令和2年(2020)本試験
問205
委任契約過去問
この問題の全体像
委任契約における報酬請求権の帰責事由別の処理を問う問題。委任者・受任者どちらの責めによる終了かで報酬請求の可否が異なる。善管注意義務の内容と委任終了時の相続人の地位も重要論点。
AとBとの間で締結された委任契約において、委任者Aが受任者Bに対して報酬を支払うこととされていた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 1Aの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、Bは報酬全額をAに対して請求することができるが、自己の債務を免れたことによって得た利益をAに償還しなければならない。
- 2Bは、契約の本旨に従い、自己の財産に対するのと同一の注意をもって委任事務を処理しなければならない。
- 3Bの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、BはAに対して報酬を請求することができない。
- 4Bが死亡した場合、Bの相続人は、急迫の事情の有無にかかわらず、受任者の地位を承継して委任事務を処理しなければならない。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
委任契約における報酬請求権の帰責事由別の処理を問う問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
委任契約における報酬請求権の帰責事由別の処理を問う問題。委任者・受任者どちらの責めによる終了かで報酬請求の可否が異なる。善管注意義務…
03
知識背景
委任契約は当事者の一方が相手方に事務処理を委託し、相手方がこれを承諾することで成立する諾成契約。有償・無償いずれも可能。受任者は善管…
04
覚え方
委任者悪ければ報酬全部もらえる(でも得した分は返す)。受任者悪ければ報酬全部もらえない(一部はもらえるかも)。善管注意は有償無償問わ…
05
試験のコツ
報酬請求権の帰責事由別判断
・善管注意義務と自己同一注意の区別
・委任終了事由と相続人の地位
06
実務での見え方
不動産仲介における媒介契約は準委任に近い性質を持つ。媒介報酬の支払時期や契約解除時の処理に本問の知識が活きる。依頼者の都合による契約…
07
よくある間違い
{"mistake":"受任者の注意義務を「自己と同一の注意」と誤解し、有償委任のみ善管注意義務と判断してしまう。","why_wr…
02深度分析
要約
委任契約における報酬請求権の帰責事由別の処理を問う問題。委任者・受任者どちらの責めによる終了かで報酬請求の可否が異なる。善管注意義務の内容と委任終了時の相続人の地位も重要論点。
法的根拠
民法644条(受任者の注意義務)民法648条(報酬)民法653条(委任の終了事由)民法654条(委任終了後の処分義務)
論理の流れ
委任契約の報酬請求権は、履行中途での終了時に誰に帰責事由があるかで結果が異なる。委任者Aの帰責事由なら受任者Bは報酬全額請求可能だが、免れた利益は償還が必要(民法648条3項)。受任者の帰責事由なら報酬全部請求不可(同条2項)。善管注意義務は有償無償問わず適用される。
重要な区別
最も重要な区別は、委任者・受任者のどちらに帰責事由があるか。これにより報酬請求権の有無と範囲が決まる。また「報酬の全部を請求できない」と「報酬を請求できない」の文言差も重要。
各選択肢のポイント
- 民法648条3項の通り。委任者帰責事由による終了なら報酬全額請求可能だが、免れた利益の償還義務がある。
- 民法644条により、受任者は有償無償に関わらず善管注意義務を負う。自己財産と同一の注意では不十分。
- 民法648条2項は「報酬の全部を請求できない」と規定。一部請求の可能性を残しており、請求不可とは異なる。
- 民法654条により、相続人が処理義務を負うのは急迫の事情がある場合に限られる。委任は死亡で終了する。
03知識背景
テーマ概要
委任契約は当事者の一方が相手方に事務処理を委託し、相手方がこれを承諾することで成立する諾成契約。有償・無償いずれも可能。受任者は善管注意義務を負い、報酬は事務処理後の請求が原則。終了事由には死亡、破産、後見開始がある。
