令和3年(2021)本試験

239

クーリング・オフ過去問

この問題の全体像

本問は宅建業法37条の2に基づくクーリング・オフ制度において、売主が買主に対して交付すべき告知書面の法定記載事項に関する知識を問う問題である。8種制限の中でも特に重要なクーリング・オフの告知義務とその書面の記載内容の正誤判定が核心である。

令和3年239
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者Bの媒介により、宅地建物取引業者ではないCを買主とするマンションの売買契約を締結した場合における宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフについて告げるときに交付すべき書面(以下この問において「告知書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
  • 1告知書面には、クーリング・オフによる買受けの申込みの撤回又は売買契約の解除があったときは、Aは、その買受けの申込みの撤回又は売買契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができないことを記載しなければならない。
  • 2告知書面には、クーリング・オフについて告げられた日から起算して8日を経過するまでの間は、Cが当該マンションの引渡しを受け又は代金の全部を支払った場合を除き、書面によりクーリング・オフによる買受けの申込みの撤回又は売買契約の解除を行うことができることを記載しなければならない。
  • 3告知書面には、Cがクーリング・オフによる売買契約の解除をするときは、その旨を記載した書面がAに到達した時点で、その効力が発生することを記載しなければならない。
  • 4告知書面には、A及びBの商号又は名称及び住所並びに免許証番号を記載しなければならない。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
本問は宅建業法37条の2に基づくクーリング・オフ制度において、売主が買主に対して交付すべき告知書面の法定記載事項に関する知識を問う問題である。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
本問は宅建業法37条の2に基づくクーリング・オフ制度において、売主が買主に対して交付すべき告知書面の法定記載事項に関する知識を問う問…
03
知識背景
クーリング・オフは、宅建業者が自ら売主となる新築マンション等の売買において、買主を保護するため8日間以内の無条件解除を認める制度。告…
04
覚え方
告知書面の記載事項は「損害請求不可・代金返還義務・解除権発生時期」の3点セット。「損返解(そんへんかい)」で覚える。媒介業者の情報は…
05
試験のコツ
告知書面の記載事項の正誤判定 ・クーリング・オフ期間の起算点 ・引渡し・代金支払完了による例外の適用有無 ・発信主義と到達主義の区別
06
実務での見え方
新築マンション販売現場では、契約時に必ず告知書面を交付する。記載事項を欠くと告知日が確定せず、買主が数ヶ月後でもクーリング・オフを主…
07
よくある間違い
{"mistake":"引渡し又は代金支払のいずれかでクーリング・オフができなくなると思い込む","why_wrong":"条文の「…
02深度分析
要約
本問は宅建業法37条の2に基づくクーリング・オフ制度において、売主が買主に対して交付すべき告知書面の法定記載事項に関する知識を問う問題である。8種制限の中でも特に重要なクーリング・オフの告知義務とその書面の記載内容の正誤判定が核心である。
法的根拠
宅建業法第37条の2第1項宅建業法第37条の2第3項宅建業法第37条の2第4項宅建業法施行規則第16条の12
論理の流れ
まず、宅建業法37条の2第3項が定める告知書面の法定記載事項を正確に把握する。同項は、損害賠償・違約金請求不可、代金返還義務、解除権の発生時期等の記載を義務付けている。各選択肢を条文の規定と照らし合わせ、法定記載事項として正しい内容かを判断する。選択肢1は条文の規定通り正しい記述である。
重要な区別
告知書面の法定記載事項と、クーリング・オフ制度自体の要件・効果を混同しないことが重要。告知書面に「記載すべき事項」と「制度の実際の内容」は必ずしも一致しない点に注意が必要。
各選択肢のポイント
  • 宅建業法37条の2第3項1号が、損害賠償・違約金を請求できない旨の記載を義務付けており、条文通り正しい。
  • 引渡し又は代金全額支払のいずれか一方でクーリング・オフができなくなる記載は誤り。両方完了してはじめて不可となる。
  • クーリング・オフの解除は発信主義(書面発信時効力発生)であり、到達主義ではないため、記載内容として誤り。
