令和2年(2020)本試験

232

8つの規制過去問

この問題の全体像

宅建業者が自ら売主として非業者と建物売買契約を締結する場合の8種制限に関する問題。手付解除の制限、クーリング・オフ、割賦販売の解除、手付金保全措置の4論点から正誤を判断する。

令和2年232
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間で建物の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
  • 1AB間の建物の売買契約において、Bが当該契約の履行に着手した後においては、Aは、契約の締結に際してBから受領した手付金の倍額をBに現実に提供したとしても、契約を解除することはできない。
  • 2AB間の建物の売買契約における「法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除の際に、当該契約の締結に際しAがBから受領した手付金は返還しない」旨の特約は有効である。
  • 3AB間の建物の割賦販売の契約において、Bからの賦払金が当初設定していた支払期日までに支払われなかった場合、Aは直ちに賦払金の支払の遅滞を理由として当該契約を解除することができる。
  • 4AB間で工事の完了前に当該工事に係る建物(代金5,000万円)の売買契約を締結する場合、Aは、法第41条に定める手付金等の保全措置を講じた後でなければ、Bから200万円の手付金を受領してはならない。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
宅建業者が自ら売主として非業者と建物売買契約を締結する場合の8種制限に関する問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
宅建業者が自ら売主として非業者と建物売買契約を締結する場合の8種制限に関する問題。手付解除の制限、クーリング・オフ、割賦販売の解除、…
03
知識背景
宅建業法の8種制限は、宅建業者が自ら売主として取引する際に適用される消費者保護規定。手付金等の受領制限、手付解除の制限、損害賠償額の…
04
覚え方
「手付倍返し、業者は履行着手後は不可」「クーリング・オフは8日間、特約無効」「割賦解除は催告必要」「保全は5%超か1,000万超」
05
試験のコツ
手付解除の可否と履行着手の時期 ・クーリング・オフの期間と特約の有効性 ・手付金保全措置の要否と金額判定 ・割賦販売の解除手続
06
実務での見え方
不動産会社が自社開発物件を販売する際、手付金を受領する前に保全措置が必要か判断する場面で活用。また、買主から解約の申し出があった際、…
07
よくある間違い
{"mistake":"手付解除について、業者売主も履行着手前なら解除可能と誤解する。","why_wrong":"宅建業法38条の…
02深度分析
要約
宅建業者が自ら売主として非業者と建物売買契約を締結する場合の8種制限に関する問題。手付解除の制限、クーリング・オフ、割賦販売の解除、手付金保全措置の4論点から正誤を判断する。
法的根拠
宅建業法第38条(手付解除の制限)宅建業法第37条の2(クーリング・オフ)宅建業法第38条の2(割賦販売の解除制限)宅建業法第41条(手付金等の保全措置)民法第557条(手付解除)
論理の流れ
宅建業者が売主の場合、8種制限により手付解除について相手方保護の規定が適用される。民法では履行着手前なら手付解除可能だが、宅建業法38条では業者売主側からの解除を制限。選択肢1は履行着手後の解除不可を問い、民法の原理と宅建業法の特則の関係を理解していれば正解に至る。
重要な区別
宅建業者が売主の場合、業者保護規定(手付解除等)は適用されず、消費者保護規定が優先する。履行着手の有無が手付解除可否の分岐点となる。
各選択肢のポイント
  • 宅建業法38条2項により、相手方が履行に着手した後は、業者売主は手付倍返しによる解除ができない。正しい。
  • クーリング・オフ規定は強行法規であり、手付金を返還しない旨の特約は無効。書面交付から8日間は無条件解除可能。
  • 割賦販売の解除には、宅建業法38条の2により、相当期間を定めた催告が必要。直ちに解除することはできない。
