平成3年(1991)本試験
問42「所有権移転請求権」が確定的に発生しているか、それとも停止条件が付いているなどして未確定であるかを区別することです。
自己の所有に属しない物件の売買契約締結の制限過去問
この問題の全体像
宅建業者が自ら売主となる場合の「自己の所有に属しない宅地等の売買契約の禁止」(宅建業法33条)に関する出題です。特に、所有権移転の請求権が確定的に発生しているか否かが判断の分かれ目となります。
宅地建物取引業者Aが自ら売主となって宅地の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものは、どれか。
- 1Bの所有地について、Aが、Bの代替地取得を停止条件としてBと売買契約を締結して、自ら売主となって宅地建物取引業者でないCと売買契約を締結した場合
- 2Dの所有地について、Aが、Dと売買契約を締結し、その売買代金完済の前に、自ら売主となって宅地建物取引業者でないEと売買契約を締結した場合
- 3Fの所有地について、Aが、Fと売買契約又は予約契約を締結しないで、自ら売主となって宅地建物取引業者Gと売買契約を締結した場合
- 4Hの所有地について、IがHと売買契約を締結したので、Iの売買代金完済の前に、Aが、Iとその宅地の売買の予約契約を締結し、自ら売主となって宅地建物取引業者でないJと売買契約を締結した場合
この問題の詳しい解説
POINT
この問題のポイント
「所有権移転請求権」が確定的に発生しているか、それとも停止条件が付いているなどして未確定であるかを区別することです。
この問題は、6 つの視点でさらに深掘りできます
02
深度分析
宅建業者が自ら売主となる場合の「自己の所有に属しない宅地等の売買契約の禁止」(宅建業法33条)に関する出題です。特に、所有権移転の請…
03
知識背景
この問題は、宅建業者が自ら売主となる場合の「手付金等の保全措置」と並ぶ重要な規制である「8つの規制」の一つ、自己の所有に属しない物件…
04
覚え方
「権利なき売主、素人相手はアウト(33条)」と覚えましょう。権利がない状態で業者以外に売ると違反です。
05
試験のコツ
「予約契約」や「停止条件」の文言を使った権利の有無の判別
・買主が業者である場合の適用除外
・「所有権」と「所有権移転請求権」の違い
06
実務での見え方
デベロッパーがまだ地主から土地を買い取っていない段階で、販売広告を出し、顧客から申込みを受ける実務場面で、契約締結のタイミングを見極…
07
よくある間違い
{"mistake":"「予約契約」を締結していても、まだ所有権がないから違反だと判断する。","why_wrong":"予約契約に…
02深度分析
要約
宅建業者が自ら売主となる場合の「自己の所有に属しない宅地等の売買契約の禁止」(宅建業法33条)に関する出題です。特に、所有権移転の請求権が確定的に発生しているか否かが判断の分かれ目となります。
法的根拠
宅地建物取引業法第33条宅地建物取引業法施行規則第16条の2民法第127条(条件の成就)民法第556条(予約)民法第176条(物権変動)
論理の流れ
まず、売主が宅建業者で買主が宅建業者以外か確認します。次に、売主が目的物の所有権または所有権移転請求権を有しているか確認します。選択肢1は、売主が代替地取得という停止条件付きで権利を取得しており、条件が成就していないため権利が未確定です。したがって、業者でない買主と売買契約を締結することは宅建業法33条に違反します。
重要な区別
「所有権移転請求権」が確定的に発生しているか、それとも停止条件が付いているなどして未確定であるかを区別することです。
各選択肢のポイント
- 停止条件が成就していないため所有権移転請求権が未確定であり、業者でない者との売買は禁止されるため違反です。
- 代金完済前でも売買契約は締結されており、所有権移転請求権を取得しているため違反しません。
- 買主が宅建業者であるため、宅建業法33条の保護の対象外となり、違反しません。
- 予約契約により所有権移転請求権を取得しているため、業者でない者との売買も可能です。
03知識背景
テーマ概要
