平成28年(2016)本試験

10

相続過去問

この問題の全体像

この問題は、相続の承認と放棄に関する規定、特に法定単純承認事由(民法921条)と共同相続人の承認の効力(民法925条)、および熟慮期間の起算点(民法915条)に関する理解を問うものです。

平成28年10
甲建物を所有するAが死亡し、相続人がそれぞれAの子であるB及びCの2名である場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  • 1Bが甲建物を不法占拠するDに対し明渡しを求めたとしても、Bは単純承認をしたものとはみなされない。
  • 2Cが甲建物の賃借人Eに対し相続財産である未払賃料の支払いを求め、これを収受領得したときは、Cは単純承認をしたものとみなされる。
  • 3Cが単純承認をしたときは、Bは限定承認をすることができない。
  • 4Bが自己のために相続の開始があったことを知らない場合であっても、相続の開始から3か月が経過したときは、Bは単純承認をしたものとみなされる。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
この問題は、相続の承認と放棄に関する規定、特に法定単純承認事由(民法921条)と共同相続人の承認の効力(民法925条)、および熟慮期間の起算点(民法915条)に関する理解を問うものです。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
この問題は、相続の承認と放棄に関する規定、特に法定単純承認事由(民法921条)と共同相続人の承認の効力(民法925条)、および熟慮期…
03
知識背景
相続人は、相続の開始を知った時から3ヶ月以内に、単純承認(無限責任)、限定承認(有限責任)、相続放棄のいずれかを選択できます。ただし…
04
覚え方
処分隠匿は単純承認、保存は安全。期間は知った時から3ヶ月。
05
試験のコツ
法定単純承認に該当する具体的な行為の判別 ・熟慮期間の起算点と期間の伸長 ・共同相続人の行為が他の相続人に与える影響
06
実務での見え方
被相続人が多額の借金を残して死亡した場合、相続人が勝手に遺品を整理・売却してしまうと、後で借金が発覚しても相続放棄ができず、借金を背…
07
よくある間違い
{"mistake":"保存行為(例:修繕、明渡請求)も処分行為と混同して単純承認とみなす誤り。","why_wrong":"相続財…
02深度分析
要約
この問題は、相続の承認と放棄に関する規定、特に法定単純承認事由(民法921条)と共同相続人の承認の効力(民法925条)、および熟慮期間の起算点(民法915条)に関する理解を問うものです。
法的根拠
民法921条(法定単純承認)民法915条(相続の承認又は放棄をすべき期間)民法925条(共同相続人の承認・放棄)
論理の流れ
選択肢1の明渡請求は権利保存行為であり法定単純承認にはあたらない。選択肢2の賃料受領は相続財産の処分にあたり法定単純承認とみなされる。選択肢3は、共同相続人の一人が単純承認すると他の相続人の限定承認ができなくなるという規定通りである。選択肢4は、熟慮期間は「相続の開始があったことを知った時」から進行するため、知らなければ期間経過しても単純承認とはみなされない。よって誤りは4である。
重要な区別
相続財産の「処分行為」と「保存行為」の区別、および熟慮期間の起算点が「相続開始を知った時」である点。
各選択肢のポイント
  • 不法占拠者への明渡請求は相続財産の価値を維持する保存行為であり、法定単純承認事由には該当しないため正しい。
  • 相続財産である未払賃料を請求し受領することは、相続財産の処分にあたり法定単純承認とみなされるため正しい。
  • 共同相続人の一人が単純承認をした場合、他の相続人は限定承認や放棄をすることができなくなるため正しい。
  • 熟慮期間は自己のために相続の開始があったことを知った時から進行するため、知らなければ期間経過しても単純承認とはならない。
03知識背景
テーマ概要
相続人は、相続の開始を知った時から3ヶ月以内に、単純承認(無限責任)、限定承認(有限責任)、相続放棄のいずれかを選択できます。ただし、相続人が相続財産を処分したり隠匿したりすると、単純承認したものとみなされます。
歴史的背景
相続放棄の制度は、被相続人の債務により相続人の生活が破綻することを防ぐために設けられました。一方で、財産を勝手に処分しながら借金だけ逃れることを防ぐため、法定単純承認制度が設けられています。
関連法令
民法882条(相続開始的原因)民法915条(承認・放棄の期間)民法921条(法定単純承認)民法934条(相続人の欠格)
体系的位置づけ
宅建試験の民法(親族・相続)分野における「相続の効力」および「相続の承認及び放棄」の核心部分であり、毎年のように出題される重要単元です。
前提知識
相続人の概念と範囲、相続財産に含まれるもの(積極財産と消極財産)、単純承認と限定承認の違い(債務を弁済する責任の範囲)についての基礎知識が必要です。
04記憶テクニック
語呂合わせ
処分隠匿は単純承認、保存は安全。期間は知った時から3ヶ月。
ビジュアル描写
カレンダーに「知った日」の印をつけ、そこから3ヶ月後を赤く塗るイメージ。その間に勝手に物を売ったり(処分)すると赤丸がついて取消不可になるイメージ。
重要公式
処分+隠匿=単純承認(921条)、3ヶ月=熟慮期間(915条)、1人の単純承認=全員への影響(925条)
関連連想
「処分」=「処理してしまった」=もう後戻りできない、と連想する。保存行為は「保存」=「そのままキープ」=安全と連想する。
比較表
単純承認:無限責任(プラスもマイナスも全部)。限定承認:相続財産の範囲内で責任。放棄:初めから相続人でなかったことになる。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回
重要度
A:相続の基本中の基本であり、頻出論点のため最重要。
出題パターン
  • 法定単純承認に該当する具体的な行為の判別
  • 熟慮期間の起算点と期間の伸長
  • 共同相続人の行為が他の相続人に与える影響
解法・消去法
「知らない」に関わらず期間経過で承認とみなす記述は、915条の反対として誤りと判断できる。
時間戦略
条文番号(921条、915条)とキーワード(処分、知った時)を思い出せれば即答可能なため、時間をかけすぎない。
06実務応用
実務シナリオ
被相続人が多額の借金を残して死亡した場合、相続人が勝手に遺品を整理・売却してしまうと、後で借金が発覚しても相続放棄ができず、借金を背負うリスクがあります。
実務への影響
相続が開始したら、まずは財産目録を作成し、安易に財産に手を触れてはならないという実務上の鉄則となります。
ケーススタディ
相続人が形見分けとして遺品を一部処分した後、被相続人に多額の連帯保証債務があることが判明し、法定単純承認を理由に相続放棄が認められなかった事例。
業界関連性
不動産業者は、相続物件の売買に際し、相続人の承認状況(放棄したかどうか)を厳密に確認する必要があります。
ニュース連動
空き家問題に関連し、相続人が不明または相続放棄するケースが増加している現状と、管理責任を問われるリスクが話題になることが多い。
07よくある間違い
保存行為(例:修繕、明渡請求)も処分行為と混同して単純承認とみなす誤り。
なぜ間違えるか:相続財産に関するあらゆる行為を「処分」と捉えてしまうため。
熟慮期間が相続開始時から進行すると誤解する。
なぜ間違えるか:条文の「自己のために相続の開始があったことを知った時」を見落とすため。
共同相続人間で承認の選択が独立していると誤解する。
なぜ間違えるか:各自の相続分は独立しているため、選択も独立だと錯覚するため。
解説は、まだ続きます
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