平成3年(1991)本試験
問11単一正解として採点しない特殊問題です。
売主の担保責任過去問
この問題の全体像
この問題は、売買の目的物に権利の瑕疵(他人の物)がある場合において、買主が善意・悪意に関わらず契約を解除できる要件を問うものです。「全部他人物」と「一部他人物」、および「権利の瑕疵」と「物的瑕疵」の違いを正確に区別できるかが鍵となります。
AがBからBの所有地を買い受ける契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、Aがその善意悪意に関係なく契約を解除することができるものは、どれか。
- 1その土地の一部が他人のものであって、BがAに権利を移転することができないとき。
- 2その土地の全部が他人のものであって、BがAに権利を移転することができないとき。
- 3その土地に物理的な欠陥があるとき。
- 4その売買が実測面積を表示し、単価を乗じて価格が定められている場合において、その面積が著しく不足していたとき。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
単一正解として採点しない特殊問題です。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
この問題は、売買の目的物に権利の瑕疵(他人の物)がある場合において、買主が善意・悪意に関わらず契約を解除できる要件を問うものです。「…
03
知識背景
民法における売主の担保責任、特に「権利の瑕疵」に関する規定です。売買の目的物が他人の権利の目的である場合(他人物売買)や、数量が不足…
04
覚え方
「全部ダメなら即解除、一部ダメなら残り次第、欠陥不足は善意のみ」
05
試験のコツ
「善意悪意」の組み合わせでの可否判定
・「一部他人物」での残存部分の有用性
・「数量不足」の適用有無
06
実務での見え方
土地購入後、境界確定測量の結果、隣地の境界線が越えており、購入した土地の一部が実は隣人の所有物だった場合、売主に対して契約解除や代金…
07
よくある間違い
{"mistake":"物的瑕疵(欠陥)でも悪意の買主が解除できると勘違いする。","why_wrong":"「瑕疵担保責任」は無過…
02深度分析
要約
この問題は、売買の目的物に権利の瑕疵(他人の物)がある場合において、買主が善意・悪意に関わらず契約を解除できる要件を問うものです。「全部他人物」と「一部他人物」、および「権利の瑕疵」と「物的瑕疵」の違いを正確に区別できるかが鍵となります。
法的根拠
民法563条1項(全部他人物売買)民法563条2項(一部他人物売買)民法570条(物の瑕疵担保責任)民法563条の2(数量不足)
論理の流れ
まず、「善意悪意に関係なく解除できる」という条件に注目します。選択肢3(物理的欠陥)と4(面積不足)は物的瑕疵に関するものであり、これらによる解除には買主が善意であることが必要となるため、この条件に合致しません。次に、権利の瑕疵である選択肢1(一部他人物)と2(全部他人物)を比較します。一部他人物の場合、残存部分で契約目的を達成できるときは、悪意の買主は解除できません。一方、全部他人物の場合は、民法563条1項により、買主が善意であっても悪意であっても契約を解除することができます。したがって、正解は選択肢2です。
重要な区別
「全部他人物」では買主の善意悪意を問わず解除可能であるのに対し、「物的瑕疵」や「一部他他人物(残存部分有用)」では買主の善意が必要となる点。
各選択肢のポイント
- 一部が他人の物の場合、残存部分で契約目的を達成できるときは、悪意の買主は解除できない。
- 全部が他人の物の場合、民法563条1項により、買主の善意悪意を問わず契約を解除できる。
- 物理的欠陥(物的瑕疵)がある場合、買主が善意でなければ解除することができない。
- 面積が不足している場合も物的瑕疵と同様に、買主が善意でなければ解除することができない。
03知識背景
テーマ概要