この問題は、宅建業者が自ら売主となる場合の「手付金等の保全措置」と並ぶ重要な規制である「8つの規制」の一つ、自己の所有に属しない物件の売買禁止を扱っています。未取得物件の転売を防ぎ、買主を保護することを目的としています。
歴史的背景
宅建業者がまだ権利を取得していない物件を、あたかも自分の物件のように宣伝して売り、後で権利取得に失敗してトラブルになるケースが多発したため、この規制が設けられました。
関連法令
宅地建物取引業法第33条宅地建物取引業法第34条宅地建物取引業法第35条民法第559条
体系的位置づけ
宅建業法における「業務上の規制」の中の「自ら売主となる場合の特則」に位置づけられ、宅建試験の頻出論点です。
前提知識
「自ら売主」と「媒介・代理」の違い、および「買主が宅建業者か否か」による保護の必要性の違いを理解している必要があります。
04記憶テクニック
語呂合わせ
「権利なき売主、素人相手はアウト(33条)」と覚えましょう。権利がない状態で業者以外に売ると違反です。
ビジュアル描写
宅建業者が手に何も持っていない状態で、素人の買主に「土地を売るよ」と手を差し出している図を想像し、それがNGだとイメージします。
重要公式
業者売主 + 業者以外買主 + 未取得権利 = 違反
関連連想
「未取得物件の転売」=「詐欺まがいの行為」と連想し、これを禁止する法律だと関連付けます。
比較表
【所有権あり】→OK 【所有権移転請求権あり(予約等)】→OK 【停止条件付き(未成就)】→NG 【買主が業者】→OK
05試験テクニック
出題頻度
毎年出題
重要度
A:最重要。8つの規制の中でも頻出であり、必ず正解したい論点です。
出題パターン
- 「予約契約」や「停止条件」の文言を使った権利の有無の判別
- 買主が業者である場合の適用除外
- 「所有権」と「所有権移転請求権」の違い
解法・消去法
買主が宅建業者である選択肢は、まず違反ではないとして消去候補から外します。次に権利の確定性をチェックします。
時間戦略
買主が業者かどうかを先に確認し、業者であれば即座に「違反しない」と判断して時間を短縮します。
06実務応用
実務シナリオ
デベロッパーがまだ地主から土地を買い取っていない段階で、販売広告を出し、顧客から申込みを受ける実務場面で、契約締結のタイミングを見極めるためにこの知識が使われます。
実務への影響
この規制により、業者は確実に物件を確保できる見通しが立っていないと販売活動ができないため、不動産取引の安全性が高まります。
ケーススタディ
ある業者が、代替地が見つかったら地主と契約するという条件で、まだ権利を取得していない土地を一般客に売却したため、宅建業法違反となった事例があります。
業界関連性
不動産流通業界において、未開発物件の分譲や resale 業務を行う際の遵守事項として極めて重要です。
ニュース連動
近年のマンション販売トラブルや、未完成物件の販売に関するニュースにおいても、権利取得の確実性が議論されることがあります。
07よくある間違い
「予約契約」を締結していても、まだ所有権がないから違反だと判断する。
なぜ間違えるか:予約契約によって将来の所有権移転請求権を取得しているため、これを「権利の取得」と理解できていないことが原因です。
正しい理解:「所有権そのもの」だけでなく「所有権移転請求権」があればOKとセットで覚えます。
買主が宅建業者であるかどうかを確認せず、一律に違反と判断する。
なぜ間違えるか:宅建業法33条は、弱者である一般消費者を保護するための規制であるため、買主が業者の場合は適用がないことを忘れています。
正しい理解:問題文の「宅地建物取引業者でない」という文言に常に注目するクセをつけます。
停止条件が成就していないことを「権利取得」と誤解する。
なぜ間違えるか:停止条件が成就するまでは権利は発生しないため、それを「確定的な権利取得」と混同しています。
正しい理解:「停止条件」=「まだ権利はない」、「予約」=「権利(請求権)がある」と図式化して覚えます。
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