令和2年(2020)本試験

139

クーリング・オフ過去問

この問題の全体像

宅建業法37条の2に基づくクーリング・オフ制度において、解除ができない4つの例外事由(事務所等での契約、8日経過、引渡し兼全額支払い、買主が宅建業者)の理解を問う問題。特に「引渡し」と「全額支払い」の双方が必要である点が重要。

令和2年139
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として宅地建物取引業者ではない買主Bとの間で締結した宅地の売買契約について、Bが宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づき、いわゆるクーリング・オフによる契約の解除をする場合における次の記述のうち、誤っているものはどれか。
  • 1Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、2日後、Aの事務所で契約を締結した上で代金全額を支払った。その5日後、Bが、宅地の引渡しを受ける前に当該契約について解除の書面を送付した場合、Aは代金全額が支払われていることを理由に契約の解除を拒むことができる。
  • 2Bは、自らの希望により自宅近くの喫茶店において買受けの申込みをし、売買契約を締結した。当該契約に係るクーリング・オフについては、その3日後にAから書面で告げられた場合、Bは、当該契約の締結日から10日後であっても契約の解除をすることができる。
  • 3Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、Aの事務所でクーリング・オフについて書面で告げられ、その日に契約を締結した。この書面の中で、クーリング・オフによる契約の解除ができる期間を14日間としていた場合、Bは、当該契約の締結日から10日後であっても契約の解除をすることができる。
  • 4Bは、売買契約締結後に速やかに建物建築工事請負契約を締結したいと考え、自ら指定した宅地建物取引業者であるハウスメーカー(Aから当該宅地の売却について代理又は媒介の依頼は受けていない。)の事務所で買受けの申込み及び売買契約の締結をし、その際、クーリング・オフについて書面で告げられた。その6日後、Bが当該契約について解除の書面を送付した場合、Aは契約の解除を拒むことができない。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
宅建業法37条の2に基づくクーリング・オフ制度において、解除ができない4つの例外事由(事務所等での契約、8日経過、引渡し兼全額支払い、買主が宅建業者)の理解を問う問題。
この問題は、5 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
宅建業法37条の2に基づくクーリング・オフ制度において、解除ができない4つの例外事由(事務所等での契約、8日経過、引渡し兼全額支払い…
03
知識背景
クーリング・オフ制度は、宅地建物の売買契約において、買主が事務所以外の場所で申込み・契約した場合に、書面告示から8日間は無条件で解除…
04
覚え方
クーリング・オフできない4つの例外:「事務所で契約」「8日経過」「引渡し+全額支払い」「買主が業者」。語呂合わせ:「事八引買(じばち…
05
試験のコツ
場所の判定(事務所等か否か) ・期間の起算日と経過日数 ・解除不可事由の組み合わせ問題 ・特約の有効性
06
実務での見え方
実際の不動産取引では、モデルルームや現地案内所での契約が多い。宅建業者は契約時にクーリング・オフについて書面で説明し、8日間の解除権…
02深度分析
要約
宅建業法37条の2に基づくクーリング・オフ制度において、解除ができない4つの例外事由(事務所等での契約、8日経過、引渡し兼全額支払い、買主が宅建業者)の理解を問う問題。特に「引渡し」と「全額支払い」の双方が必要である点が重要。
法的根拠
宅建業法37条の2第1項宅建業法37条の2第2項宅建業法37条の2第3項宅建業法施行規則16条の6
論理の流れ
クーリング・オフの原則と例外を整理する。まず、事務所以外での申込みかを確認。次に、8日経過していないか、引渡しと全額支払いの両方が完了していないかを確認。選択肢1では、仮設案内所で申込み→事務所で契約の場合、クーリング・オフ対象となる。代金全額支払いだけでは解除拒否不可(引渡しが必要)。よって選択肢1が誤り。
重要な区別
最も重要な区別は「引渡し」と「全額支払い」の両要件充足の有無。どちらか一方だけではクーリング・オフを拒否できない。両方が揃って初めて解除権が消滅する。
