平成2年(1990)本試験

40手付金等の保全措置を講じても、手付金額の上限(代金の20%)を超えて受領することはできない点が最も重要です。

8つの規制過去問

この問題の全体像

この問題は、宅建業者が自ら売主となる場合の規制(8つの規制)に関する理解を問うものです。特に手付金の額の制限(20%ルール)と、契約不適合担保責任の特約、および1990年当時の35条書面と37条書面の記載内容の違いが論点です。

平成2年40
宅地建物取引業者Aは、自ら売主として工事完了前のマンションをBに4,000万円で売却する契約を締結した。この場合において、次の記述のうち、宅地建物取引業法に違反するものはどれか。
  • 1Aは、宅地建物取引業者であるBと、当該マンションが種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任を負う期間について、当該マンションの引渡しの日から1年とする特約を結んだ。
  • 2Aは、宅地建物取引業者でないBに、宅地建物取引業法第41条に規定する手付金等の保全措置の概要について、同法第35条に規定する重要事項として説明したが、同法第37条に規定する書面には記載しなかった。
  • 3Aは、宅地建物取引業者であるBと、売買契約において損害賠償額の予定の定めをしなかったが、Bが債務を履行しなかったので、3,000万円を損害賠償金として受領した。
  • 4Aは、宅地建物取引業者でないBから、手付金として1,000万円を受領し、その際保険事業者と保証保険契約を締結して、当該保険証券をBに交付した。

