分で出題されています。出題傾向は「ほぼ毎年」です。
不法行為が成立するには、加害者に故意または過失が必要である。
○正解。民法709条は「故意又は過失によって」と規定しており、故意または過失は不法行為の成立要件である。
工作物責任において、占有者は過失がないことを立証すれば責任を免れる。
×誤り。民法717条により、占有者は無過失責任を負う。過失がなくても瑕疵があれば責任を負う。所有者のみ過失責任。
使用者責任において、使用者が被用者の選任監督について相当の注意をしたことを立証すれば、必ず免責される。
×誤り。民法715条1項ただし書は免責の可能性を規定するが、判例は免責を厳しく解しており、実質的に免責されることは稀である。
「不法行為」の覚え方は?
「不法行為の4要件」→「そ(損害)こ(故意過失)い(違法性)ん(因果関係)」で覚える。「そこいん」と連想。 ・「使用者責任の免責」→「せ(選任)ん(監督)注意」で「選任監督に注意」。「せん注意」と覚える。 ・「工作物責任」→「占有者は無過失、所有者は過失あり」→「占無・所有過」と覚える。
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