平成2年(1990)本試験
問9借地借家法が適用される通常の建物賃貸借(正当事由必要・6ヶ月予告)と、適用除外となる一時使用賃貸借(正当事由不要・3ヶ月予告)の区別。
賃貸借契約過去問
この問題の全体像
明らかな一時使用目的の建物賃貸借は借地借家法の適用除外となり、民法の規定が適用される。期間満了後の黙示の更新後は期間の定めのない賃貸借となり、解約申入れにより3ヶ月経過で終了する点が問われている。
Aは、その所有する建物を明らかな一時使用(期間2年)のためBに賃貸したが、Bは期間満了後も居住を続け、Aもその事実を知りながら異議を述べなかった。この場合、民法及び借地借家法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。
- 1Aは、期間満了を理由に、Bに対し、直ちに明渡請求をすることができる。
- 2Aは、正当事由のある場合に限り解約し、Bに対し、直ちに明渡請求をすることができる。
- 3Aは、正当事由のない場合でも解約の申入れをし、Bに対し、その3ヵ月後に明渡請求をすることができる。
- 4Aは、正当事由のある場合に限り解約の申入れをし、Bに対し、その6ヵ月後に明渡請求をすることができる。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
借地借家法が適用される通常の建物賃貸借(正当事由必要・6ヶ月予告)と、適用除外となる一時使用賃貸借(正当事由不要・3ヶ月予告)の区別。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
明らかな一時使用目的の建物賃貸借は借地借家法の適用除外となり、民法の規定が適用される。期間満了後の黙示の更新後は期間の定めのない賃貸…
03
知識背景
この問題は、建物賃貸借における「一時使用」の特殊性と、契約終了後の法律関係を扱っています。通常の居住用建物賃貸借は借地借家法による強…
04
覚え方
一時使用は民法(ミンポウ)のみ、正当事由(セイドウジユウ)はいらない、3ヶ月(サンカゲツ)で終わり。
05
試験のコツ
一時使用の定義と借地借家法の適用除外
・期間満了後の黙示の更新と解約申入れ
・正当事由の要否の判断
06
実務での見え方
企業が従業員のために2年間の契約で社宅を借り、期間満了後も従業員が住み続けたが、企業がそれを知っていた。企業が従業員に退去を求める場…
07
よくある間違い
{"mistake":"建物の賃貸借であれば常に正当事由が必要だと考えてしまう。","why_wrong":"借地借家法の強い保護規…
02深度分析
要約
明らかな一時使用目的の建物賃貸借は借地借家法の適用除外となり、民法の規定が適用される。期間満了後の黙示の更新後は期間の定めのない賃貸借となり、解約申入れにより3ヶ月経過で終了する点が問われている。
法的根拠
民法617条1項民法619条1項借地借家法29条借地借家法28条
論理の流れ
まず、本件建物が「明らかな一時使用」であるかを確認します。一時使用であるため借地借家法の適用は除外され(借地借家法29条)、民法が適用されます。次に、期間満了後Bが居住し続けAが異議を述べなかったため、賃貸借は期間の定めのないものとして更新されたとみなされます(民法619条)。最後に、期間の定めがない建物賃貸借の解約申入れは、相手方において3ヶ月以上の期間を経過しなければ効力を生じないため(民法617条)、正当事由は不要で3ヶ月後の明渡請求が可能となります。
重要な区別
借地借家法が適用される通常の建物賃貸借(正当事由必要・6ヶ月予告)と、適用除外となる一時使用賃貸借(正当事由不要・3ヶ月予告)の区別。
各選択肢のポイント
- 期間満了後も居住し異議がないため、賃貸借は更新され、直ちに明渡請求はできない。
- 一時使用賃貸借には借地借家法の正当事由規定は適用されないため、正当事由は不要である。
- 民法が適用され、解約申入れにより3ヶ月経過すれば契約は終了するため、正当事由がなくても明渡請求ができる。
- 正当事由は不要であり、建物の解約申入れの予告期間は民法により3ヶ月と定められている。
03知識背景
テーマ概要