歴史的背景
民法改正(2020年4月施行)で委任契約の規定が整備された。報酬請求権について、履行中途終了時の帰責事由別の処理が明文化され、委任者帰責の場合の利益償還義務が新設された。
関連法令
民法643条(委任の定義)民法644条(受任者の注意義務)民法648条(報酬)民法653条(委任の終了事由)民法654条(委任終了後の処分義務)
体系的位置づけ
民法科目の「契約」分野における「その他の契約」に位置づく。委任は不動産業界でも媒介契約等の基礎となる重要契約。宅建試験では頻出論点。
前提知識
善管注意義務と具体的軽過失の区別、委任の終了事由、準委任との違い、委任と請負の違い、報酬請求権の発生時期等の基礎知識が必要。
04記憶テクニック
語呂合わせ
委任者悪ければ報酬全部もらえる(でも得した分は返す)。受任者悪ければ報酬全部もらえない(一部はもらえるかも)。善管注意は有償無償問わず。
ビジュアル描写
天秤をイメージ。左皿に「委任者帰責」→報酬全額。右皿に「受任者帰責」→報酬なし。中央に「善管注意義務」の旗。
重要公式
善管注意義務=抽象的軽過失責任(有償無償不問)。自己と同一の注意=具体的軽過失責任(委任には不適用)。
関連連想
委任=信頼関係が基本。だから死亡で終了。急迫時だけ相続人が事務処理。報酬は仕事してから。
比較表
委任者帰責→報酬全額請求可・利益償還義務あり/受任者帰責→報酬全部請求不可/不可抗力→按分か事務処理割合で判断
05試験テクニック
出題頻度
委任契約は頻出論点。報酬請求権、注意義務、終了事由は2-3年に1回のペースで出題される。
重要度
A:最重要。不動産媒介契約の基礎となる契約類型。実務でも頻繁に遭遇する。
出題パターン
- 報酬請求権の帰責事由別判断
- 善管注意義務と自己同一注意の区別
- 委任終了事由と相続人の地位
解法・消去法
「自己と同一の注意」が出たら×と判断。善管注意義務の問題として即座に消去。死亡による終了も基本知識として活用。
時間戦略
委任契約問題は条文知識があれば1分以内で解答可能。帰責事由の有無と条文の正確な文言を確認する。
06実務応用
実務シナリオ
不動産仲介における媒介契約は準委任に近い性質を持つ。媒介報酬の支払時期や契約解除時の処理に本問の知識が活きる。依頼者の都合による契約解除時の報酬請求も実務問題として重要。
実務への影響
委任契約の知識は媒介契約、管理委託契約等の不動産実務で直接活用される。報酬請求権の発生要件や終了時の処理は紛争予防に不可欠。
ケーススタディ
売買媒介契約締結後、依頼者が勝手に知人に売却し契約解除。媒介報酬請求が可能か。依頼者帰責による終了として報酬請求の可否が問題となる実務的事案。
業界関連性
不動産業界では媒介契約が日常的。報酬請求権の発生要件と解除時の処理は、宅建士の実務知識として必須。
ニュース連動
不動産仲介トラブルの多くは報酬請求に関連。契約解除時の報酬処理は消費者相談でも頻出テーマ。
07よくある間違い
受任者の注意義務を「自己と同一の注意」と誤解し、有償委任のみ善管注意義務と判断してしまう。
なぜ間違えるか:民法644条は有償無償を問わず善管注意義務を課している。寄託等との混同が原因。
正しい理解:「委任=常に善管注意」と暗記。他契約との比較表を作成して区別する。
「報酬の全部を請求できない」と「報酬を請求できない」を同一視してしまう。
なぜ間違えるか:条文の正確な文言理解不足。「全部」がつくかどうかで一部請求の可否が変わる。
正しい理解:「全部」「全部」の有無に注目。条文の正確な文言を確認する習慣をつける。
受任者死亡時、相続人が常に委任事務を承継すると誤解する。
なぜ間違えるか:委任は死亡で終了する契約。相続人の処理義務は急迫の事情がある場合に限られる。
正しい理解:「委任は死亡で終了」を基本原則として覚え、例外として急迫時の処分義務を位置づける。
次に読む
関連ページ
関連過去問
同じ論点で出題されたほかの問
論点「委任契約」で出題された過去問。出題パターンの幅を確認できます。
さあ、はじめよう
この問を、アプリで記録する