平成7年(1995)本試験

10注文者の「仕事完成前の解除権(641条)」と「瑕疵担保責任(638条以下)」の要件と効果の違いを明確に区別すること。

請負契約過去問

この問題の全体像

請負契約における注文者の解除権(民法641条)と、瑕疵担保責任の期間・所有権の帰属・第三者への移転に関する判例・条文の正誤判定が中心。

平成7年10
請負契約により注文者Aが請負人Bに建物(木造一戸建て)を建築させた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。ただし、担保責任に関する特約はないものとする。
  • 1建物の完成後その引渡しを受けたAは、建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合は、引渡しの時から2年以内に限り、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求又は契約の解除をすることができる。
  • 2Bが建物の材料の主要部分を自ら提供した場合は、Aが請負代金の全額を建物の完成前に支払ったときでも、特別の事情のない限り、Bは、自己の名義で所有権の保存登記をすることができる。
  • 3AがBから完成した建物の引渡しを受けた後、Cに対して建物を譲渡したときは、Cは、その建物の欠陥について、Bに対し修補又は損害賠償の請求をすることができる。
  • 4Aは、Bが建物の建築を完了していない間にBに代えてDに請け負わせ当該建物を完成させることとする場合、損害を賠償してBとの請負契約を解除することができる。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
注文者の「仕事完成前の解除権(641条)」と「瑕疵担保責任(638条以下)」の要件と効果の違いを明確に区別すること。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
請負契約における注文者の解除権(民法641条)と、瑕疵担保責任の期間・所有権の帰属・第三者への移転に関する判例・条文の正誤判定が中心…
03
知識背景
請負契約は仕事の完成を目的とし、瑕疵があった場合の担保責任や、注文者の途中解除権が特徴。特に建物建築では所有権の帰属時期が実務上重要…
04
覚え方
「請負の解除はいつでもOK、ただし損害賠償を忘れずに。木造の瑕疵は5年間、権利は移転しない。」
05
試験のコツ
「注文者が解除できる時期」 ・「瑕疵担保責任の期間」 ・「所有権の帰属先」の3点セット
06
実務での見え方
注文者が建築途中で資金繰りが悪化し、別の業者に変更したい場合、本条項に基づき契約を解除し、既存の工事分の代金を支払う。
07
よくある間違い
{"mistake":"瑕疵担保請求権が譲受人に移転すると誤解する。","why_wrong":"売買契約では担保責任が付従するが、…
02深度分析
要約
請負契約における注文者の解除権(民法641条)と、瑕疵担保責任の期間・所有権の帰属・第三者への移転に関する判例・条文の正誤判定が中心。
法的根拠
民法638条(旧)民法639条(旧)民法640条(旧)民法641条
論理の流れ
選択肢1は木造の瑕疵担保期間が5年であるため誤り。2は代金全額支払で所有権が注文者に移転するため誤り。3は瑕疵担保請求権は第三者に移転しないため誤り。4は未完了の解除権と損害賠償義務を規定する民法641条そのもので正解。
重要な区別
注文者の「仕事完成前の解除権(641条)」と「瑕疵担保責任(638条以下)」の要件と効果の違いを明確に区別すること。
各選択肢のポイント
  • 旧民法638条1項により、木造建物の瑕疵担保期間は引渡後5年であるため、2年という記述は誤り。
  • 旧民法639条2項により、注文者が代金全額を支払ったときは所有権は注文者に移転するため、請負人には登記権限がない。
  • 旧民法640条により、瑕疵担保請求権は譲受人に移転しないのが原則であるため、CはBに直接請求できない。
  • 旧民法641条の規定通り、注文者は仕事完成前であればいつでも損害を賠償して解除できる。
03知識背景
テーマ概要
請負契約は仕事の完成を目的とし、瑕疵があった場合の担保責任や、注文者の途中解除権が特徴。特に建物建築では所有権の帰属時期が実務上重要。
歴史的背景
2020年民法改正で「瑕疵」概念が「契約不適合」に変更され、責任期間も原則1年(知った時から5年)に見直されたが、本問は旧法下での出題。
関連法令
民法632条(請負の定義)民法634条(瑕疵担保)民法641条(注文者による解除)民法642条
体系的位置づけ
民法「契約」各論の中の「請負」分野。宅建試験では民法全体的な出題頻度が高く、特に請負と売買の違いが問われる。
前提知識
「請負」と「売買」の違い、所有権の移転時期(原始取得 vs 承継取得)、担保責任の性質を理解している必要がある。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「請負の解除はいつでもOK、ただし損害賠償を忘れずに。木造の瑕疵は5年間、権利は移転しない。」
ビジュアル描写
家の建設途中で「やめる!」と叫ぶ注文者と、泣く請負人。ただし請負人の手には「損害賠償金」が入るイメージ。
重要公式
木造瑕疵担保期間=5年(旧法)。解除=未完了+損害賠償。
関連連想
「請負」=「請け負う」=仕事をする側。注文者は「スポンサー」なので、途中で降りる(解除)権利は強いが、コストは払う。
比較表
売買(所有権移転が目的)vs 請負(仕事完成が目的)。売買は原則解除不可、請負は完了前なら解除可。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回程度。改正後は「契約不適合責任」として出題されるが、解除権(641条)は頻出。
重要度
A: 契約の解除要件は民法の基本であり、実務でもトラブルになりやすいため重要。
出題パターン
  • 「注文者が解除できる時期」
  • 「瑕疵担保責任の期間」
  • 「所有権の帰属先」の3点セット
解法・消去法
「瑕疵担保請求権が第三者に移転する」という記述は原則として誤り(旧法下)と判断して消去する。
時間戦略
「仕事完成前」というキーワードがあれば即座に641条(解除権)を疑い、他の条件(損害賠償)を確認する。
06実務応用
実務シナリオ
注文者が建築途中で資金繰りが悪化し、別の業者に変更したい場合、本条項に基づき契約を解除し、既存の工事分の代金を支払う。
実務への影響
注文者に柔軟な撤退の道を提供する一方で、請負人の無償労働を防ぐ権利平衡の規定である。
ケーススタディ
マンション建設工事において、発注者が設計変更を希望し、元の請負契約を解除して新たに契約を結んだ事例。
業界関連性
建設業界の契約管理において、途中解約時の清算基準を定める根拠となる。
ニュース連動
欠陥住宅問題において、引き渡し後の瑕疵担保責任期間(現在は10年)がニュースになることが多い。
07よくある間違い
瑕疵担保請求権が譲受人に移転すると誤解する。
なぜ間違えるか:売買契約では担保責任が付従するが、旧民法下の請負では640条で明文の禁止規定があるため混同しやすい。
仕事完成前の解除権を「債務不履行がないと行使できない」と考える。
なぜ間違えるか:委任契約(651条)と混同、または一般原則の債務不履行解除しか思い浮かばないため。
木造建物の瑕疵担保期間を2年と勘違いする。
なぜ間違えるか:商法や売買の商人間担保(1年など)や、現在の民法(原則1年など)の数字と混同する。
解説は、まだ続きます
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