令和3年(2021)本試験
問202
連帯債務過去問
この問題の全体像
連帯債務における絶対的効力事由と相対的効力事由の区別を問う問題。裁判上の請求、相殺、免除、更改が各連帯債務者にどのような影響を与えるかを理解しているかが鍵となる。
債務者A、B、Cの3名が、内部的な負担部分の割合は等しいものとして合意した上で、債権者Dに対して300万円の連帯債務を負った場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
- 1DがAに対して裁判上の請求を行ったとしても、特段の合意がなければ、BとCがDに対して負う債務の消滅時効の完成には影響しない。
- 2BがDに対して300万円の債権を有している場合、Bが相殺を援用しない間に300万円の支払の請求を受けたCは、BのDに対する債権で相殺する旨の意思表示をすることができる。
- 3DがCに対して債務を免除した場合でも、特段の合意がなければ、DはAに対してもBに対しても、弁済期が到来した300万円全額の支払を請求することができる。
- 4AとDとの間に更改があったときは、300万円の債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
連帯債務における絶対的効力事由と相対的効力事由の区別を問う問題。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
連帯債務における絶対的効力事由と相対的効力事由の区別を問う問題。裁判上の請求、相殺、免除、更改が各連帯債務者にどのような影響を与える…
03
知識背景
連帯債務とは、複数の債務者が同一内容の給付について各自が独立して全額の履行責任を負う制度。債権者は任意の債務者に全額請求可能。各債務…
04
覚え方
絶対的効力は「更免相混債不行」:更改、免除、相殺、混同、債務免除、不行使宣言。相対的効力は「裁支差」:裁判上請求、支払猶予、差押え。
05
試験のコツ
絶対的効力事由の列挙問題
・相殺援用権の帰属問題
・免除の範囲と効果の問題
06
実務での見え方
不動産売買で複数の買主が連帯して代金債務を負う場合。一人が債権者に対して反対債権を有していても、他の買主はその相殺を主張できない。各…
07
よくある間違い
{"mistake":"相殺の絶対的効力があるから、他の連帯債務者も相殺を援用できると誤解する。","why_wrong":"絶対的…
02深度分析
要約
連帯債務における絶対的効力事由と相対的効力事由の区別を問う問題。裁判上の請求、相殺、免除、更改が各連帯債務者にどのような影響を与えるかを理解しているかが鍵となる。
法的根拠
民法434条(時効の絶対的効力)民法435条(裁判上請求の相対的効力)民法436条(相殺の絶対的効力)民法437条(免除の絶対的効力)民法438条(更改の絶対的効力)
論理の流れ
連帯債務の効力には、全債務者に影響する絶対的効力事由と、当該債務者にのみ影響する相対的効力事由がある。選択肢2では、相殺権を有するのはB本人のみで、CがBの債権で相殺することは認められない。民法436条は相殺の絶対的効力を認めるが、相殺を援用できるのは債権を有する債務者本人に限られる。これに対し、裁判上の請求は相対的効力、免除と更改は絶対的効力を持つ。
重要な区別
絶対的効力事由(更改、免除、相殺等)と相対的効力事由(裁判上の請求等)の区別。また、相殺の絶対的効力が認められても、相殺を援用できるのは債権を有する本人のみという点。
各選択肢のポイント
- 民法435条により、裁判上の請求は時効中断の効力を生じるが、その効力は請求を受けた債務者にのみ及ぶ相対的効力であるため正しい。
- 相殺を援用できるのは債権を有する連帯債務者本人のみ。CはBの債権で相殺することはできず、これが誤りである。
- 民法437条により、免除は絶対的効力を持つが、その範囲は免除された債務者の負担部分(100万円)に限られる。残り200万円は請求可能。
- 民法438条により、更改は絶対的効力を持ち、債権は全連帯債務者の利益のために消滅するため正しい。
03知識背景
テーマ概要
連帯債務とは、複数の債務者が同一内容の給付について各自が独立して全額の履行責任を負う制度。債権者は任意の債務者に全額請求可能。各債務者間の内部的負担部分とは別に、対外的には全額責任を負う。絶対的効力事由と相対的効力事由の区別が実務上重要。
