平成3年(1991)本試験

10通常の贈与(書面によるものは撤回不可)と死因贈与(遺言と同様、いつでも撤回可)の「撤回の可否」に関する根本的な違い。

贈与過去問

この問題の全体像

この問題は、贈与契約における「書面なしなら撤回可能」「履行があれば撤回不可」「担保責任は原則なし」「死因贈与は遺言で撤回可能」という4つの論点を問うものです。特に死因贈与の性質が正誤判断の鍵となります。

平成3年10
AのBに対する土地の贈与(何らの負担もないものとする。)に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  • 1その贈与が書面によらないものであっても、Bにその土地の所有権移転登記がなされたときは、Aは、その贈与を撤回することができない。
  • 2その贈与が書面によるか否かを問わず、その土地に欠陥があっても、その欠陥が贈与契約締結以前から存在するものであったときは、Aは、Bに対してその欠陥を担保する責任を負わない。
  • 3その贈与が書面による死因贈与であっても、Aは、後にその土地を第三者に遺贈することができる。
  • 4その贈与が書面による死因贈与であったときは、Aは、後に遺言によりその贈与を撤回することができない。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
通常の贈与(書面によるものは撤回不可)と死因贈与(遺言と同様、いつでも撤回可)の「撤回の可否」に関する根本的な違い。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
この問題は、贈与契約における「書面なしなら撤回可能」「履行があれば撤回不可」「担保責任は原則なし」「死因贈与は遺言で撤回可能」という…
03
知識背景
贈与は当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える契約です。無償契約であるため、受贈者の保護よりも贈与者の意思の尊重(撤回の自由)や…
04
覚え方
死因贈与は「死んだら遺言と同じ」、だからいつでも「書き換え(撤回)」可能。
05
試験のコツ
書面の有無と撤回権の関係 ・担保責任の有無と例外(知っていて告げなかった場合) ・死因贈与と遺贈の違いや撤回の可否
06
実務での見え方
父が子供Aに「死んだらこの土地をやる」と約束(死因贈与)したが、認知症が進んだ後、介護してくれた子供Bに全財産を遺す遺言を書いた場合…
07
よくある間違い
{"mistake":"死因贈与でも書面があれば撤回できないと誤解する。","why_wrong":"通常の贈与(書面)のルールと混…
02深度分析
要約
この問題は、贈与契約における「書面なしなら撤回可能」「履行があれば撤回不可」「担保責任は原則なし」「死因贈与は遺言で撤回可能」という4つの論点を問うものです。特に死因贈与の性質が正誤判断の鍵となります。
法的根拠
民法550条(書面によらない贈与の撤回)民法551条(贈与者の担保責任)民法554条(死因贈与)
論理の流れ
選択肢1は、書面がない贈与でも履行(登記)があれば撤回できないため正しい。選択肢2は、贈与者は原則として担保責任を負わないため正しい。選択肢3は、死因贈与は遺言の方式に従い、後の遺言で第三者に遺贈すること(撤回)が可能なので正しい。選択肢4は、死因贈与は遺言によって撤回できるとする民法554条に反するため誤りである。
重要な区別
通常の贈与(書面によるものは撤回不可)と死因贈与(遺言と同様、いつでも撤回可)の「撤回の可否」に関する根本的な違い。
各選択肢のポイント
  • 民法550条により、書面によらない贈与でも、履行が終わった部分は撤回できない。
  • 民法551条により、贈与者は原則として担保責任を負わない。
  • 民法554条により、死因贈与は遺言の規定に従うため、遺言で撤回できる。
  • 民法554条により、死因贈与は遺言によっていつでも撤回することができる。
03知識背景
テーマ概要
贈与は当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える契約です。無償契約であるため、受贈者の保護よりも贈与者の意思の尊重(撤回の自由)や責任の軽減(担保責任の免除)が原則として認められています。ただし、死因贈与については遺言の性質を帯びるため特別なルールが適用されます。
歴史的背景
民法制定時より、無償契約における当事者間の衡平を図るため、贈与者に比較的緩い形式(書面不要)と強い撤回権が認められてきました。死因贈与については、遺言自由の原則との整合性を保つため、遺言の規定が準用されています。
関連法令
民法549条(贈与)民法550条民法551条民法554条
体系的位置づけ
民法「契約」分野における典型契約の一つ。特に無償契約特有のルールを理解するための重要な項目であり、相続法との接点も持つ。
前提知識
契約の成立と効力、所有権移転登記の法的意味(履行)、解除と撤回の違い、遺言の効力(遺言はいつでも取り消せる)についての基礎知識が必要です。
04記憶テクニック
語呂合わせ
死因贈与は「死んだら遺言と同じ」、だからいつでも「書き換え(撤回)」可能。
ビジュアル描写
死因贈与を「遺言書の下書き」とイメージする。本番の遺言書(後の遺言)があれば、下書き(死因贈与)は上書きされて無効になると想像する。
重要公式
死因贈与 = 遺言の規定の適用 = いつでも撤回可能
関連連想
「死因(死ぬ原因)」という言葉がついたら、死ぬ時のルール(遺言)が適用されると連想する。
比較表
通常贈与:書面あり=撤回不可、書面なし=履行前まで撤回可。死因贈与:遺言と同じ=いつでも撤回可。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回程度。贈与全体の論点として出題されるが、死因贈与はややマニアック。
重要度
B(重要)。基本論点の押さえとして重要だが、死因贈与は引っかけポイントとして出やすい。
出題パターン
  • 書面の有無と撤回権の関係
  • 担保責任の有無と例外(知っていて告げなかった場合)
  • 死因贈与と遺贈の違いや撤回の可否
解法・消去法
「~することができない」という絶対的な否定表現は、例外(撤回可能など)がないか疑ってかかる。
時間戦略
「死因贈与」というキーワードを見たら、即座に「遺言の規定が適用される」と思い出し、他の選択肢より優先的に確認して時間を節約する。
06実務応用
実務シナリオ
父が子供Aに「死んだらこの土地をやる」と約束(死因贈与)したが、認知症が進んだ後、介護してくれた子供Bに全財産を遺す遺言を書いた場合、土地は誰のものになるか。
実務への影響
生前の口約束(死因贈与)よりも、最終的な遺言の内容が優先されるため、家族間のトラブル防止には遺言の更新が極めて重要。
ケーススタディ
父が長男に土地を死因贈与する契約を交わした後、遺言で次男にその土地を遺贈した。裁判所は、死因贈与は遺言によって撤回できるとして、次男の取得を認めた。
業界関連性
不動産相続コンサルティングにおいて、生前贈与と遺言のどちらを優先すべきか、あるいは両方を整合させるかアドバイスする際に必須の知識。
ニュース連動
相続税対策としての生前贈与の流行と、その後の遺言による変更をめぐる裁判事例がニュースになることがある。
07よくある間違い
死因贈与でも書面があれば撤回できないと誤解する。
なぜ間違えるか:通常の贈与(書面)のルールと混同しており、死因贈与の特則(遺言規定の準用)を理解していないため。
贈与者は常に担保責任を負わないと過信する。
なぜ間違えるか:「知っていて告げなかった場合」の例外を忘れており、絶対的に責任がないと思い込んでいるため。
解説は、まだ続きます
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