  • 代金5,000万円の5%は250万円。200万円は5%未満のため、保全措置なしで受領可能。1,000万円超でもない。
03知識背景
テーマ概要
宅建業法の8種制限は、宅建業者が自ら売主として取引する際に適用される消費者保護規定。手付金等の受領制限、手付解除の制限、損害賠償額の予定制限、割賦販売の解除制限、クーリング・オフなど8つの制限がある。
歴史的背景
8種制限は昭和27年の宅建業法制定時から存在。消費者保護の観点から逐次改正され、クーリング・オフは平成8年に新設、手付金保全は段階的に強化されてきた。
関連法令
宅建業法第37条(重要事項説明)宅建業法第37条の2(クーリング・オフ)宅建業法第38条(手付解除等の制限)宅建業法第41条(手付金等の保全措置)民法第557条(手付解除)
体系的位置づけ
宅建業法の「業務規制」の中核的分野。業者が売主となる取引の特殊性を理解する必須論点。毎年必ず出題される最重要分野の一つ。
前提知識
民法の手付解除(解約手付)、履行の着手の意味、クーリング・オフ制度の趣旨、手付金保全措置の要件(5%超または1,000万円超)、割賦販売の特則を理解している必要がある。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「手付倍返し、業者は履行着手後は不可」「クーリング・オフは8日間、特約無効」「割賦解除は催告必要」「保全は5%超か1,000万超」
ビジュアル描写
「履行着手」という境界線を引く。左側(着手前)は消費者も業者も手付解除可。右側(着手後)は消費者のみ解除可、業者は不可。
重要公式
保全措置必要額=代金×5%超 または 1,000万円超。どちらか満たせば保全必要。
関連連想
8種制限は「消費者守る8つの盾」。業者が売主の時だけ適用。買主の時は適用なし。
比較表
民法:履行着手前なら双方手付解除可/宅建業法:業者売主は相手方履行着手後は解除不可/消費者は履行着手後も解除可
05試験テクニック
出題頻度
毎年出題される最重要論点。8種制限から1〜2問は必ず出題される。
重要度
A:最重要。宅建業法の中核的分野であり、実務でも頻繁に関わる。確実に得点すべき。
出題パターン
  • 手付解除の可否と履行着手の時期
  • クーリング・オフの期間と特約の有効性
  • 手付金保全措置の要否と金額判定
  • 割賦販売の解除手続
解法・消去法
「直ちに」「ただちに」は要注意。手続を省略する記述は誤りが多い。特約で消費者不利にする条項は無効と疑う。
時間戦略
8種制限問題は知識があれば1問1分以内で解答可能。数字と要件を即座に判断できるよう反復練習を。
06実務応用
実務シナリオ
不動産会社が自社開発物件を販売する際、手付金を受領する前に保全措置が必要か判断する場面で活用。また、買主から解約の申し出があった際、手付解除が可能か判断する際にも重要。
実務への影響
業者が守るべきルールとして実務に直結。違反すれば業務停止処分や免許取消の対象となり、会社の存続に関わる。
ケーススタディ
新築分譲マンション5,000万円の販売。手付金200万円を受領する際、5%は250万円なので保全不要。しかし300万円なら保全措置が必要。この境界判定が実務で頻発する。
業界関連性
不動産販売業務の基礎知識。契約書作成、重要事項説明、手付金受領の全場面で8種制限の知識が必須。
ニュース連動
消費者契約法改正や宅建業法改正との関連で、消費者保護規定の強化が議論されており、8種制限の重要性が増している。
07よくある間違い
手付解除について、業者売主も履行着手前なら解除可能と誤解する。
なぜ間違えるか:宅建業法38条の規定を民法の原則と混同している。業者売主は相手方履行着手後は解除不可。
手付金保全措置の要件で5%と1,000万円の両方満たす必要があると誤解する。
なぜ間違えるか:「または」の条件を「かつ」と読み間違えている。
クーリング・オフの特約で消費者に不利な内容を有効と判断する。
なぜ間違えるか:クーリング・オフは強行規定であることを理解していない。
解説は、まだ続きます
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