平成元年(1989)本試験

8物理的に修補が可能かどうかと、注文者に修補の利益(修補によって契約目的が達せられるか)があるかどうかの区別が重要。

請負契約過去問

この問題の全体像

請負契約の目的物に欠陥があった場合の担保責任について、修補請求、損害賠償、契約解除の可否や期間制限に関する正誤を判断する問題です。

平成元年8
請負契約における請負人の担保責任に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
  • 1完成した目的物に契約の内容に適合しない欠陥がある場合において、その修補が可能なものであっても、注文者は、目的物の修補に代えて、直ちに損害賠償の請求をすることができる。
  • 2完成した目的物に契約をした目的を達することができない重大な欠陥があるときは、注文者は、目的物の修補又は損害賠償の請求をすることはできないが、契約を解除することができる。
  • 3完成した目的物が建物その他土地の工作物である場合において、その物が引き渡しを受けてから3年目に契約の内容に適合しない欠陥により損傷したときは、注文者は、その時から2年以内にその旨を請負人に通知しなければ、請負人の担保責任を追及することができない。
  • 4完成した目的物が建物その他土地の工作物である場合において、その物に契約をした目的を達することができない重大な欠陥があるときであっても、注文者は、契約の解除をすることができない。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
物理的に修補が可能かどうかと、注文者に修補の利益(修補によって契約目的が達せられるか)があるかどうかの区別が重要。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
請負契約の目的物に欠陥があった場合の担保責任について、修補請求、損害賠償、契約解除の可否や期間制限に関する正誤を判断する問題です。
03
知識背景
請負人の担保責任とは、完成した仕事に欠陥(瑕疵)があった場合に、請負人が負う責任を指す。具体的には、欠陥の修補、損害賠償、報酬の減額…
04
覚え方
修理の利益なければ、直ちに賠償請求。建物の損傷は「1年」で通知、解除は「目的不達成」で。
05
試験のコツ
解除できる要件の有無 ・損害賠償と修補の優先関係 ・権利行使の期間制限
06
実務での見え方
注文した住宅に設備の不備がある。修理を依頼したが業者の対応が悪い、あるいは信頼関係が破綻している場合、修理を待たずに賠償請求できるか…
07
よくある間違い
{"mistake":"修補が可能な場合は必ず修補請求をしなければならないと考える。","why_wrong":"「修補の利益」がな…
02深度分析
要約
請負契約の目的物に欠陥があった場合の担保責任について、修補請求、損害賠償、契約解除の可否や期間制限に関する正誤を判断する問題です。
法的根拠
民法634条(請負人の担保責任)民法635条(損害賠償請求)民法638条(期間の制限)民法641条(契約の解除)
論理の流れ
選択肢2は修補請求権を否定しているため誤り。選択肢3は建物損傷時の通知期間を2年としているが、当時の民法では1年であるため誤り。選択肢4は解除権を否定しているが、目的を達せられない重大な欠陥時は解除できるため誤り。選択肢1は、修補が可能でも注文者に修補の利益がない場合には直ちに損害賠償請求ができるとする判例の趣旨に合致するため正しい。
重要な区別
物理的に修補が可能かどうかと、注文者に修補の利益(修補によって契約目的が達せられるか)があるかどうかの区別が重要。
各選択肢のポイント
  • 判例は、修補が可能でも注文者に修補の利益がなければ、直ちに損害賠償請求ができるとしている。
  • 目的を達せられない場合でも、修補や損害賠償の請求をすることは可能である。
  • 建物が損傷した場合、注文者は損傷後1年以内に通知しなければ担保責任を追及できない。
  • 契約の目的を達することができない重大な欠陥があるときは、契約を解除できる。
03知識背景
テーマ概要
請負人の担保責任とは、完成した仕事に欠陥(瑕疵)があった場合に、請負人が負う責任を指す。具体的には、欠陥の修補、損害賠償、報酬の減額、契約解除などが含まれ、欠陥の程度や種類によって対応が異なる。
歴史的背景
旧民法では修補請求が原則とされていたが、2020年施行の改正民法では、注文者は修補、代替物の引渡し、損害賠償等を請求できるよう選択権が強化された。
関連法令
民法632条(請負の定義)民法634条(担保責任)民法636条(担保責任の存続期間)民法637条(担保責任の特約)
体系的位置づけ
民法債権編の契約のうち、典型契約である「請負」の章における債務不履行の効果を規定する核心部分。
前提知識
「欠陥(瑕疵)」の定義、「担保責任」の意味、そして「修補の利益」という判例法理についての理解が必要不可欠。
04記憶テクニック
語呂合わせ
修理の利益なければ、直ちに賠償請求。建物の損傷は「1年」で通知、解除は「目的不達成」で。
ビジュアル描写
壊れた物を直す(修補)か、お金をもらう(賠償)か。直しても意味がないなら、すぐお金を要求するイメージ。
重要公式
欠陥あり → 修補可能? → 利益あり? → NOなら損害賠償直請求。
関連連想
「主婦(しゅふ)」が「修理」に興味なければ、お金(賠償)をもらう。
比較表
旧民法:修補が原則。新民法:注文者の選択権が原則。ただし、解除は「目的不達成」の場合に共通。
05試験テクニック
出題頻度
2-3年に1回(改正前後で出題傾向が変化)
重要度
A:最重要。契約解除と損害賠償の要件は頻出。
出題パターン
  • 解除できる要件の有無
  • 損害賠償と修補の優先関係
  • 権利行使の期間制限
解法・消去法
契約解除が「できる」記述と「できない」記述があれば、通常は「できる」が正解(ただし要件あり)。期間制限の数字(1年、5年、10年)の確認。
時間戦略
「直ちに」「~できない」といった絶対的な表現に注目し、判例の例外(修補の利益なし)を思い出せば即答可能。
06実務応用
実務シナリオ
注文した住宅に設備の不備がある。修理を依頼したが業者の対応が悪い、あるいは信頼関係が破綻している場合、修理を待たずに賠償請求できるか。
実務への影響
紛争解決の手段として、修理強要ではなく金銭解決を選択できるかどうかが実務上極めて重要となる。
ケーススタディ
建物の基礎に欠陥があり、不同沈下が発生。物理的には補強可能だが、居住者は心理的不安から補強を望まず、解体と賠償を求めた事例。
業界関連性
建設業界における瑕疵担保責任保険や紛争処理の基礎となる知識。
ニュース連動
住宅瑕疵担保履行法に基づく保険制度や、欠陥住宅訴訟との関連性。
07よくある間違い
修補が可能な場合は必ず修補請求をしなければならないと考える。
なぜ間違えるか:「修補の利益」がない場合の例外を知らないため。
契約解除はいつでもできると考える。
なぜ間違えるか:「契約の目的を達することができない」場合に限定されていることを理解していない。
権利行使の期間制限を混同する。
なぜ間違えるか:1年、3年、5年、10年など様々な期間が存在するため整理できていない。
解説は、まだ続きます
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