令和2年(2020)本試験

104

債務不履行過去問

この問題の全体像

債務不履行における履行遅滞、履行不能、債権者遅滞の法的効果を問う問題。特に債権者に帰責事由がある場合の費用負担の原則が核となる。債権者の受領拒否による費用増加は債権者が全額負担する。

令和2年104
債務不履行に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  • 1債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限が到来したことを知らなくても、期限到来後に履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
  • 2債務の目的が特定物の引渡しである場合、債権者が目的物の引渡しを受けることを理由なく拒否したため、その後の履行の費用が増加したときは、その増加額について、債権者と債務者はそれぞれ半額ずつ負担しなければならない。
  • 3債務者がその債務について遅滞の責任を負っている間に、当事者双方の責めに帰することができない事由によってその債務の履行が不能となったときは、その履行不能は債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなされる。
  • 4契約に基づく債務の履行が契約の成立時に不能であったとしても、その不能が債務者の責めに帰することができない事由によるものでない限り、債権者は、履行不能によって生じた損害について、債務不履行による損害の賠償を請求することができる。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
債務不履行における履行遅滞、履行不能、債権者遅滞の法的効果を問う問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
債務不履行における履行遅滞、履行不能、債権者遅滞の法的効果を問う問題。特に債権者に帰責事由がある場合の費用負担の原則が核となる。債権…
03
知識背景
債務不履行は履行遅滞、履行不能、不完全履行の三類型からなる。債務者の帰責事由が必要だが、債権者遅滞の場合は債務者の責任が軽減される。…
04
覚え方
「債権者が悪いなら債権者が払う」で覚える。債権者遅滞=債権者の責任=債権者負担。折半なんて親切な制度はない。
05
試験のコツ
債権者遅滞の効果を問う問題 ・遅滞中の履行不能の帰責を問う問題 ・期限の種類と遅滞の開始時期を問う問題
06
実務での見え方
不動産売買で買主が引渡しを拒否した場合、売主の保管費用や管理費用は買主負担となる。賃料不払いによる解除後の明渡し遅滞でも同様。
07
よくある間違い
{"mistake":"債権者遅滞の場合、費用増加を当事者で折半すると誤解する。","why_wrong":"民法に折半の規定がなく…
02深度分析
要約
債務不履行における履行遅滞、履行不能、債権者遅滞の法的効果を問う問題。特に債権者に帰責事由がある場合の費用負担の原則が核となる。債権者の受領拒否による費用増加は債権者が全額負担する。
法的根拠
民法412条(履行の遅滞)民法413条(債権者遅滞)民法413条の2(遅滞中の履行不能)民法416条(損害賠償の範囲)
論理の流れ
選択肢2が誤りと判断するには、債権者遅滞の効果を理解する必要がある。債権者が理由なく受領を拒否した場合、その後の履行費用の増加は全額債権者の負担となる。民法413条は債権者遅滞の効果として、債務者の責任を軽減し債権者に不利益を帰属させる趣旨であり、半額負担とする根拠はない。
重要な区別
債権者遅滞と債務者遅滞の区別。債権者に帰責事由がある場合、費用負担は債権者に全額帰属し、債務者との折半ではない。
各選択肢のポイント
  • 不確定期限の場合、期限到来を知らなくても履行請求を受けた時から遅滞責任を負う(民法412条3項)。正しい記述。
  • 債権者の受領拒否による費用増加は債権者が全額負担する。半額ずつとする規定は存在せず、民法413条の趣旨にも反する。
  • 遅滞中に不可抗力で履行不能となった場合、債務者の責任とみなされる(民法413条の2)。正しい記述。
  • 契約成立時に履行不能でも、債務者に帰責事由があれば損害賠償請求可能。正しい記述。
03知識背景
テーマ概要
債務不履行は履行遅滞、履行不能、不完全履行の三類型からなる。債務者の帰責事由が必要だが、債権者遅滞の場合は債務者の責任が軽減される。遅滞中の履行不能は債務者に不利に扱われる。
歴史的背景
民法413条の2は2017年改正で新設された条文。従来は判例法理として確立していた遅滞中の不可抗力による履行不能について明文化された。債権者遅滞の効果も改正で整理された。
関連法令
民法412条(履行の遅滞)民法413条(債権者遅滞)民法413条の2(遅滞中の履行不能)民法415条(債務不履行の効果)
体系的位置づけ
民法債権総論の核心的分野。宅建試験では毎年のように出題される重要論点。債権総則の中でも特に理解が必要な基本概念。
前提知識
帰責事由の概念、期限の種類(確定期限・不確定期限)、履行不能と履行遅滞の区別、債権者遅滞の要件と効果についての基礎的理解が必要。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「債権者が悪いなら債権者が払う」で覚える。債権者遅滞=債権者の責任=債権者負担。折半なんて親切な制度はない。
ビジュアル描写
タイムラインをイメージ。期限到来→履行請求→遅滞開始→履行不能の各段階で誰に責任があるかを矢印で示す。
重要公式
債権者遅滞の効果=①損害賠償責任免除、②利息停止、③費用負担(債権者)
関連連想
「遅滞」は誰が原因かで責任の所在が決まる。債務者なら債務者責任、債権者なら債権者負担とシンプルに考える。
比較表
債務者遅滞:債務者の帰責事由→債務者が損害賠償責任。債権者遅滞:債権者の帰責事由→債務者の責任軽減、債権者負担。
05試験テクニック
出題頻度
債務不履行関連は毎年出題される頻出分野。特に履行遅滞と履行不能の区別は高頻度。
重要度
A:最重要。債権法の基礎概念であり、実務でも頻繁に問題となる。確実に理解が必要。
出題パターン
  • 債権者遅滞の効果を問う問題
  • 遅滞中の履行不能の帰責を問う問題
  • 期限の種類と遅滞の開始時期を問う問題
解法・消去法
「半額ずつ」「折半」という表現は民法の原則として稀。当事者の帰責事由の有無で全額負担の当事者が決まるのが原則と覚える。
時間戦略
債権者遅滞の問題は条文知識があれば1分以内で解答可能。選択肢2のような「半額負担」は民法に原則として存在しないことを即座に判断する。
06実務応用
実務シナリオ
不動産売買で買主が引渡しを拒否した場合、売主の保管費用や管理費用は買主負担となる。賃料不払いによる解除後の明渡し遅滞でも同様。
実務への影響
契約書作成時に債権者遅滞の条項を入れることで、実務上のトラブルを防ぐことができる。費用負担の明確化が重要。
ケーススタディ
住宅購入者がローン審査の遅れを理由に引渡しを拒否。その間の住宅の管理費、固定資産税は購入者負担となる事例。債権者遅滞の典型。
業界関連性
不動産取引では引渡し時期のトラブルが多発。債権者遅滞の理解は実務家にとって必須の知識。
ニュース連動
新型コロナ影響による賃料支払い遅滞や引渡し遅延問題で、債務不履行の帰責事由が注目されている。
07よくある間違い
債権者遅滞の場合、費用増加を当事者で折半すると誤解する。
なぜ間違えるか:民法に折半の規定がなく、帰責事由のある当事者が全額負担する原則を忘れている。
不確定期限と確定期限の遅滞開始時期を混同する。
なぜ間違えるか:期限の種類による遅滞開始時期の違いを正確に理解していない。
遅滞中の不可抗力による履行不能について債務者の責任を否定する。
なぜ間違えるか:遅滞中は債務者が不利な立場にあることを理解していない。
解説は、まだ続きます
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