平成9年(1997)本試験
問4物上保証人が主債務の消滅時効を援用できるか否か、および時効中断の要件(差押えが必要か届出で十分か)の区別。
消滅時効過去問
この問題の全体像
消滅時効の起算点、中断事由、および物上保証人の権利に関する理解を問う問題。特に抵当権の従属性と時効援用権者の範囲が核心。
AがBに対して有する100万円の貸金債権の消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
- 1Aが弁済期を定めないで貸し付けた場合、Aの債権は、いつまでも時効によって消滅することはない。
- 2AB間に裁判上の和解が成立し、Bが1年後に100万円を支払うことになった場合、Aの債権の消滅時効期間は、和解成立の時から10年となる。
- 3Cが自己所有の不動産にAの債権の担保として抵当権を設定(物上保証)している場合、Cは、Aの債権の消滅時効を援用してAに抵当権の抹消を求めることができる。
- 4AがBの不動産に抵当権を有している場合に、Dがこの不動産に対して強制執行の手続を行ったときは、Aがその手続に債権の届出をしただけで、Aの債権の時効は更新される。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
物上保証人が主債務の消滅時効を援用できるか否か、および時効中断の要件(差押えが必要か届出で十分か)の区別。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
消滅時効の起算点、中断事由、および物上保証人の権利に関する理解を問う問題。特に抵当権の従属性と時効援用権者の範囲が核心。
03
知識背景
消滅時効は一定期間権利行使しない事実状態を尊重し、権利を消滅させる制度。起算点、中断事由、援用権者が重要。
04
覚え方
「物上保証人は主債務者と同じ立場で時効援用OK」
05
試験のコツ
時効中断の有無
・物上保証人の権利
・第三者による抵当権消滅請求
06
実務での見え方
他人の借金の担保に土地を提供した物上保証人が、長期間返済がない場合、時効を主張して担保を外す実務。
07
よくある間違い
{"mistake":"物上保証人は時効を援用できないと考える。","why_wrong":"保証人(人的)と混同し、物上保証人は独…
02深度分析
要約
消滅時効の起算点、中断事由、および物上保証人の権利に関する理解を問う問題。特に抵当権の従属性と時効援用権者の範囲が核心。
法的根拠
民法第166条(時効の起算)民法第147条(時効の中断事由)民法第145条(時効の援用)最高裁昭和43年9月26日判決(物上保証人の時効援用権)
論理の流れ
選択肢1は期限の定めがない場合でも権利行使可能時から時効進行するため誤り。選択肢2は和解により新たな債権が生じるが、起算点は弁済期であるため誤り。選択肢3は物上保証人が主債務の時効を援用できるという判例通りで正解。選択肢4は債権届出のみでは時効中断しないため誤り。
重要な区別
物上保証人が主債務の消滅時効を援用できるか否か、および時効中断の要件(差押えが必要か届出で十分か)の区別。
各選択肢のポイント
- 期限の定めがない場合、貸主はいつでも返還請求でき、その時から時効が進行する。
- 和解によって生じた債権の時効は、原則として履行期から進行する。
- 物上保証人は、主債務の消滅時効を援用して抵当権の消滅を主張できる。
- 執行手続における債権届出は、時効中断の効力を生じない。
03知識背景
テーマ概要
消滅時効は一定期間権利行使しない事実状態を尊重し、権利を消滅させる制度。起算点、中断事由、援用権者が重要。
歴史的背景
旧民法では債権は10年、2020年改正民法では原則5年(知った時から5年)に変更。本問は旧法下の出題。
関連法令
民法第166条民法第147条民法第398条(抵当権の性質)民法第145条
体系的位置づけ
民法総則(時効)および担保物権法の交錯点。宅建試験の民法分野で頻出の重要論点。
前提知識
時効の進行開始時期、時効中断事由(差押え等)、保証人と物上保証人の違い、抵当権の従属性。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「物上保証人は主債務者と同じ立場で時効援用OK」
ビジュアル描写
抵当権が主債務にくっついている従属性をイメージ。主債務が時効で消えれば、くっついている抵当権も消える。
重要公式
時効中断=差押え・仮差押え・承認。援用権者=債務者・保証人・物上保証人。
関連連想
「物上保証人」=「自分の土地を他人の借金の担保に出した人」=「借金が消えれば土地を守れる」。
比較表
時効中断事由:差押え(OK)、仮差押え(OK)、承認(OK)。債権届出(NG)。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回。時効と担保物権の組合せは頻出。
重要度
A:最重要。抵当権の従属性と時効の結合は宅建の頻出論点。
出題パターン
- 時効中断の有無
- 物上保証人の権利
- 第三者による抵当権消滅請求
解法・消去法
「いつまでも消滅しない」「届出だけで中断」など極端な表現は×と判断。
時間戦略
判例知識が鍵となるため、知っていれば即答可能。迷ったら消去法で。
06実務応用
実務シナリオ
他人の借金の担保に土地を提供した物上保証人が、長期間返済がない場合、時効を主張して担保を外す実務。
実務への影響
担保不動産の所有者が、長期間放置された債務から自らを守るための重要な法的手段。
ケーススタディ
債権者が放置した債権について、物上保証人が抵当権抹消登記を求める訴訟で時効援用が認められた事例。
業界関連性
不動産取引における担保権の抹消手続きや残存担保権の調査で必須の知識。
ニュース連動
バブル崩壊後の不良債権処理において、放置された担保権の消滅時効が問題となった。
07よくある間違い
物上保証人は時効を援用できないと考える。
なぜ間違えるか:保証人(人的)と混同し、物上保証人は独立した立場と誤解しているため。
正しい理解:「物上保証人=抵当不動産の所有者」として、自分の財産を守る権利があると覚える。
執行手続の届出で時効が中断すると考える。
なぜ間違えるか:手続に関与しただけで、強制的な権利行使(差押え)と混同しているため。
正しい理解:中断には「強制力」が必要。届出はただの連絡。
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