令和7年(2025)本試験
問32
8つの規制過去問
この問題の全体像
宅建業者が自ら売主として宅建業者でない買主と売買契約を締結する際の8種制限に関する問題。手付金等の保全措置、手付解除、損害賠償の予定額の制限について、工事完了前後の違いを正確に理解する必要がある。
宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間でマンション(代金4,000万円)の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反しないものはどれか。
- 1Aは、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結する際にBから手付金200万円を受領し、さらに建築工事中に200万円を中間金として受領した後、当該手付金と中間金について法第41条に定める保全措置を講じた。
- 2Aは、建築工事完了後のマンションの売買契約を締結する際に、法第41条の2に定める保全措置を講じることなくBから手付金400万円を受領した。
- 3Aは、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結する際にBから手付金500万円を受領したが、Bに債務不履行がないにもかかわらず当該手付金500万円を返還して、契約を一方的に解除した。
- 4Aは、建築工事完了後のマンションの売買契約を締結する際に、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を1,000万円とする特約を定めた。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
宅建業者が自ら売主として宅建業者でない買主と売買契約を締結する際の8種制限に関する問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
宅建業者が自ら売主として宅建業者でない買主と売買契約を締結する際の8種制限に関する問題。手付金等の保全措置、手付解除、損害賠償の予定…
03
知識背景
8種制限は宅建業者が自ら売主として宅建業者でない者と取引する際の特別規制。手付金等の保全措置、手付の額の制限、損害賠償の予定額の制限…
04
覚え方
保全は「前5後なし」:工事完了前は5%超で保全必要、完了後は自ら売主なら保全不要。損害賠償は「2割が限界」:代金の20%が上限。手付…
05
試験のコツ
工事完了前後の保全措置の要否を問う問題
・手付解除ができるのは誰かを問う問題
・損害賠償予定額の上限を計算させる問題
・各制限の組み…
06
実務での見え方
新築マンションの販売現場では、工事完了前の販売(プレ販売)が一般的。この際、買主から受領する手付金について、売主であるデベロッパーは…
07
よくある間違い
{"mistake":"工事完了後でも保全措置が必要だと誤解する","why_wrong":"媒介の場合(第41条の2)と混同してい…
02深度分析
要約
宅建業者が自ら売主として宅建業者でない買主と売買契約を締結する際の8種制限に関する問題。手付金等の保全措置、手付解除、損害賠償の予定額の制限について、工事完了前後の違いを正確に理解する必要がある。
法的根拠
宅建業法第41条(工事完了前の保全措置)宅建業法第41条の2(媒介の場合の保全措置)宅建業法第38条(損害賠償の予定額の制限)宅建業法第39条(手付解除等の制限)
論理の流れ
選択肢1は工事完了前で保全措置は受領前に講じる必要があり、受領後の保全は違反。選択肢2は工事完了後の自ら売主の場合、保全措置義務自体がないため適法。選択肢3は買主に債務不履行がないのに売主が手付を返還して解除するのは違反。選択肢4は代金4000万円の20%は800万円で、1000万円は超過し違反。
重要な区別
最も重要な区別は「工事完了前後」による保全措置義務の有無。自ら売主として工事完了後の物件を販売する場合、保全措置の義務は発生しない。これは買主が実在する物件の登記情報を確認できるため。
各選択肢のポイント
- 工事完了前の手付金等の保全措置は受領前に講じる必要がある。受領後に保全措置を講じたのは法第41条違反。
- 工事完了後の物件で自ら売主として販売する場合、保全措置の義務はない。したがって400万円を受領しても違反しない。
- 法第39条により、売主は買主の債務不履行がない限り、手付を返還して契約を解除できない。本肢は違反。
- 法第38条により損害賠償の予定額は代金の20%が上限。4000万円の20%は800万円で、1000万円は超過し違反。
03知識背景
テーマ概要
8種制限は宅建業者が自ら売主として宅建業者でない者と取引する際の特別規制。手付金等の保全措置、手付の額の制限、損害賠償の予定額の制限、契約の解除に関する制限など8つの制限があり、買主保護が目的。
