令和3年(2021)本試験
問143
クーリング・オフ過去問
この問題の全体像
宅建業法37条の2に基づくクーリング・オフ制度の適用要件と期間制限に関する問題。売主が宅建業者で買主が非業者の場合における、クーリング・オフの告知方法(書面交付の要否)、期間の起算点、解除の効力発生時期、適用除外の場所等の論点を総合的に問う。
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない法人B又は宅地建物取引業者ではない個人Cをそれぞれ買主とする土地付建物の売買契約を締結する場合において、宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において、買主は本件売買契約に係る代金の全部を支払ってはおらず、かつ、土地付建物の引渡しを受けていないものとする。
- 1Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、その8日後にAの事務所で契約を締結したが、その際クーリング・オフについて書面の交付を受けずに告げられた。この場合、クーリング・オフについて告げられた日から8日後には、Bはクーリング・オフによる契約の解除をすることができない。
- 2Bは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、その3日後にAの事務所でクーリング・オフについて書面の交付を受け、告げられた上で契約を締結した。この書面の中で、クーリング・オフによる契約の解除ができる期間を14日間としていた場合、Bは、その書面を交付された日から12日後であっても契約の解除をすることができる。
- 3Cは、Aの仮設テント張りの案内所で買受けの申込みをし、その3日後にAの事務所でクーリング・オフについて書面の交付を受け、告げられた上で契約を締結した。Cは、その書面を受け取った日から起算して8日目に、Aに対しクーリング・オフによる契約の解除を行う旨の文書を送付し、その2日後にAに到達した。この場合、Aは契約の解除を拒むことができない。
- 4Cは、Aの事務所で買受けの申込みをし、その翌日、喫茶店で契約を締結したが、Aはクーリング・オフについて告げる書面をCに交付しなかった。この場合、Cはクーリング・オフによる契約の解除をすることができない。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
宅建業法37条の2に基づくクーリング・オフ制度の適用要件と期間制限に関する問題。
この問題は、5 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
宅建業法37条の2に基づくクーリング・オフ制度の適用要件と期間制限に関する問題。売主が宅建業者で買主が非業者の場合における、クーリン…
03
知識背景
クーリング・オフ制度は、非業者の買主を保護するため、特定の場所(事務所以外、仮設テント等)での申込み・契約について、書面交付から8日…
04
覚え方
「書面交付で8日スタート、口頭だけじゃ動かない」「事務所申込みは対象外、テント・車・訪問は対象」「発信主義で解除成立」
05
試験のコツ
適用場所の判定(事務所か否か)
・期間の起算点と書面交付の要否
・解除の効力発生時期(発信主義)
・適用除外(代金支払・引渡し)
06
実務での見え方
モデルルームや現地案内所での契約時、宅建業者は必ずクーリング・オフについて書面で告知する義務がある。口頭説明のみでは期間が進行せず、…
02深度分析
要約
宅建業法37条の2に基づくクーリング・オフ制度の適用要件と期間制限に関する問題。売主が宅建業者で買主が非業者の場合における、クーリング・オフの告知方法(書面交付の要否)、期間の起算点、解除の効力発生時期、適用除外の場所等の論点を総合的に問う。
法的根拠
宅建業法第37条の2第1項宅建業法第37条の2第2項宅建業法第37条の2第4項宅建業法第37条の2第1項各号
論理の流れ
まず各選択肢の申込み場所と契約場所を確認し、クーリング・オフ適用の有無を判断。次に、書面交付の有無から期間進行の可否を判定。選択肢1は口頭のみの告知で書面交付がないため期間が進行せず、8日後でも解除可能なため誤りと判断。他選択肢は期間延長特約、発信主義、事務所申込み除外の各原則通り正しい。
重要な区別
