宅建コーチ
権利関係数年に 1 回過去 37 年で 6 回出題

委任契約

委任契約は、当事者の一方(委任者)が相手方(受任者)に法律行為をすることを委託し、相手方がこれを承諾することによって成立する諾成・片務・無償契約です(民法643条)。信頼関係を基礎とする契約であり、そのため各当事者はいつでも解除することができます(民法651条)。受任者は善良な管理者の注意義務を負います(民法644条)。

民法643条(委任の定義)民法644条(受任者の注意義務)民法645条(受任者の報告義務)

重要度: 重要

要点
委任契約は、当事者の一方(委任者)が相手方(受任者)に法律行為をすることを委託し、相手方がこれを承諾することによって成立する諾成・片務・無償契約です(民法643条)。信頼関係を基礎とする契約であり、そのため各当事者はいつでも解除することができます(民法651条)。受任者は善良な管理者の注意義務を負います(民法644条)。
体系における位置づけ
民法(権利関係)は宅建試験の4科目の中で最も難易度が高く、契約法分野は特に重要です。委任契約は典型契約の一つとして、契約の成立、当事者の権利義務、契約の終了など多岐にわたる知識が求められます。他の典型契約(請負、寄託など)との比較理解も不可欠です。
ルールの詳細
委任契約の目的は「法律行為」をすることであり、事実行為を委託する場合は準委任契約(民法656条)となります。 ・委任は原則として無償契約ですが、特約で報酬を定めた場合は有償となり、報酬請求権が認められます(民法648条1項)。 ・受任者は委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負います(民法644条)。 ・受任者は委任事務を処理するにあたって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければなりません(民法646条)。 ・委任事務を処理するために必要な費用は、委任者が前払いしなければなりません(民法650条1項)。 ・委任は各当事者がいつでも解除することができますが、相手方に不利な時期に解除した場合は損害賠償責任を負います(民法651条)。 ・委任者が破産手続開始の決定を受けたときは、委任は終了します(民法653条)。
例外
やむを得ない事由がある場合、委任者に不利な時期であっても解除は可能で、損害賠償責任を負いません(民法651条2項但書)。 ・委任事務の処理が完了した後でも、委任者が破産した場合は委任が終了します(民法653条)。 ・有償の委任において委任者の責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、受任者は報酬全額を請求できます(民法648条3項)。
比較・対照
委任と請負の最大の区別は「結果の完成」が約束の内容かどうかです。委任は事務処理を委託するもので、結果の保証までは約束しません。請負は仕事の完成を約束する点が異なります。
記憶テクニック
「委任は任せる、請負は請け負う」:委任は事務を任せるだけ、請負は結果を請け負うと覚える。 ・「委任無償が原則、特約あれば有償」:委任は原則無償、請負は必ず有償と対比して覚える。 ・「委任は信頼、だから自由解除」:信頼関係が基礎だから、いつでも解除できる。
事例で確認

委任契約」はこう問われる

AはBに対し、A所有の土地を売却する代理権を与え、委任契約を締結した。Bは売却代金を受け取ったが、Aに引き渡さず着服した。AはBに対してどのような請求ができるか。 Bが受け取った売却代金について、AはBにどのような請求ができるか?
結論:AはBに対し、売却代金の返還と、使用期間の利息の支払を請求できます。
民法646条1項により、受任者は委任事務を処理するにあたって受け取った金銭を委任者に引き渡す義務を負います。Bが受け取った売却代金は委任事務の処理として受け取ったものですから、Aに対して引き渡す義務があります。また、同条2項により、自己のために使用したときは、使用した日以後の利息を支払う義務も負います。
押さえる:受任者の交付義務(民法646条)は重要な論点です。受け取った物だけでなく、果実や権利も含めて引き渡す義務があります。
AはBに対し、報酬を支払う特約を付して、建物の売買契約締結の代理を委任した。その後、Aの責めに帰すべき事由により、履行の途中で委任が終了した。 BはAに対して報酬を請求できるか?
結論:BはAに対して報酬全額を請求できますが、免れた債務に相当する利益は償還が必要です。
民法648条3項により、有償の委任において委任者の責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、受任者は報酬全額を請求することができます。ただし、自己の債務を免れたことによって得た利益を委任者に償還しなければなりません。本件ではAの責めによる終了ですから、Bは報酬全額を請求できます。
押さえる:有償委任における委任者帰責事由による終了時の報酬請求権は、判例・条文ともに重要論点です。
試験での狙われ方

出題傾向と対策

出題頻度数年に 1 回
出題実績過去 37 年で 6 回・6 年分・最新 2024 年
重要度B:重要。請負契約との比較で出題されることが多く、契約法分野の基礎知識として必須。
解き方のコツ委任は「無償が原則」「自由解除可能」「法律行為が対象」の3点を確実に押さえてください。請負との比較表を作成して暗記すると効果的です。
よく問われるパターン
  • 委任と請負の区別問題。「仕事の完成」か「事務処理」かを問う形式が多い。
  • 委任の解除に関する問題。自由解除と損害賠償の関係を問う。
  • 受任者の義務(報告義務、交付義務、注意義務)に関する問題。
  • 委任の終了事由(死亡、破産等)に関する問題。
理解度チェック

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Q1【2024年 問2】委任契約・準委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
解答: 正解:4 委任は、当事者の一方が仕事を完成することを相手方に約し、相手方がその仕事の結果に対しその報酬を支払うことを約さなければ、その効力を生じない。 【解説】解説 したがって誤っている記述は[4]です。
Q2【2020年 問205】AとBとの間で締結された委任契約において、委任者Aが受任者Bに対して報酬を支払うこととされていた場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答: 正解:1 Aの責めに帰すべき事由によって履行の途中で委任が終了した場合、Bは報酬全額をAに対して請求することができるが、自己の債務を免れたことによって得た利益をAに償還しなければならない。 【解説】解説 したがって正しい記述は[1]です。
よくある質問

委任契約について

宅建の「委任契約」とは何ですか?
委任契約は、当事者の一方(委任者)が相手方(受任者)に法律行為をすることを委託し、相手方がこれを承諾することによって成立する諾成・片務・無償契約です(民法643条)。信頼関係を基礎とする契約であり、そのため各当事者はいつでも解除することができます(民法651条)。受任者は善良な管理者の注意義務を負います(民法644条)。
「委任契約」は宅建でよく出ますか?
本試験では過去 37 年間で 6 回、6 年分で出題されています。出題傾向は「数年に 1 回」です。
委任契約は、当事者の一方が仕事の完成を約束し、相手方がその報酬を支払うことを約束することによって成立する。
誤り。これは請負契約の定義です。委任契約は法律行為をすることを委託する契約であり、仕事の完成を約束するものではありません(民法643条)。
委任契約は原則として無償契約であるが、当事者の特約によって有償とすることができる。
正しい。民法648条1項により、委任は原則として無償ですが、特約で報酬を定めたときは有償となります。
委任契約において、委任者はいつでも委任を解除することができるが、受任者は解除することができない。
誤り。民法651条1項により、委任は「各当事者」がいつでも解除することができます。受任者も解除可能です。
「委任契約」の覚え方は?
「委任は任せる、請負は請け負う」:委任は事務を任せるだけ、請負は結果を請け負うと覚える。 ・「委任無償が原則、特約あれば有償」:委任は原則無償、請負は必ず有償と対比して覚える。 ・「委任は信頼、だから自由解除」:信頼関係が基礎だから、いつでも解除できる。
2026年の本試験は 10月18日(日)
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