この問題の詳しい解説

POINT
この問題のポイント
手付金等の保全措置を講じても、手付金額の上限(代金の20%)を超えて受領することはできない点が最も重要です。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
この問題は、宅建業者が自ら売主となる場合の規制(8つの規制)に関する理解を問うものです。特に手付金の額の制限(20%ルール)と、契約…
03
知識背景
この問題は「宅建業者が自ら売主となる場合の規制」を扱っています。これは、宅建業者の優越的地位を利用して買主を不当に害することを防ぐた…
04
覚え方
手付金は「に(2)割(20%)」まで絶対。保全措置をしても「に割」は超えられない。
05
試験のコツ
「業者間取引」を見落として制限に引っかけるパターン ・「手付金等の保全措置」を講じたからといって「20%ルール」を無視したパターン …
06
実務での見え方
不動産会社が新築マンションを販売する際、契約書を作成する段階で、手付金の設定額が代金の20%を超えていないか確認する業務に直結します…
07
よくある間違い
{"mistake":"保全措置を講じれば、手付金の20%ルールを超えても良いと勘違いする。","why_wrong":"保全措置は…
02深度分析
要約
この問題は、宅建業者が自ら売主となる場合の規制(8つの規制)に関する理解を問うものです。特に手付金の額の制限(20%ルール)と、契約不適合担保責任の特約、および1990年当時の35条書面と37条書面の記載内容の違いが論点です。
法的根拠
宅地建物取引業法第39条(手付金等の額の制限)宅地建物取引業法第40条(契約不適合担保責任の特約の制限)宅地建物取引業法第35条(重要事項の説明)宅地建物取引業法第37条(書面の交付)宅地建物取引業法第38条(損害賠償額の予定等の制限)
論理の流れ
まず、売主Aと買主Bの関係(業者か否か)を確認します。選択肢1は業者間取引のため担保責任の特約は自由で違反しません。選択肢2は、当時(1990年)の手付金等の保全措置は35条説明事項でしたが、37条書面への記載義務は1992年の改正で追加されたため、記載しなくても違反しません。選択肢3も業者間取引のため損害賠償額の予定の制限は適用されません。選択肢4では、代金4,000万円に対し手付1,000万円(25%)を受領しています。これは代金の20%(800万円)を超えるため、宅建業法39条に違反します。
重要な区別
手付金等の保全措置を講じても、手付金額の上限(代金の20%)を超えて受領することはできない点が最も重要です。
各選択肢のポイント
  • 業者間取引では、契約不適合担保責任を負う期間についての特約は自由に定めることができ、民法より買主に不利でも有効です。
  • 1990年当時、手付金等の保全措置は35条の重要事項説明には含まれていましたが、37条書面への記載事項ではありませんでした。
  • 業者間取引では、損害賠償額の予定やその倍額に関する制限(38条)は適用されないため、3,000万円の受領も可能です。
  • 手付金の額は代金の20%(800万円)を超えてはなりません。保全措置を講じていても、この20%の上限を超える受領は違法です。
03知識背景
テーマ概要
この問題は「宅建業者が自ら売主となる場合の規制」を扱っています。これは、宅建業者の優越的地位を利用して買主を不当に害することを防ぐための消費者保護規定です。手付金の額の制限、契約不適合担保責任の特約の制限、損害賠償額の予定の制限などが含まれます。
歴史的背景
1990年当時、手付金等の保全措置に関する事項は重要事項(35条)とされていましたが、契約書面(37条)への記載義務はありませんでした。これは1992年の宅建業法改正で37条書面の記載事項に追加されました。
関連法令
民法(契約不適合担保責任、手付)宅地建物取引業法(全般)宅地建物取引業法施行規則
体系的位置づけ
宅建業法の中でも「自ら売主となる場合の規制」は最重要分野の一つであり、毎年のように出題される核心的なパートです。
前提知識
この問題を解くには、8つの規制(手付金額の制限、手付金等の保全、担保責任の特約の制限、損害賠償額の予定の制限など)の内容と、それらが「業者間取引」で適用除外になることを理解している必要があります。
04記憶テクニック
語呂合わせ
手付金は「に(2)割(20%)」まで絶対。保全措置をしても「に割」は超えられない。
ビジュアル描写
売買代金のパイをイメージし、その中の最大2割(20%)までしか手付金として切り取れないイメージを持つ。残りの8割は後払い。
重要公式
手付金の上限 = 売買代金 × 20%
関連連想
「20%」という数字を「二割」と読み、「にわ(2割)の小鳥」が手付金を持って飛んでいくと連想する。
比較表
業者間取引 vs 消費者取引 ・担保責任期間:業者間は自由、消費者は最低2年 ・手付金額:業者間は自由、消費者は20%まで ・損害賠償予定:業者間は自由、消費者は20%まで
05試験テクニック
出題頻度
毎年出題
重要度
A:最重要。8つの規制は宅建試験の頻出論点であり、得点源にする必要がある。
出題パターン
  • 「業者間取引」を見落として制限に引っかけるパターン
  • 「手付金等の保全措置」を講じたからといって「20%ルール」を無視したパターン
  • 「工事完了前」と「工事完了後」の違い(5%ルールなど)を問うパターン
解法・消去法
選択肢に「業者間取引」の記述があれば、原則として規制が適用されないため、その選択肢は「違反しない(正解ではない)」と判断して消去できる。
時間戦略
まず「業者間取引」かどうかを確認し、そうであれば制限がない選択肢を正解候補とし、そうでなければ20%ルール等の数値計算を即座に行う。
06実務応用
実務シナリオ
不動産会社が新築マンションを販売する際、契約書を作成する段階で、手付金の設定額が代金の20%を超えていないか確認する業務に直結します。
実務への影響
20%を超える手付金を受領した契約は無効ではなく、業者側に罰則(監督処分、指示処分)が科されるため、コンプライアンス遵守のために厳密な管理が求められます。
ケーススタディ
売主業者が5,000万円の物件で1,500万円の手付金を受領した場合、30%にあたり違法となります。買主が業者でない限り、この契約は行政処分の対象となります。
業界関連性
不動産取引における契約書作成の基本中の基本であり、実務家にとって必須の知識です。
ニュース連動
近年、住宅販売トラブルに関連して、手付金の返還トラブルがニュースになることがあり、初期段階の金額設定の重要性が再認識されています。
07よくある間違い
保全措置を講じれば、手付金の20%ルールを超えても良いと勘違いする。
なぜ間違えるか:保全措置は「未完成物件の5%ルール」等の例外を認めるものであり、「20%ルール」自体の上限を引き上げるものではないから。
過去問(古い問題)を現在の法律で解こうとして、選択肢2を誤って判断する。
なぜ間違えるか:現在の法制度では37条書面への記載が必要だが、1990年当時は不要だったため、問題文の年代に基づいて判断する必要があるから。
「業者間取引」の例外規定を見落とし、業者間の取引に消費者保護ルールを適用してしまう。
なぜ間違えるか:業者間取引では対等な交渉ができるとみなされるため、8つの規制の多くが適用除外となることを忘れているため。
解説は、まだ続きます
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