宅建コーチ
権利関係2〜3 年に 1 回過去 37 年で 9 回出題

意思表示

意思表示の瑕疵に関する制度は、表意者の保護と取引安全の調整を図るものです。心裡留保は原則として有効ですが、相手方が悪意の場合は無効となります。虚偽表示は無効ですが、善意の第三者には対抗できません。錯誤は要素の錯誤に限り取消しが認められます。これらの規定は、私的自治の原則と取引安全の要請を調整する重要な役割を果たしています。

民法93条(心裡留保に関する規定)民法94条(虚偽表示に関する規定)民法94条2項(虚偽表示の第三者保護)

重要度: 重要

要点
1.意思表示に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはいくつあるか。令和7年試験 問32.法律行為に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。令和6年試験 問13.AとBとの間で令和7年7月1日に締結された売買契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、売買契約締結後、AがBに対し、錯誤による取消しができるものはどれか。令和2年10月試験 問64.AがBに甲土地を売却し、Bが所有権移転登記を備えた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。令和元年試験 問25.AがBに甲土地を売却した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。平成30年試験 問16.Aは、その所有する甲土地を譲渡する意思がないのに、Bと通謀して、Aを売主、Bを買主とする甲土地の仮装の売買契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。平成27年試験 問27.民法94条第2項は、相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効は「善意の第三者に対抗することはできない
体系における位置づけ
民法「権利関係」分野は、宅建試験の柱の一つであり、法律行為、物権、債権、相続など幅広い分野を含みます。意思表示は法律行為の核心をなし、心裡留保、虚偽表示、錯誤、詐欺・強迫などの瑕疵ある意思表示に関する規定は、取引安全と私的自治の調整点として極めて重要です。
ルールの詳細
心裡留保:真意でない意思表示でも原則として有効。ただし相手方が悪意または過失ある場合は無効となる。 ・虚偽表示:相手方と通謀した虚偽の意思表示は無効。ただし善意の第三者には対抗できない。 ・錯誤:法律行為の要素に錯誤があるときは、意思表示を取り消すことができる。表意者に重過失がある場合は取消し不可。 ・第三者保護:虚偽表示の無効は善意無過失の第三者には対抗できない。登記の有無は問わない。 ・取消権の期間:取消権は追認できる時から5年、行為の時から20年で時効消滅する。
例外
心裡留保の例外:相手方が悪意の場合は無効となるが、過失については条文上の規定がなく解釈が分かれる。 ・虚偽表示の例外:第三者が悪意または過失ある場合は保護されない。登記がない場合でも善意第三者は保護される。 ・錯誤の例外:表意者に重過失がある場合は取消しが認められない。動機の錯誤は原則として要素の錯誤とならない。
比較・対照
心裡留保と虚偽表示は相手方の関与の有無で区別します。虚偽表示と錯誤は故意か過失かで異なります。第三者保護の要件は制度により異なるため、各条文の要件を正確に理解することが重要です。
記憶テクニック
「心裡留保は単独で有効、相手悪意なら無効」 ・「虚偽表示は通謀で無効、善意第三者には対抗不可」 ・「錯誤は要素で取消し可能、重過失あれば取消し不可」
事例で確認

意思表示」はこう問われる

Aは所有する甲土地をBに売却する意思がないのに、Bと通謀して仮装の売買契約を締結し、B名義の所有権移転登記を完了した。その後、BはCに対し甲土地を売却し、C名義に移転登記をした。CはAB間の仮装売買の事実を知らなかった。 CはAに対して甲土地の所有権を対抗できるか。
結論:CはAに対して甲土地の所有権を対抗できる。
民法94条2項により、虚偽表示の無効は善意の第三者に対抗できない。CはAB間の仮装売買について善意であり、登記も備えているため、AはCに対して虚偽表示の無効を対抗できない。Cは甲土地の所有権を取得する。
押さえる:虚偽表示の第三者保護には登記は不要であり、善意無過失であれば保護される点が重要です。
AはB所有の甲土地を購入するにあたり、面積を100坪と信じて契約を締結したが、実際は80坪であった。Aには過失がなく、この面積の相違がなければ契約をしなかったであろうことは明らかである。 Aは本件売買契約を取り消すことができるか。
結論:Aは錯誤を理由に本件売買契約を取り消すことができる。
民法95条により、法律行為の要素に錯誤があるときは意思表示を取り消すことができる。面積は売買契約の重要な要素であり、Aに過失がなく、錯誤がなければ契約しなかったであろうことは明らかであるため、要素の錯誤として取消しが認められる。
押さえる:錯誤による取消しには要素の錯誤であることと、表意者に重過失がないことが必要です。
試験での狙われ方

出題傾向と対策

出題頻度2〜3 年に 1 回
出題実績過去 37 年で 9 回・9 年分・最新 2025 年
重要度A:最重要。意思表示の瑕疵は必須知識であり、必ず得点できるようにすべき。
解き方のコツ各条文の要件と効果を正確に暗記し、特に第三者保護の要件(善意・無過失・登記の要否)を整理しておくことが得点の鍵です。
よく問われるパターン
  • 虚偽表示と第三者保護の関係を問う問題。善意第三者の要件が焦点となる。
  • 錯誤の要件として要素の錯誤と重過失の有無を問う問題。
  • 心裡留保と虚偽表示の違いを問う問題。相手方の関与の有無がポイント。
  • 無効と取消しの効果の違いを問う問題。期間制限と主張できる者の範囲に注意。
関連過去問

この論点が問われた本試験

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理解度チェック

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Q1No.1
解答: 正解: 3。Bの取得時効完成後、Bへの所有権移転登記がなされないままEがAを債務者として甲土地にAから抵当権の設定を受けて抵当権設定登記をした場合において、Bがその後引き続き所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効
よくある質問

意思表示について

宅建の「意思表示」とは何ですか?
意思表示の瑕疵に関する制度は、表意者の保護と取引安全の調整を図るものです。心裡留保は原則として有効ですが、相手方が悪意の場合は無効となります。虚偽表示は無効ですが、善意の第三者には対抗できません。錯誤は要素の錯誤に限り取消しが認められます。これらの規定は、私的自治の原則と取引安全の要請を調整する重要な役割を果たしています。
「意思表示」は宅建でよく出ますか?
本試験では過去 37 年間で 9 回、9 年分で出題されています。出題傾向は「2〜3 年に 1 回」です。
心裡留保による意思表示は、相手方が悪意の場合であっても有効となる。
誤り。民法93条但書により、相手方が真意でないことを知っていたときは、心裡留保による意思表示は無効となる。
虚偽表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
正しい。民法94条2項により、相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
錯誤による取消しは、表意者に重過失がある場合でも認められる。
誤り。民法95条により、表意者に重過失があったときは、錯誤による取消しをすることができない。
「意思表示」の覚え方は?
「心裡留保は単独で有効、相手悪意なら無効」 ・「虚偽表示は通謀で無効、善意第三者には対抗不可」 ・「錯誤は要素で取消し可能、重過失あれば取消し不可」
2026年の本試験は 10月18日(日)
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