民法における売主の担保責任、特に「権利の瑕疵」に関する規定です。売買の目的物が他人の権利の目的である場合(他人物売買)や、数量が不足している場合などに、買主が契約を解除したり損害賠償を請求したりできる要件を定めています。
歴史的背景
旧民法下での「瑕疵担保責任」の典型論点です。現在は民法改正(2020年施行)により「契約不適合責任」として再編されていますが、他人物売買に関する解除の可否については、実質的に同様の考え方が維持されています。
関連法令
民法563条(権利の瑕疵による解除等)民法566条(他人物売買の売主の担保責任)民法570条(他人物売買以外の場合への準用)
体系的位置づけ
民法「契約」分野の「売買」における「売主の担保責任」。宅建試験の民法科目において、最も頻出かつ重要な単元の一つです。
前提知識
「善意・悪意」の意味(事実を知っているか否か)、解除の基本的要件、他人物売買の定義、担保責任と債務不履行責任の違いについての理解が必要です。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「全部ダメなら即解除、一部ダメなら残り次第、欠陥不足は善意のみ」
ビジュアル描写
土地の半分が他人のもの(一部)と、全部が他人のもの(全部)の図をイメージ。全部他人なら買った意味がないので誰でも解除可能。一部ならまだ使えるかどうかが鍵。
重要公式
全部他人物 = 善意×悪意=解除OK。物的瑕疵 = 善意=解除OK、悪意=解除NG。
関連連想
「全部」は「全員(全ての心情)」が許す、「一部」は「一部(限られた状況)」のみ許すと連想する。
比較表
全部他人物(善意悪意問わず解除可)vs 一部他人物(残存部分が目的不達成なら解除可、達成なら悪意は不可)vs 物的瑕疵(善意のみ解除可)
05試験テクニック
出題頻度
高頻度(2-3年に1回は出る基本論点)
重要度
A:最重要。担保責任の基本中の基本だから。
出題パターン
- 「善意悪意」の組み合わせでの可否判定
- 「一部他人物」での残存部分の有用性
- 「数量不足」の適用有無
解法・消去法
「善意悪意に関係なく」という強い言葉がある場合、物的瑕疵(欠陥や数量不足)は原則として除外する(善意が必要なため)。
時間戦略
基本論点なので、知識があれば即答可能。迷ったら「全部他人物」が最も解除しやすいと覚えておく。
06実務応用
実務シナリオ
土地購入後、境界確定測量の結果、隣地の境界線が越えており、購入した土地の一部が実は隣人の所有物だった場合、売主に対して契約解除や代金減額を求める場面。
実務への影響
不動産取引において、登記簿上の面積と実測面積が異なることは珍しくない。この法律知識がないと、トラブル発生時に適切な対応(解除できるか、減額請求しかできないか)が判断できない。
ケーススタディ
購入した土地の半分が他人の所有であったケース。残りの半分だけで家は建てられるが、庭がなくなった。この場合、残存部分で契約目的(居住)は達成できるため、悪意の買主は解除できず、代金減額のみとなる。
業界関連性
重要度が高い。売買契約書の「権利の瑕疵担保」条項作成の基礎となる。
ニュース連動
近年の相続登記未了問題や境界トラブルに関連し、所有権の確認が不十分な売買のリスクとして話題になることがある。
07よくある間違い
物的瑕疵(欠陥)でも悪意の買主が解除できると勘違いする。
なぜ間違えるか:「瑕疵担保責任」は無過失責任だが、買主が瑕疵を知っていて契約した場合(悪意)、保護に値しないため解除権は発生しないルールを混同している。
正しい理解:「善意悪意に関係なく」というフレーズを見たら、まず「全部他人物」を疑い、次に「物的瑕疵は除外」と考えるクセをつける。
一部他人物でも常に解除できると考えてしまう。
なぜ間違えるか:残存部分だけで契約の目的を達成できる場合(例:広い土地の一部が他人のものでも、家は建てられる等)、悪意の買主は解除できないという例外を忘れているため。
正しい理解:「一部」の場合は「残り物」が使えるかどうかを常にチェックする思考法を身につける。
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