各選択肢のポイント
  • 代金全額支払いがあっても、宅地の引渡しを受けていないため、クーリング・オフによる解除を拒むことはできない。誤り。
  • 喫茶店での契約はクーリング・オフ対象。書面告示から3日後なら8日以内のため、契約日から10日後でも解除可能。正しい。
  • クーリング・オフ期間を14日間とする特約は買主に不利な特約として無効。法定の8日間が適用され、10日後は解除不可だが、問題文では解除可能としている。正しい記述。
  • 買主が指定した宅建業者の事務所での契約は、クーリング・オフの対象外の場所に該当しない。6日後の解除は有効。正しい。
03知識背景
テーマ概要
クーリング・オフ制度は、宅地建物の売買契約において、買主が事務所以外の場所で申込み・契約した場合に、書面告示から8日間は無条件で解除できる制度。買主保護のためのクーリング・オフ期間を設け、衝動買いや強引な勧誘から消費者を守る。
歴史的背景
クーリング・オフ制度は2000年改正で導入。それ以前は訪問販売等での契約取消制度がなかった。消費者保護の観点から、訪問販売や電話勧誘販売と同様の保護を不動産取引にも拡大した経緯がある。
関連法令
宅建業法37条の2特定商取引法消費者契約法4条民法540条
体系的位置づけ
宅建業法の「業」分野において、取引態様の区分と並ぶ重要論点。8種制限の中でも特に出題頻度が高く、毎年何らかの形で出題される最重要分野の一つ。
前提知識
クーリング・オフの対象となる場所(事務所等以外)、期間の起算日(書面告示日)、解除の方式(書面)、解除の効果(原状回復)を理解する必要がある。また、8種制限全体の体系を把握しておくことが重要。
04記憶テクニック
語呂合わせ
クーリング・オフできない4つの例外:「事務所で契約」「8日経過」「引渡し+全額支払い」「買主が業者」。語呂合わせ:「事八引買(じばちひきがい)」→「地価引き買い」で土地を買って引き取るイメージ。
ビジュアル描写
「引渡し」と「全額支払い」を両手に持つ必要があるイメージ。片手だけでは解除を止められない。両手が揃って初めて「ストップ」の旗が上がる。
重要公式
解除不可=引渡し(あり)+全額支払い(あり)。どちらか欠ければ解除可能。期間=書面告示日から8日間。
関連連想
「クーリング」=「頭を冷やす期間」。衝動買いしたら8日間は頭を冷やせる。でも物件をもらって代金も払ったら「もう冷やせない」。
比較表
クーリング・オフ対象:仮設案内所、喫茶店、買主自宅、車内。対象外:売主事務所、買主指定業者事務所。期間:書面告示から8日間。解除不可:引渡し+全額支払いの両方。
05試験テクニック
出題頻度
毎年出題。宅建試験の中でも最も頻出する論点の一つ。
重要度
A:最重要。宅建業法の中核的分野であり、実務でも頻繁に遭遇する問題。確実に得点すべき。
出題パターン
  • 場所の判定(事務所等か否か)
  • 期間の起算日と経過日数
  • 解除不可事由の組み合わせ問題
  • 特約の有効性
解法・消去法
「引渡し」と「全額支払い」のどちらかしか記述されていない選択肢は、解除を拒否できないと判断。正しい記述の可能性が高い。両方ある場合のみ解除不可。
時間戦略
クーリング・オフ問題は2分以内で解答すべき。4つの例外事由を即座に想起し、各選択肢を機械的にチェック。迷ったら「引渡し+全額支払い」の両方あるかを確認。
06実務応用
実務シナリオ
実際の不動産取引では、モデルルームや現地案内所での契約が多い。宅建業者は契約時にクーリング・オフについて書面で説明し、8日間の解除権があることを明示する義務がある。解除された場合は速やかに返金対応が必要。
実務への影響
宅建業者にとっては、クーリング・オフ期間中の契約は確定しないリスクがある。資金計画や手続きの進行に注意が必要。買主にとっては、衝動的な購入決定を見直す安全装置として機能。
ケーススタディ
買主がモデルルームで土地を購入し、手付金を支払った後、5日後にクーリング・オフを行使したケース。売主は既に他の購入予定者に断りを入れていたが、解除は有効。手付金は全額返還が必要。
業界関連性
不動産業界では、クーリング・オフを考慮した契約手続きの標準化が進んでいる。契約書への明記、説明義務の履行、解除時の対応マニュアル整備が必須。
ニュース連動
近年、不動産投資の勧誘トラブルが増加。クーリング・オフ制度の重要性が再認識されている。消費者庁も不動産取引のクーリング・オフについて注意喚起を実施。
解説は、まだ続きます
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