歴史的背景
連帯債務制度はローマ法に起源を持ち、日本民法はフランス法の影響を受けた。2017年改正民法では、求償権の行使や免責的債務引受との関係などが整理され、絶対的効力事由の範囲が明確化された。
関連法令
民法432条(連帯債務者の履行)民法444条(連帯債務者の一人に対する免除等)民法458条(連帯保証)民法461条(保証人の求償権)
体系的位置づけ
民法債権総則の核心的分野。宅建試験では頻出論点で、連帯債務と連帯保証の違い、絶対的効力事由の暗記が必須。毎年何らかの形で出題される重要事項。
前提知識
連帯債務の基本構造(対外関係と内部関係の区別)、絶対的効力事由の列挙事項、相殺の要件と効果、更改の意味、消滅時効の中断事由を理解している必要がある。
04記憶テクニック
語呂合わせ
絶対的効力は「更免相混債不行」:更改、免除、相殺、混同、債務免除、不行使宣言。相対的効力は「裁支差」:裁判上請求、支払猶予、差押え。
ビジュアル描写
3人の連帯債務者を円の中心に配置し、債権者からの矢印が各々に伸びる。絶対的効力は全員に波及する波紋、相対的効力は一人だけに当たる矢印でイメージ。
重要公式
絶対的効力=全員に影響、相対的効力=本人のみ影響。相殺援用権=債権を有する本人のみ。
関連連想
相殺は「自分の債権で自分の債務を消す」行為。他人の債権では相殺できないという基本原則を連想。
比較表
連帯債務vs連帯保証:連帯債務は複数の主債務、連帯保証は従たる債務。連帯債務は絶対的効力事由多数、連帯保証は主債務者の事由が保証人に影響。
05試験テクニック
出題頻度
連帯債務の効力は毎年何らかの形で出題される頻出論点。絶対的効力事由と相対的効力事由の区別は必須知識。
重要度
A:最重要。連帯債務は民法全体の中核であり、宅建実務でも保証契約と並んで頻繁に遭遇する。理解不足は致命的。
出題パターン
- 絶対的効力事由の列挙問題
- 相殺援用権の帰属問題
- 免除の範囲と効果の問題
解法・消去法
「本人でない者が他人の権利を行使できる」という記述は原則として誤り。相殺、解除等の形成権行使は本人に限られることが多い。
時間戦略
絶対的・相対的効力の区別を瞬時に判断できるよう暗記。各選択肢について条文番号を思い出しながら検証。2分以内で解答可能。
06実務応用
実務シナリオ
不動産売買で複数の買主が連帯して代金債務を負う場合。一人が債権者に対して反対債権を有していても、他の買主はその相殺を主張できない。各自が独立して相殺権を行使する必要がある。
実務への影響
連帯債務者の一人が相殺権を有する場合、その者が相殺を援用しないと、他の連帯債務者が全額支払わされる可能性がある。事前の情報共有と協力が重要。
ケーススタディ
A、B、Cが連帯して300万円の借金を負った。BだけがDに対して別の債権を持っているが、Bが相殺を主張しないまま放置。CがDから全額請求され、支払った後、CはBに求償できるが、Bの相殺不行使が問題となる。
業界関連性
不動産取引では連帯債務の設定が一般的。共同購入、親子ローン等で頻繁に活用される。実務家は絶対的効力の範囲を正確に理解する必要がある。
ニュース連動
個人保証の見直しと連帯債務の活用が注目されている。中小企業の融資において、連帯債務の活用により保証人制度の弊害を緩和する動きがある。
07よくある間違い
相殺の絶対的効力があるから、他の連帯債務者も相殺を援用できると誤解する。
なぜ間違えるか:絶対的効力は「相殺が行われた場合」に他の債務者も利益を受けるという意味で、相殺権自体は債権を有する本人にしかない。
正しい理解:「相殺の効力」と「相殺権の帰属」を明確に区別する。権利行使は本人に限られるのが原則。
免除の絶対的効力により、全額が免除されると誤解する。
なぜ間違えるか:免除の絶対的効力は、免除された債務者の負担部分に限られる。他の債務者の負担部分までは免除されない。
正しい理解:絶対的効力の範囲は「負担部分」まで。全額ではないことを明確に意識する。
裁判上の請求も絶対的効力を持つと誤解する。
なぜ間違えるか:民法435条は裁判上の請求を相対的効力として明記。時効中断の効力は請求を受けた債務者にのみ及ぶ。
正しい理解:「時効完成」は絶対的効力、「時効中断(裁判上請求)」は相対的効力と区別して記憶。
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