共有
共有とは、1個の物を複数の者が共同で所有する形態をいいます。各共有者は持分を有し、その持分に応じて使用・収益を行うことができます。共有制度は、共同で物を取得した場合や相続などで必然的に生じる所有形態であり、共有者間の利害調整が制度の核心となります。令和5年改正では、共有物の管理・分割に関する規定が大幅に見直されました。
民法249条(共有持分の割合)民法250条(共有物の管理)民法251条(共有物の変更)
重要度: 重要
要点
共有とは、1個の物を複数の者が共同で所有する形態をいいます。各共有者は持分を有し、その持分に応じて使用・収益を行うことができます。共有制度は、共同で物を取得した場合や相続などで必然的に生じる所有形態であり、共有者間の利害調整が制度の核心となります。令和5年改正では、共有物の管理・分割に関する規定が大幅に見直されました。
体系における位置づけ
民法(権利関係)は宅建試験の4科目の1つで、総則、物権、債権、親族相続の分野から構成されます。権利関係は他科目と比較して理解中心の科目であり、法的思考力が求められます。中でも物権法は不動産取引の基礎となる重要分野で、共有制度は権利の帰属形態として実務上も頻繁に遭遇する概念です。
ルールの詳細
・共有持分の処分は各共有者が単独で自由に行うことができ、他の共有者の同意は不要です。ただし、共有物全体の処分には全員の同意が必要です。
・共有物の管理行為(賃貸借を含む)は、共有者の持分の価格に従い、その過半数で決します。令和5年改正で明確化されました。
・共有物の変更行為(用途変更等)には、共有者全員の同意が必要です。これは共有関係の基礎に関わる重要事項だからです。
・保存行為は各共有者が単独で行うことができます。これは緊急の対応が必要な場合に迅速な措置を可能にするためです。
・共有物の分割請求は、各共有者がいつでも請求できます。ただし、5年を超えない範囲で分割しない旨の契約が可能です。
・持分を放棄した場合、その持分は他の共有者に帰属します(民法255条)。国庫には帰属しません。
例外
・分割禁止の特約は5年を超える期間については更新できません。ただし、令和5年改正前の特約には経過措置があります。
・共有物の性質上分割できない場合(例:1部屋の住宅)や、分割により著しく価値を減ずるおそれがある場合は、現物分割が制限されます。
・所在不明の共有者がいる場合でも、持分の過半数で管理行為を行うことができます。令和5年改正で明確化されました。
比較・対照
保存行為は単独、管理行為は持分過半数、変更行為は全員同意と段階的に要件が厳しくなります。持分の処分と共有物の処分を混同しないよう注意が必要です。
記憶テクニック
・「保存は単独、管理は持分過半、変更は全員」のリズムで覚える。
・「持分放棄は他者へ、国庫には行かない」と覚える。
・「ホーケン(変更)は全員、カンリ(管理)は過半数」と語呂合わせ。
事例で確認
「共有」はこう問われる
A、B、Cが3分の1ずつの持分で甲土地を共有している。Aが自己の持分をDに譲渡しようとしている。BとCはDとの関係を懸念して反対している。 AはB・Cの同意なく自己の持分をDに譲渡できるか。
結論:AはB・Cの同意なく持分をDに譲渡できます。
民法249条により、共有持分の処分は各共有者が単独で自由に行うことができます。他の共有者の同意は不要です。B・Cの反対に関わらず、Aは自己の持分をDに譲渡できます。ただし、Dは共有者としての地位を取得し、共有関係に参加することになります。
押さえる:持分の処分は自由であり、他の共有者の同意は不要です。これを「持分の自由譲渡性」といいます。
A、B、C、Dが4分の1ずつの持分で甲建物を共有している。Dの所在が不明で連絡が取れない状況で、A、B、Cは甲建物をEに賃貸したいと考えている。 A、B、Cの3人でEとの間の賃貸借契約を締結できるか。
結論:A、B、Cの3人で賃貸借契約を締結できます。
賃貸借は管理行為に該当し、民法250条により持分の過半数で決することができます。A、B、Cの持分を合計すると4分の3となり、過半数を満たします。令和5年改正により、所在不明の共有者がいる場合でも持分の過半数で管理行為を行えることが明確化されました。
押さえる:管理行為は「持分の過半数」で決します。人数の過半数ではない点に注意が必要です。
試験での狙われ方
出題傾向と対策
| 出題頻度 | 出題なし |
|---|---|
| 出題実績 | 過去 37 年で 0 回・0 年分 |
| 重要度 | 重要度A:令和5年改正があり、今後数年は出題可能性が非常に高い重要単元です。 |
| 解き方のコツ | 保存・管理・変更の各行為の要件を表形式で整理して暗記してください。「持分の過半数」と「人数の過半数」の違いに注意し、持分放棄は国庫帰属ではないことを確実に覚えてください。 |
よく問われるパターン
- 持分の処分と共有物の処分の区別を問う問題が頻出します。
- 保存行為・管理行為・変更行為の要件の違いを問う問題がよく出ます。
- 持分放棄の効果(他の共有者への帰属)を問う問題が典型的です。
- 所在不明の共有者がいる場合の管理行為の可否を問う問題が増えています。
理解度チェック
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Q1【2025年 問8】A、B及びCがそれぞれ3分の1の持分の割合で甲土地を共有している場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、甲土地を分割しない旨の契約は存在しないものとする。
解答: 正解:2
Aが甲土地についての自己の持分を放棄した場合には、その持分は国庫に帰属する。
【解説】解説 したがって誤っている記述は[2]です。
Q2【2024年 問3】甲土地につき、A、B、C、Dの4人がそれぞれ4分の1の共有持分を有していて、A、B、CのいずれもDの所在を知ることができない場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、Dの共有持分は、相続財産には属していないものとする。
解答: 正解:3
A、B、C3人の同意があれば、甲土地を資材置場として賃借したいFとの間で期間を3年とする賃貸借契約を締結することができる。
【解説】解説 したがって正しい記述は[3]です。
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よくある質問
共有について
宅建の「共有」とは何ですか?
共有とは、1個の物を複数の者が共同で所有する形態をいいます。各共有者は持分を有し、その持分に応じて使用・収益を行うことができます。共有制度は、共同で物を取得した場合や相続などで必然的に生じる所有形態であり、共有者間の利害調整が制度の核心となります。令和5年改正では、共有物の管理・分割に関する規定が大幅に見直されました。
「共有」は宅建でよく出ますか?
本試験の過去問データでは、この論点名で直接問われた出題は確認できませんが、関連する論点の中で問われることがあります。
共有持分を第三者に譲渡するには、他の共有者の同意が必要である。
誤り。共有持分の処分は各共有者が単独で自由に行うことができ、他の共有者の同意は不要です(民法249条)。
共有物の保存行為は、各共有者が単独で行うことができる。
正解。保存行為は緊急の措置や現状維持のための行為であり、各共有者が単独で行うことができます(民法252条)。
共有物の賃貸借契約を締結するには、共有者全員の同意が必要である。
誤り。賃貸借は管理行為に該当し、持分の過半数で決することができます(民法250条)。全員の同意は不要です。
「共有」の覚え方は?
「保存は単独、管理は持分過半、変更は全員」のリズムで覚える。
・「持分放棄は他者へ、国庫には行かない」と覚える。
・「ホーケン(変更)は全員、カンリ(管理)は過半数」と語呂合わせ。
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