この問題は、建物賃貸借における「一時使用」の特殊性と、契約終了後の法律関係を扱っています。通常の居住用建物賃貸借は借地借家法による強い保護を受けますが、一時使用はその保護対象から外れ、民法の一般原則に戻るため、賃貸人にとって有利な取り扱いになります。
歴史的背景
借地借家法は、賃借人の保護を強化する一方で、一時使用のような短期間の利用まで保護するのは不合理であるとして、旧法時代から一時使用を適用除外としてきました。1991年の改正(現行法)でもこの趣旨は継承されています。
関連法令
民法617条民法618条借地借家法26条借地借家法27条借地借家法29条
体系的位置づけ
宅建試験の「権利関係」分野、特に借地借家法における「借家」の範囲と効力に関する重要論点です。
前提知識
借地借家法が適用される「建物の賃貸借」と適用除外となる「一時使用」の定義、および民法における期間の定めのない賃貸借の解約申入れに関する知識が必要です。
04記憶テクニック
語呂合わせ
一時使用は民法(ミンポウ)のみ、正当事由(セイドウジユウ)はいらない、3ヶ月(サンカゲツ)で終わり。
ビジュアル描写
「一時使用」の看板がついた小屋をイメージ。そこには借地借家法の盾(保護)はなく、民法のシンプルなルール(3ヶ月の砂時計)だけが存在する。
重要公式
一時使用 = 借地借家法不適用 = 民法617条(3ヶ月予告)
関連連想
「一時」=「短期」=「簡単に終わらせられる」と連想させ、正当事由という重いハードルがないことを思い出す。
比較表
通常の建物賃貸借:借地借家法適用、解約に正当事由必要、予告期間6ヶ月。一時使用賃貸借:民法適用、正当事由不要、予告期間3ヶ月。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回
重要度
B:重要。正当事由の有無は頻出論点。
出題パターン
- 一時使用の定義と借地借家法の適用除外
- 期間満了後の黙示の更新と解約申入れ
- 正当事由の要否の判断
解法・消去法
選択肢に「正当事由」という言葉があれば、一時使用の問題である限り、その選択肢は誤りである可能性が高いと判断して消去する。
時間戦略
「一時使用」というキーワードを見つけたら、即座に借地借家法の保護(正当事由など)が適用されないと判断し、選択肢を絞り込む。
06実務応用
実務シナリオ
企業が従業員のために2年間の契約で社宅を借り、期間満了後も従業員が住み続けたが、企業がそれを知っていた。企業が従業員に退去を求める場合、正当事由がなくても3ヶ月の通知で退去を求められる。
実務への影響
一時使用と認められれば、オーナーは比較的容易に物件を明け渡させることができるため、不動産管理において契約書の目的条項の記載が極めて重要になる。
ケーススタディ
工事期間中の仮設事務所や、留学生向けの短期滞在用アパートなどが典型例。契約書に「一時使用のため」と明記されていても、実態が長期居住であれば通常の賃貸借とみなされるリスクがある。
業界関連性
賃貸管理において、入居者の属性や利用目的を正確に契約書に反映させ、トラブルを防ぐために不可欠な知識。
ニュース連動
空き家対策や民泊(Minpaku)の増加に伴い、一時使用と定期借家の違いや、居住者の保護レベルに関する議論と関連が深い。
07よくある間違い
建物の賃貸借であれば常に正当事由が必要だと考えてしまう。
なぜ間違えるか:借地借家法の強い保護規定をすべての建物賃貸借に当てはめてしまう一般化の誤り。
正しい理解:問題文に「一時使用」という言葉がないか、必ず最初にチェックする癖をつける。
解約申入れの予告期間を6ヶ月だと答えてしまう。
なぜ間違えるか:通常の建物賃貸借(借地借家法27条)の6ヶ月を暗記してしまい、民法の規定(3ヶ月)を忘れている。
正しい理解:「通常は6ヶ月、一時使用は3ヶ月」とセットで覚える。
期間満了後の黙示の更新を認めず、契約が終了していると判断する。
なぜ間違えるか:賃貸人が異議を述べなかった事実を見落とし、民法619条の更新の規定を適用していない。
正しい理解:「異議を述べなかった」という記述があれば、即座に「契約更新」のフラグを立てる。
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