クーリング・オフ期間の起算点は「書面交付を受けた日」であり、口頭のみの告知では期間は進行しない。この「書面交付」の要件が最も重要な判断ポイント。
各選択肢のポイント
- 書面交付がないため期間は進行せず、口頭告知から8日後でも解除可能。したがって「解除できない」とする記述は誤り。
- 業者が8日を超える期間を定めた場合はその期間が適用されるため、14日間の特約があれば12日後でも解除可能。
- クーリング・オフ解除は発信主義(書面発信時に効力発生)のため、8日目の発信で有効な解除となり、業者は拒めない。
- 事務所での申込みはクーリング・オフ対象外(37条の2第1項参照)。喫茶店での契約締結のみでは適用されない。
03知識背景
テーマ概要
クーリング・オフ制度は、非業者の買主を保護するため、特定の場所(事務所以外、仮設テント等)での申込み・契約について、書面交付から8日間の無条件解除を認める制度。適用場所、期間計算、告知方法、解除方法等の要件が法定されている。
歴史的背景
クーリング・オフ制度は1971年の宅建業法改正で導入。当初は8日間であったが、消費者保護の観点から要件が明確化。書面交付の要件は期間進行の前提として重要であり、口頭告知のみでは期間が進行しないことが明文化されている。
関連法令
宅建業法第37条の2宅建業法第37条の2第1項宅建業法第37条の2第2項宅建業法第37条の2第4項消費者契約法
体系的位置づけ
宅建業法の「8種制限」の中で最も出題頻度が高い論点の一つ。手付金額の制限、手付解除等と並ぶ重要分野。毎年何らかの形で出題される可能性が高い。
前提知識
クーリング・オフの適用場所(事務所等、仮設テント、移動販売車等)、期間の起算点(書面交付日)、解除の方法(書面発信主義)、適用除外(代金全額支払・引渡済み)等の基本知識が必要。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「書面交付で8日スタート、口頭だけじゃ動かない」「事務所申込みは対象外、テント・車・訪問は対象」「発信主義で解除成立」
ビジュアル描写
タイムラインをイメージ:申込み→契約→書面交付(ここが起算点)→8日以内に書面発信→解除成立。書面交付がないとタイムラインが動き出さない。
重要公式
書面交付日+8日=解除可能期間(業者が長く定めたらその期間)。口頭のみ=期間進行なし。
関連連想
「クーリング・オフ」=「書面で冷やす」。口頭だけでは冷えない(期間が進まない)。事務所は涼しいから対象外。
比較表
【適用場所】事務所申込み→対象外/仮設テント・移動車・訪問→対象【期間】書面交付日から8日/業者が長く定めたらその期間【解除】発信主義/到達不要
05試験テクニック
出題頻度
毎年出題。クーリング・オフは宅建試験の最重要論点の一つで、必ず何らかの形で問われる。
重要度
A:最重要。宅建業法の中でも出題頻度が高く、実務でも頻繁に関わる制度のため確実に理解が必要。
出題パターン
- 適用場所の判定(事務所か否か)
- 期間の起算点と書面交付の要否
- 解除の効力発生時期(発信主義)
- 適用除外(代金支払・引渡し)
解法・消去法
「事務所で申込み」→即座にクーリング・オフ不適用と判断。「書面交付なし」→期間進行せずと判断。これらで選択肢を素早く評価。
時間戦略
クーリング・オフ問題は基本パターンが決まっているため、1問1分程度で解答可能。書面交付の有無と場所の確認を最初に行う。
06実務応用
実務シナリオ
モデルルームや現地案内所での契約時、宅建業者は必ずクーリング・オフについて書面で告知する義務がある。口頭説明のみでは期間が進行せず、買主が後から解除を主張できるリスクが残る。
実務への影響
実務では、クーリング・オフ説明書を重要事項説明書とは別に交付し、交付日を明確に記録することが必須。交付証の署名押印を徹底する必要がある。
ケーススタディ
買主がモデルルームで契約後、7日目に電話で解除を申し出たが、業者が「書面でないと無効」と主張したケース。実際は電話での意思表示でも有効だが、証明のため書面での確認を求めるのが実務的。
業界関連性
不動産業界ではクーリング・オフ対応が日常業務。適切な書面交付と記録管理は業者の義務であり、違反には業務停止等の行政処分が科される。
ニュース連動
近年の消費者保護強化の流れの中で、クーリング・オフ制度の周知がより重視されている。不動産通販やオンライン契約への適用も議論されている。
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