歴史的背景
8種制限は昭和45年の宅建業法改正で導入。その後、昭和57年改正で手付金等の保全措置が強化され、平成16年改正で媒介の場合の保全措置が追加されるなど、買主保護の観点から段階的に強化されてきた。
関連法令
宅建業法第36条(重要事項説明)宅建業法第37条(書面交付)宅建業法第38条(損害賠償額の予定の制限)宅建業法第39条(手付等の額の制限等)宅建業法第41条(手付金等の保全措置)
体系的位置づけ
宅建試験の「業法」分野における中核論点。8種制限は毎年何らかの形で出題される最重要テーマで、特に保全措置と手付解除は頻出。正誤判定問題の定番。
前提知識
民法の手付の性質(解約手付、違約手付、証約手付)、契約解除の効果、抵当権の優先順位、建物の区分所有に関する法律の基礎知識が必要。また、工事完了前後の区分も重要。
04記憶テクニック
語呂合わせ
保全は「前5後なし」:工事完了前は5%超で保全必要、完了後は自ら売主なら保全不要。損害賠償は「2割が限界」:代金の20%が上限。手付解除は「買主のみ」:売主は債務不履行時以外は解除不可。
ビジュアル描写
物件の完成状態をイメージ。完成前は「絵」の状態で実在しないため保全必要。完成後は「実物」があり登記確認可能なので自ら売主の場合は保全不要。媒介は第三者としての責任が重い。
重要公式
代金×5%=保全措置の基準額/代金×20%=損害賠償予定額の上限/代金×20%=手付の上限/保全措置=銀行保証、保険等
関連連想
「自ら売主」は自分の物件を売るので責任が明確。工事後は実物があるから買主も確認できる。媒介は他人の物件だから責任が重く、完了後でも保全が必要。
比較表
工事完了前:保全措置必要(5%超)/工事完了後:自ら売主なら保全不要/媒介の場合:完了後でも保全必要(5%超)/損害賠償:20%上限/手付解除:買主は可能、売主は不可(債務不履行時除く)
05試験テクニック
出題頻度
毎年出題。8種制限は宅建試験の最頻出論点の一つで、必ず1問は出題される。保全措置、手付解除、損害賠償の3つは特に重要。
重要度
A:最重要。8種制限は宅建試験の核心的分野で、実務でも日常的に関わる内容。確実に得点すべき。
出題パターン
- 工事完了前後の保全措置の要否を問う問題
- 手付解除ができるのは誰かを問う問題
- 損害賠償予定額の上限を計算させる問題
- 各制限の組み合わせで違反の有無を問う問題
解法・消去法
「工事完了後」で「自ら売主」なら保全措置違反の選択肢は正解候補。逆に「工事完了前」で保全措置なしなら即×。損害賠償は20%超えなら即×。
時間戦略
8種制限の問題は知識があれば1分以内で解ける。まず「工事完了前後」と「自ら売主か媒介か」を確認し、各制限の数値(5%、20%)を暗記していれば即答可能。
06実務応用
実務シナリオ
新築マンションの販売現場では、工事完了前の販売(プレ販売)が一般的。この際、買主から受領する手付金について、売主であるデベロッパーは保全措置を講じる必要がある。銀行保証や保険への加入が実務の標準。
実務への影響
保全措置の義務により、買主は売主の倒産時でも手付金を回収できる。この制度により、消費者は安心して未完成物件を購入できる。実務では保全措置の証明書を買主に交付することが一般的。
ケーススタディ
某デベロッパーが工事完了前のマンションを販売し、手付金を受領したが保全措置を講じていなかった。その後デベロッパーが倒産し、買主が手付金を回収できない事態が発生。このような事例を防ぐための制度。
業界関連性
不動産業界では保全措置のコストが販売価格に影響。また、損害賠償予定額の上限は契約書作成の実務で常に意識される。8種制限は日常業務の基礎知識。
ニュース連動
近年、大型デベロッパーの倒産や、工事途中の物件の販売トラブルが話題に。買主保護の観点から保全措置の重要性が再認識されている。サブリース問題とも関連。
07よくある間違い
工事完了後でも保全措置が必要だと誤解する
なぜ間違えるか:媒介の場合(第41条の2)と混同している。自ら売主として工事完了後の物件を販売する場合、保全措置義務はない。
正しい理解:「自ら売主」vs「媒介」、「完了前」vs「完了後」の2軸で整理して覚える。自ら売主・完了後は保全なし。
損害賠償予定額の上限を代金の5%と間違える
なぜ間違えるか:保全措置の基準(5%)と混同している。損害賠償の予定額の上限は代金の20%。
正しい理解:「保全は5%、ペナルティ系は20%」と覚える。損害賠償と手付はペナルティ系で20%。
売主も手付解除できると誤解する
なぜ間違えるか:民法の手付解除の原則(双方が可能)をそのまま適用している。宅建業法では売主の手付解除を制限している。
正しい理解:「手付解除は買主の権利」と覚える。売主は債務不履行時以外は解除不可。8種制限は買主保護が目的。
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