  • 告知書面への記載が必要なのは売主Aの情報のみ。媒介業者Bの情報は法定記載事項に含まれない。
03知識背景
テーマ概要
クーリング・オフは、宅建業者が自ら売主となる新築マンション等の売買において、買主を保護するため8日間以内の無条件解除を認める制度。告知書面の交付は売主の義務であり、法定記載事項を欠くと告知日が起算されず、クーリング・オフ期間が進行しない。
歴史的背景
クーリング・オフ制度は1992年の宅建業法改正で導入された。当初は8日間の期間制限のみであったが、その後の改正で引渡し・代金支払完了時の例外規定や告知書面の記載事項が詳細化され、買主保護の強化が図られてきた。
関連法令
宅建業法第37条の2宅建業法施行規則第16条の12宅建業法第47条(罰則規定)消費者契約法第4条
体系的位置づけ
宅建業法の8種制限の中で、唯一の「契約解除権」に関する規定として位置づけられる。他の7種制限が契約締結前の規制であるのに対し、クーリング・オフは契約締結後の救済制度という特徴を持つ。
前提知識
クーリング・オフの対象となる取引(宅建業者が自ら売主、宅建業者以外を買主、宅地建物の売買)、8日間の起算点(告知書面受領日)、発信主義の意義、引渡し・代金支払完了による例外を理解している必要がある。
04記憶テクニック
語呂合わせ
告知書面の記載事項は「損害請求不可・代金返還義務・解除権発生時期」の3点セット。「損返解(そんへんかい)」で覚える。媒介業者の情報は不要と覚える。
ビジュアル描写
告知書面を「買主の盾」としてイメージ。盾には「損害請求不可」「代金返還」「解除権」の3つの紋章が描かれている。媒介業者の紋章はない。
重要公式
告知書面記載事項=損害賠償不可+代金返還+解除権発生時期。クーリング・オフ期間=告知日から8日間。例外=引渡し+代金全額支払の両方完了。
関連連想
クーリング・オフの「オフ」は「解除」の意味。告知書面は「解除の武器」を買主に渡す書面と連想する。
比較表
告知書面記載事項 vs 35条書面記載事項:告知書面はクーリング・オフ固有の内容(損害賠償不可等)、35条書面は取引条件全般。告知書面は売主のみ記載、35条書面は双方の業者情報が必要。
05試験テクニック
出題頻度
クーリング・オフは宅建試験の頻出論点であり、ほぼ毎年何らかの形で出題される。告知書面の記載事項は3〜4年に1回程度の頻度で出題される。
重要度
A:最重要。8種制限の中でも出題頻度が高く、実務でも日常的に遭遇する重要論点であるため、確実に得点すべき。
出題パターン
  • 告知書面の記載事項の正誤判定
  • クーリング・オフ期間の起算点
  • 引渡し・代金支払完了による例外の適用有無
  • 発信主義と到達主義の区別
解法・消去法
「媒介業者の情報が必要」という選択肢は即座に誤りと判断可能。発信主義と到達主義の混同も典型的な誤りパターンとして認識しておく。
時間戦略
告知書面の記載事項は条文の知識で即断可能。各選択肢を条文と照らし合わせ、1分以内に解答を導く。迷ったら条文の規定を想起する。
06実務応用
実務シナリオ
新築マンション販売現場では、契約時に必ず告知書面を交付する。記載事項を欠くと告知日が確定せず、買主が数ヶ月後でもクーリング・オフを主張できるリスクが生じるため、実務では書面の不備に細心の注意を払う。
実務への影響
告知書面の不備は、売主にとって重大なリスクとなる。買主保護の観点から、告知書面の記載事項は厳格に解釈され、不備がある場合のペナルティも重い。
ケーススタディ
某マンション販売業者が告知書面に損害賠償請求不可の記載を漏らした事例。買主は契約から3ヶ月後にクーリング・オフを主張し、裁判所は告知が不十分として認めた。業者は代金全額返還を余儀なくされた。
業界関連性
不動産業界ではクーリング・オフ対応は基本中の基本。告知書面のひな形を整備し、記載事項のチェックリストを運用することが標準的である。
ニュース連動
近年、消費者保護の観点からクーリング・オフ制度の周知が強化されており、国土交通省のガイドラインでも告知書面の重要性が強調されている。
07よくある間違い
引渡し又は代金支払のいずれかでクーリング・オフができなくなると思い込む
なぜ間違えるか:条文の「引渡しを受け、かつ、代金の全部を支払った」を正確に理解していない。「かつ」は両方の条件が必要であることを示す。
クーリング・オフの解除効力発生を到達主義と誤解する
なぜ間違えるか:民法の契約解除(到達主義)と混同している。クーリング・オフは特別の規定により発信主義が採用されている。
媒介業者の情報も告知書面に記載が必要と誤解する
なぜ間違えるか:35条書面の記載事項と混同している。告知書面は売主が交付するものであり、媒介業者の情報は法定記載事項に含まれない。
解説は、まだ続きます
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